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第14回 メディアリテラシーを考えてみる

by staff on 2014/10/10, 金曜日

 

「○○なんだって。新聞に書いてあった」「TVで言ってた」「ウィキペディアに載ってた」。
誰もが一度は口にした事のある言葉ではないだろうか? でも、それって本当に正しいの?
「事実」だけど、「真実ではない」。それってどういう事?

情報が氾濫する時代、その受け手の能力(メディアリテラシー)が問われている。
今月は、先月開催されたイベントをご紹介しながらメディアリテラシーについて考えてみたい。

横浜JC主催の粋なイベント

先月9月27日、関内の横浜メディア・ビジネスセンター(TVK本社ビル)にて、横浜青年会議所(以降横浜JCと記述)主催のイベントが開催された。
「未来を描くのは君だ!!」と題された若者を対象にしたイベントで、お笑いタレントのしずるさんをゲストに迎え、分りやすく楽しい雰囲気で、これからの未来を考えてみようとチャレンジしたイベントだった。

イベントには「関心十筆(かんしんとふで)」という主題がついており、Town(みんなが暮らす)、Future(明るい豊かな未来を)、Design(あなた自身が描く)という意味が込められている。

ゲストのしずるさんの他、講師に元TBSキャスターの下村健一氏、進行役にNPO法人Youth Create代表の原田謙介氏が登壇された。

事前に横浜JCの方にお話を聞く機会があったのだが、今回のイベントを企画するに当たり、かなりの試行錯誤があったようだ。

 

(クリックで拡大画像)

関心十筆チラシ
関心十筆チラシ

若者の投票率低下の問題は、長い間叫ばれ続けてはいるものの、一向に改善はしていない。これらの傾向をJCとして憂いてはいても、JCとして何ができるのか? JCらしい活動とは何か? という事が絶えずテーマになるそうで、今回もその点が議論されたそうだ。JCのメンバーは40歳までという年齢制限があるため、メンバーが絶えず入れ変わり、長期に渡り継続した活動を展開していく事が難しいとう問題がある。そういう中では、例えば、若者の投票率向上一つをとっても、それを継続して活動するNPOや学者の方には、知識や活動量は及ばない。
ではJCとしてどんな活動ができるのか?
「ぶっちゃけ、我々(JC)の強みは何かと考えると、資金力なんですよ。内容は専門の方にお手伝いいただいて、資金はJCにお任せください、という形がベストだと思うんです。」と幹部役員の方にお話いただいた。さすが、優秀な経営者の多いJC。自己分析が適格だ。

正に今回の企画は、このJCの強みをフルに生かした、JCならではの企画に仕上がっていたように思う。
美しい会場に若者を意識したゲスト。加えて、構成も、講演やトークライブ、トークセッションなどと工夫され、飽きることなく、難しいテーマを考えられるものになっていた。

確かにその通り!「メディアリテラシー」って習ったことないよね

イベントの第一部は下村健一氏の講演。「情報に惑わされないための4つの“ハテナ”」というテーマで、メディアリテラシーに関する講演が行われた。これが実にわかりやすく有益な情報がてんこ盛り。今回はこの講演内容についてご紹介したいと思う。

下村氏は1999年TBSキャスターを退職後フリーとして活躍される中、2010年から2年間、内閣広報室審議官としても活躍されている。現在は大学で教鞭を取られる一方、市民メディア・アドバイサーとして市民団体や学生、子どもたちのメディア教育や制作のアドバイザーとしても活動されている。

メディアリテラシーと聞くと、自分が騙されない(被害者にならない)ための知識というイメージがある。勿論、それも重要なのだが、加害者にならない事も重要な要素としてある。

ネット社会の現在、TVや紙媒体が主流だった昔と大きく異なる点は、私たち一人一人が、情報をいとも簡単に拡散させることができるという点だ。
FacebookやTwitterに代表されるSNSでも、ボタン一つで情報を多くの人に知らせる事ができてしまう。転送により情報を知った人が、また転送拡散。その先の先の人がまたまた転送拡散。正にネズミ算式にものすごいスピードで、広範囲に情報は伝達されていく。
もしその情報が、誤報だった場合はどうなるだろう。おおもとの情報の発信者が誤報の訂正をしたとしよう(訂正すらしない場合もあるが)。誤報情報を転送してしまった人が、同じように、訂正情報を転送してくれるだろうか? 「ああ、間違いだったのか」と終わらせてしまう人が大半ではないだろうか。仮に訂正転送したとしても、その先の人は? そのまた先の人は?
誤報が拡散された経路と同様の経路で、情報の訂正が拡散されていくだろうか?
さらに加えて、一度ネットで拡散された情報を完全に消去させる事はできない。いつでも検索できるというリスクが残る事になる。これは騒ぎが収まった後も、何年経っても、またその情報が湧いて出てくる可能性を意味している。
これらネットの持つ、広域的、時間的リスクを、下村氏はご自身が実際に被害を受けたある個人のブログを紹介されながら詳しくお話された。
全く事実無根の情報が、あたかも事実のごとく掲載された事例だ。後に訂正はされたものの、発信者の職業や使われている言葉によって、その信憑性は高そうに映ってしまう内容だった。これを真に受け拡散すると、悪意はなくとも誤報拡散の加害者となってしまうという実際の事例だった。

