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2014年6月 三ツ池だより 「梅雨もまた楽しい」

by staff on 2014/6/10, 火曜日
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 大きな楠の木が、大人がふたりで手をまわしても届かないほどの大木を20mほど動かそうとしている。もう三か月ほどになるのであろうか?それも手動で動かしている。横浜市鶴見区馬場にある建功寺は「誰もやったことのないことをしています。」と枡野住職は話をされました。1mほどあがって枕木で組んだ下にかなりの台数のジャッキがかまされています。ほんとに少しづつ、すこしづつ。「時に雨が降ってくれるとありがたいのです。」三方からのワイヤーで支えらての大木なので、本当に慎重に作業は進められている。

 そんな時の坐禅の法話に盤珪禅師が出てきた。いろんな修行をするが答えが出ない。迷って迷ったあげくに「不生」にたどり着かれる。あると思うから、ないことで不安になる。最初からないと思えばない。最初からないと思えるかがポイント。だから悩んだ人が相談にいくと、「その不安をここに出してみなさい」といわれる。盤珪が山居生活に入った夏はことのほか旱(ひでり)が続いたので、土地の百姓は雨乞いを盛んにした。 しかし、雨は一向に降らなかったので、百姓達は禅師に雨乞いをお願いした。 そこで、盤珪は「うす引き歌」を作り百姓に与え、これを氏宮で歌い、踊るように言った。 村童、老若男女が氏宮で集まって踊ったところ、雨が思うままに降り村人はおおいに喜んだと伝えられる。 「うす引き歌」につぎのような歌詞がでてくるそうだ。

不生不滅の本心ならば  地水火風は仮の宿
生まれ来りしいにしえ問えば  何も思わぬこの心
来る如くに心を持てば  直にこの身が生如来
よきもあしきも思いしことは  おのがこの身のある故ぞ

 さて6月はどんな月になるのであろうか。俳句に見てみよう。

衣更へて魚のこころで町に出る
能村登四郎

 忘れられていく和服での衣更であろう。なにかとても動きやすくなって、気も軽くなって町を行く姿が美しくもある。

今年またうやむやに梅雨はじまりぬ
鷹羽狩行

 今年の梅雨入りは駆け足のようであり、早い夏並みの暑さのなかで待ち遠しいようにも思うし、またどんなに蒸し暑くなるのかと心配もする。

観音堂浮かべて雨の青田かな
皆川盤水

 青田には雨が似合う。今年も豊作を確信する。
このあたりまえであった風景が懐かしいと思える現代とはどんな時代なのか。

十薬の蕊高くわが荒野なり
飯島晴子

 昔はどこのいえにもドクダミがあった。すりむいてもやけどをしても。
おできが出来た時はドクダミの葉を取ってきて火にあぶってあてがったものだ。翌日には膿がでた。

蜻蛉生るこんな小さな水辺にも
稲畑汀子

 どこの水辺もきれいだった。清流の水辺の草に蜻蛉が生れ風に揺れていた。

さよならは蕗味噌握り飯のあと
横須賀詢

 俳句を見ていると懐かしさがこみ上げてくる。
その「なつかしさを探しにいくことが楽しみな今」を幸せというのだろうか。

 「三日月が寝ていた」
月がうす絹をかぶっている
お買い物の帰り道
  夕食食べて洗い物をしていて
  洗剤がなくなって買いにでた
帰りの夜道三日月がぼんやりしていて
うす絹をかぶって寝ているようだった
  涼しい風が呼んでいて
  今日の私をなぜていく

 考えようによっては便利な時代である。なんでも手の届くところにあるような気がする。それは不便な時代にから、今のように便利さをもとめてきたのであるから当然と言える。これからを目指す人たちが飢えの時代を知らないだけに今を評価するのでなく、私たちの年代と違う不安と不満を抱えている。心の豊かさや格差の問題が問われてきている。行動するときの指針をどこに持つのだろうか。

 空を見上げてみよう、月を眺めてみよう。それはかわらぬ自然の営みを感じることであり、自然との共生をする生き方を目指すことである。酸素を作り出す森を大事にすることだし、自給率を高める自力で生きていける領域の農地の確保をし続ける社会の仕組みの必要である。江戸初期の「うす引き歌」の続きを一部みてみよう。

悪をきらうを善じゃと思う きらう心が悪じゃもの
善をしたこと善じゃとうじゃる うじゃる心が悪じゃわい
善きも悪しきも一つにまるめ 紙につつんで捨てておけ
うその世界をまことのように ばかしばかさる化け物じゃ
いつか五欲を身にならわして それに習うて日を暮らす
人におしえはもと無いものじゃ 是非を争う我が身なり
仏道修行をつとめし後は 何もかわりは得ぬものを
迷い悟りはもと無いものじゃ 親も教えぬならいもの
さとる心は我じゃと思え 念と念とが相撲とる
さとろさとろとこの頃せねば 朝のねざめも気が軽い
無為の心はもとより不生 有為が無き故迷い無し

 さあ! くせものの6月を楽しんでみよう! 自然がワクワクするほどに活動している!
 さあ! 自分の足で歩きまわってみよう。6月がどんなにか楽しいものになるか!

 

Photos

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(文・写真:横須賀 健治)

横須賀 健治プロフィール

メジャーテックツルミ 代表取締役
はかることのプロとして50年です。
食品の放射能測定のアークメジャーを設立しました。
「計量から見える幸せ」をライフワークにしています。

 

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