Skip to content

ヨコハマ・ディスコグラフィティー 第26回 第5章 80年代 2

by staff on 2014/8/10, 日曜日


 
 

 

HEART&SOUL代表 原 正行

1958(昭和33)年9月7日横浜生まれ、12歳よりギターをはじめ17歳からミュージシャンとして活動。39歳の時に念願だったライブハウスを開業、現在は関内駅北口駅前に60年代から80年代の洋楽ヒット曲を演奏するライブハウス、ハート&ソウルの経営者。他にもミュージシャンとして演奏活動、作曲、プロデュース等、幅広く活動している。

 

1982年~1983年

この頃になると私自身流行している音楽シーンへの興味が急速に薄れてきた頃で、60年代GSの頃から激動のポップミュージックの変遷を見てきた身には停滞感を感じ、新しい音楽に針を落とそうという欲求が起きなくなってきました。持論としては、洋楽に限らず邦楽も1985年にその進化を終えたと勝手に思っています。なので私のこのシリーズも1990年で締めくくらせていただこうと思っています。偏見に満ちた音楽史の描写ではありますがお付き合いください。

1982年

80年代を席巻するかに見えたテクノポップやパンク、ニューウエーブも後が続かず音楽シーンの中に自然に溶け込んでいった感じでした。この年一番輝いていたなと感じていたのはRCサクセションで、ストーズにR&Bのテイストを濃くしたようなサウンドは定着していて、ライブのパワー、曲の面白さは他を圧倒、時代に乗っているなと感じさせました。忌野清志郎さんがYMOの坂本龍一と「いけないルージュマジック」をヒットさせたのもこの年でした。山下達郎は名盤「FOR YOU」を発表その円熟したバンドサウンドと音楽完成度は音楽関係者たちをも唸らせました。

又、井上陽水の「ライオンとペリカン」は成熟した大人のポップミュージックを創造したと言えるでしょう。歌謡曲と一線を画しながら夜の世界にも大きく受け入れられた新しい世界でした。これが安全地帯、来生たかおなどに繋がって行きます。

ヘヴィな世界ではバウワウ、ラウドネス、大手を拒否し自レーベルから新しい風を起こしていたチャーのピンククラウドなど、新しいところではBOOWY、レベッカ、筋肉少女帯、が登場しています。特記すべきはDJ小林克也さんが参加した「スネークマンショー」。元々ラジオ番組のショートコントが受けて発展したものが作品になりYMOとコラボしたり口コミで徐々に売れていきました。この頃ミュージシャン仲間とコナサンミンバンワと言うとニヤリと笑い合うシーンがありました。この年には小林克也とナンバーワンバンドで作品を連発、玄人筋にバカウケでした。

1983年

割とまったりとした一年でした。新しいところでは「ストリートスライダーズ」など、特筆すべきは尾崎豊のデビューで、当時のティーンズの叫びを代弁したような尾崎の音楽は新しい風だったと言えるでしょう。YMOが解散した年でもありテクノの早くも終焉を感じさせる出来事でした。

この年は武道館ライブがひとつのブームで矢沢、サザン、ハウンドドッグ、甲斐バンドなど武道館を満杯にできれば超メジャーと言われた。洋楽ですがマイケルの「スリラー」はこの年、衝撃でした。

1982年のヒット作

サバイバー「アイオブザタイガー」、あみん「待つわ」、薬師丸ひろ子「セーラー服と機関銃」
映画「E・T」「蒲田行進曲」その他「Dr.スランプ」
世相「テレホンカード使用開始」「500円玉発行」

1983年のヒット作

アイリーンキャラ「フラッシュダンス」カルチャークラブ「君は完璧さ」カジャグーグー「君はトゥーシャイ」わらべ「めだかの兄妹」
映画「戦場のメリークリスマス」「南極物語」
その他「おしん」「積木くずし」「いいとも」「にゃんにゃんする」
世相「パソコンとワープロの普及」「東京ディズニーランド開園」

 

横浜、街と風(社会人編) 12(27)

ABAB

2軒目に働いた関内からタクシーでワンメーターのこの店は、アブアブ(ABAB)と言い、当時長者町1丁目にあった人気のサパークラブ “三文オペラ” のスタッフ(セミホスト)だった人たちが独立したお店で、人気者の彼ら目指して連日満員、一種異様なバリバリの水商売の人々とそのお客が集う世界でした。経営者のS氏は小柄でずんぐりむっくり、なにしろ口から生まれたような人で、ハッタリ臭い調子の良い言葉で、彼が口を開くと周りは大爆笑。深夜の時間帯なのでお酒も相当進んでいて盛り上がりは半端ではない。こちらの仕事はと言えば世はムード歌謡前世時代。酔客の伴奏を1時間以上、ひどい時は2時間位やらされるのは当たり前でした。

赤本

プロビデンスに置いてあった歌の本の中に歌謡曲の楽譜が500曲位載った赤い表紙の通称 “赤本(アカホン)” と呼ばれる歌本がありました。客が歌いたいと言うほとんどの曲が網羅されていて、ほとんどの曲がハ長調(C)かト長調(G)に移調されて書かれていたので、ほぼシャープやフラットの記号がありません。コードもほとんどCとかAAマイナーに略されていて簡単で、これならば正式な音楽教育を受けていなくてもドレミファがなんとなく弾ければ客の伴奏をすることができたのです。客の伴奏には欠かせませんでした。これを出版した人は本当に凄いと思います。私もこの本でドレミを読む練習をし、客の声に合わせてカポタスト(6本の元を一気に押え高さを変えるアイテム、カラオケのキーチェンジャーの様な物)を動かして伴奏をしました。当時夜のお店で演奏していた人はみんなこの本を使っていたと思います、重宝しました。

