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あしひきの 山鳥の尾のしだり尾の ながながし夜を 一人かも寝む

by staff on 2013/11/10, 日曜日

♪あしひきの 山鳥の尾のしだり尾の ながながし夜を 一人かも寝む♪


絵・千絵崇石
 

 読み人:柿本人麻呂 (かきのもと の ひとまろ)

 現代語訳 by 千絵崇石・・・夜になると雌雄が 谷を隔てて別々に寝る、という。山鳥よ 寂しくないのですか? しだれ尾の様に長い秋の夜 終わりのない恋文を書きながら今夜の私は夜長鳥です。

 柿本人麻呂は万葉集の中でも最高の歌い人と言われ、「歌聖」と呼ばれています。

 今から1300年以上も前、日本がちょうど国家として形成される激動の時代に宮廷歌人として生きた人でした。没年月日は不明ですが後に神様となり、兵庫県明石市に、そして島根県に、沢山の人丸神社と柿本神社があります。

庶民に愛された神様で地元の人たちからは人丸さんとよばれて慕われているそうですが、調べてみると謎の人物でこの歌も本当に彼の作かどうかは分からないと言われています。このコラムを書く前に万葉集の彼の作品を読んでみました。そして壬申の乱という日本史上もっともスキャンダラスで悲しい出来事によって深く傷付いた人々の心を歌によっていやすために神様が人麻呂という歌人を使わしたのだと私自身は理解しました。

 万葉集に残された宮廷歌人としての彼の歌は古語の意味は分からなくてもその行間から溢れる気高さや慈愛が琴線にふれはらはらと涙がこぼれます。この壬申の乱の事を知った時私は自分自身が困惑し傷付いたのを覚えています。感情移入をすればするほど自分自身が引き裂かれ、途方に暮れ、その状況から逃げ出したいと思いました。千年以上もたった今でも日本人の集合意識が覚えているその痛みが、柿本人麻呂歌の歌を読んで、慰められて癒されて、受容という母の胎内に戻ってゆく。そんなプロセスが私の中で起こりました。

 昨年の「和歌うた10周年記念コンサート」の為に書き下ろした大津皇子とその姉をテーマにした楽曲「姉弟」は壬申の乱の後に生じた一連の非劇のひとつです。肉親同士が合いまみれて戦い合う。そんな修羅場を乗り越えなければ日本という国が生まれなかった。

 その深い傷口を縫合する様に、柿本人麻呂の宮廷抒情詩は癒しの言霊となって当時の人々にも響いたことでしょう。やっぱり歌聖だと思いました。

 今まで、このヨコハマNOWで取り上げて来た「和歌うた」は、自分がステージで歌っているときにふっと心に浮かんできた歌人に対するイメージをそのまま書き連ねて来たのですが、この山鳥の歌には未だメロディがついていません。これから百人一首の中で動物を取り上げている歌をピックアップしてメロディをつけて行こうと思っていたのでまずは彼の歌を、今月のテーマに持ってきましたが、それ以外の長い抒情歌にもいつの日か必ずメロディを付けて歌ってみたいと思います。万葉集の彼の歌を読んで深く感動しました。ファンになってしまった。きっと心美男なのね。私も人麻呂神社にお参りに行ってきます。

(早苗ネネ♪)

<LIVE INFORMATION 3>
11月22日 「和歌うたコンサート」 18:00開場/18:30開演 広島市西区民文化センター
出演:早苗ネネ(じゅん&ネネ)吉野妙、末永幸子、加藤稚佳子、他。

お申し込み/お問い合わせ:和歌うた実行委員会 080-2345-0615(担当 村中)

 

早苗ネネさん プロフィール

木々や鳥や魚や精霊…人間以外の存在達との交流が当り前に語れるくらい、いのちのひろがりに気づくと、共に生きている喜びや、苦しみや悲しみにもナイーブになる。

心と野生がひとつながりになると……こんな風に人は年を重ねられる。ひとりひとり、ユニークにもっと自分になれる。

早苗 Nene さんは、そういう人生の先駆者です。 感性を解放しながら、40代で高校生に仲間入り卒業後、マウイのカレッジに留学中、突然半生記が受賞しました。

そんな新たなシーズンを迎えて、今エッセンスを分かち合いたい。

<天性の歌い手>というだけでなく、その存在感、溢れる活性のバイブレーションは、光のシャワーのよう。彼女と語り歌い、魂の成長を旅している現在の、自分の位置を確かめてみませんか?

早苗ネネさんHP

 

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ヨコハマNOW 動画

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ランニングが大好きで、月に150kmほど走っているというヨコハマNOW編集長の辰巳隆昭が、お気に入りの新横浜公園のランニングコースを紹介します。
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横浜中華街 市場通りの夕景

 

横浜中華街は碁盤の目のように大小の路地がある。その中でも代表的な市場通りをビデオスナップ。中華街の雰囲気を味わって下さい。
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