戦中戦後の歌はイントロや間奏がメロディと同じくらい長い曲が多くこれを弾かないと歌えないという人もいたので、「憧れのハワイ航路」や「青い山脈」などはこの本で練習しましたっけ。。。

同業者

ABABに来て衝撃だったのは、当時クラブ全盛時代の中心地関内福富周辺で活躍中だった弾き語りやバンドの人間が遊びに来ては、私のギターを使い歌っていくことで、そのあまりのスゴさに圧倒されてしまいました。何が凄いと言うと、まず皆さん圧倒的に歌が上手い事! そしてみんな個性的でした。ムード歌謡風の人が多かったですが、流しの延長よろしく、ド演歌を歌う人、ジャズ風の難しいコードを弾きながらスタンダードを歌う人、布施明やトムジョーンズばりに声量があり、歌唱力で圧倒する人。あるフィリピンの弾き語りは、アビーロードのB面メドレーをギター一本で見事に演奏していました。よく来ていたヤッちんという人は喋りが上手くて、歌は流行中の歌をスケベな歌詞に替えて歌ったり英語の曲に適当な日本語つけたり、やっちんが歌うと客は大爆笑でした。これらの先輩たちの演奏を聴くにつけ、駆け出しの自分との差を見せつけられ落ち込んでいました。そんな自分を見てオーナーのS氏はお前には芸がないからと、ヤッちんからエロソングの歌詞を書いてもらい私に渡しながら、これを歌ってステージを盛り上げてみろと言いました。

オーナーの命令なのでトライしましたが、自分にそういうキャラがないのと、ああいったモノは少しでも照れがあると客は白けてしまいます。やはり自分には無理と悟り諦めました。

恐るべき先輩

ABABのオーナーS氏は顔の広い人だったので、暇な時は店を抜け出してよくお客さんの店に営業に飲みに行っていました。勉強させてやるからお前もついて来いと言われ、たまについて行きましたが、そこで色んな弾き語りやバンドを見ました。一番強烈だったのは、とあるクラブだったと思いますが、これから来る奴は横浜で一番の売れっ子でスゴイぞとS氏に言われ、どんな人が来るんだろう、こういう高級クラブだったらスーツ姿でホストみたいな人かなと思っていたら、現れたのはテンガロンハットにジーンズ、ヒゲを蓄えた浅黒いハンサムな30歳くらいの人で、置いてあったマーティンのアコギを弾きだすや英語でカントリーナンバーを歌いだしました。声量があってメチャメチャ上手い! 唖然としてると、又おしゃべりが強烈で面白い。客は馴染みの客ばかりだったようですが、お客様に向かってお前呼ばわり、そしてこの人もスケベな歌詞でエロソング、しかしまともな歌も本格的なので、客で会社の重役風の人たちも楽しんでいる様子。挙句はテレビコマーシャルの歌を何十曲もつなげてメドレーにして歌い、ハイさようなら! 時間にしてわずか15分か20分くらい嵐のように去って行きました。

後から聞きましたがこの当時関内の人気の弾き語りは一晩2軒や3軒の店を掛け持ちするのは当たり前だと聞いていましたが、この人はこの時なんと一晩に7軒の店を掛け持ちしていました。この人は寺内タケシさんのところで書きましたが、兼田アキラさんといい現在も関内弁天通にご自分の店を持ち毎晩演奏なさっています。ラジオ番組も持ってらっしゃって幅広い音楽活動をしています。私は個人的にとても可愛がっていただき、ラジオ番組やディナーショーなどに度々ゲストで出演させていただきました。先ほどの店を出て帰ろうとしたところ、掛け持ちから戻ってきたアキラさんに遭遇、なんと真っ白なコルベットスティングレーで店と店を行ったり来たりしていました。他にも外車ばかり何台か所有していたそうで弾き語りってそんなに儲かるのか、なんてかっこいいんだと憧れていました。

(*注 30年以上も前の話なので薄れている記憶を頼りに書いています。筆者の思い違い等ご容赦ください。)

HEART&SOUL代表 原 正行)

 

HEART&SOUL DATAMAP

HEART&SOUL
〒231-0014 横浜市中区真砂町3-33 CERTE11階
営業時間
平日:OPEN 19:00 CLOSE 4:00 LIVE START 19:50~
休・祝日:OPEN 18:00 CLOSE 24:00 LIVE START 18:40~
TEL:045-664-5569
JR関内駅徒歩より1分
地下鉄関内駅より徒歩1分
Websie http://www.heartandsoul-live.com/

バックナンバー

 

Comments are closed.

ヨコハマNOW 動画

新横浜公園ランニングパークの紹介動画

 

ランニングが大好きで、月に150kmほど走っているというヨコハマNOW編集長の辰巳隆昭が、お気に入りの新横浜公園のランニングコースを紹介します。
(動画をみる)

横浜中華街 市場通りの夕景

 

横浜中華街は碁盤の目のように大小の路地がある。その中でも代表的な市場通りをビデオスナップ。中華街の雰囲気を味わって下さい。
(動画をみる)

Page Top