現代社会ではこのようなリスクを誰もが追っているものの、そのリスク回避については、これまで誰も教えてはくれていない。今や小学生でもパソコンや携帯を使いこなす時代だというのにだ。
これらの状況を危惧し、下村氏は学校教育の一環としてのメディアリテラシー教育の重要性を訴え、ご自身も学校を回っておられる。有難い事に、今回はその中で使われている教材も用いてのお話だったので、実に分りやすく、短時間で理解が深まる内容だった。

ポイントは「4つのハテナ」

では、被害者にも加害者にもならないために、どうすればよいのか。
そのポイントが、下村氏が言う「4つのハテナ」である。

  1. それは事実か?意見・印象か?(まず「仕分る」=意見・印象はウ呑みにしない)
  2. 事実だとしても・・・他の見え方はないかな?(1つの見方に偏るな)
  3. 偏らなくても・・・何か隠れてないかな?(スポットライトの当たっていない周囲を見よ)
  4. まだわからないよね?(結論を即断するな)

少なくとも、4だけでもすぐに実行すれば、安易に被害者や加害者に転落する事は避けられる。まずここからはじめ、徐々に1~3を身に付けていけば良いとの事だった。

明快でわかりやすい4点だと思う。しかし、4以外はそれなりのスキルがいるかもしれない。
どういう事かご紹介したい。

なるほどそういう事か「4つのハテナ」

下村氏はここでもわかりやすい事例を取り混ぜ、解説された。そのままではないが、私なりに意訳してご紹介する。

ハテナ1.それは事実か?意見・印象か?(まず仕分る=意見・印象はウ呑みにしない)

次の文章で事実はどれだろうか?
「タレントAはこそこそと裏口から出ていった。」
事実は「タレントAは裏口から出ていった」である。それ以外は記者の印象だ。
もちろん、記者の意見・印象などは情報としては絶対悪で、排除せよと言うものではない。記者の意見や印象は言わば味付けの調味料のようなもので、これが全く無い事実だけの羅列だと、味気なくつまらない情報となってしまう。調味料はある意味、必要悪な要素でもあるのだ。そこで、情報の受け手側の心得として、情報とは、事実・意見・印象が混在するものである事を認識し、意見・印象の部分はウ呑みにしないと意識せよという事だった。

考えてみれば、このような表現は日常茶飯事に毎日配信されている。新聞でもTVのニュースでも、味付けなしの情報はほとんど無いと言っても過言ではないくらいだ。しかし私はこれまで、事実か?意見・印象か? などと考えて情報を受信した事などは一度もなかった。
毎回明確に仕分けられるかは別として、今回改めて、情報の「仕分け」作業を意識してみたが、仕分けを試みるだけでも、情報に対して冷静になれる事は間違いない。私にとっては正に目からウロコの方法で、最も印象深い内容となった。

ハテナ2.事実だとしても他の見え方はないかな?(1つの見方に偏るな)

自分の事は棚に上げ、後姿で、「おおっ!イケメン」とか「おっいい女!」と思って正面にまわったら「げっ!」という経験は私にはある。同じものを見ていても、角度を変えると別なものが見えてくる。

情報の場合、見せられる「順番」や「角度」、「立場」が変わると、全く異なる印象の記事になると下村氏は言う。つまり、情報の発信者が、どのように情報を捉え、配信したのかを順番や角度、立場などから見出し、そこに映し出されなかった “見え方” も他に存在するかも知れないと気付こうね、というものだ。

ここでは、情報を発信する側が順番・角度・立場を実際に変えた事例を紹介し、解説された。

まずは、「順番」について。2つの絵を使われた。
1枚は①:犬が走っている絵、もう1枚は②:人が走っている絵だ。①②の順番で絵を1枚ずつ見せられた場合、どういう印象になるだろう。ほとんどの人は犬が逃げて、人が追いかけている印象を受ける。だが一方、②①の順番で見せられるとその逆の印象となる。
たった2枚の絵だけでも、順番一つでこうも印象が異なってしまう事に改めて驚く。TVなどでは無数の情報の連続となる。映像の順番しだいでは大きく異なった印象となるケースは多々存在する。製作者側が意図する、しないにかかわらず、「順番」にはそういう力がある事を知っておく必要があるという事だった。

実は、この「順番」が今回の話の中で、一番難しく感じられた。配信された情報の順番を変えた場合、どのような印象になるかを想像する事が難しいからだ。「なぜこの順番で報じたのか?」と考える事はできても、その他の順番については、カードが2枚の場合とは異なり、組み合わせは無数に存在する。しかもTV映像などの場合、情報はどんどん流れていってしまう。
しかし、「順番」については、先述した通り、印象をガラっと変える大きな力がある事がわかった。その認識を持っているだけでも、情報の受け止め方は更に冷静になれるだろう。個人的には注視してみたいポイントだ。個人的には注視してみたいポイントだ。

次に「角度」についてだ。
ここでは「いじめの相談が去年より増加した」という情報をどう見るかと問われた。
良いニュース(相談の受け皿が増えた)とも取れるし、悪いニュース(いじめが増えた)とも取れるというのである。扱う記者の見方によって、違う印象の記事になり得るという事だ。
この件については、私たちも日ごろからなんとなく感覚的に認識がある。新聞社や、TV局によっても、ニュースの論調が異なる事は誰にでも認識がある。その為、会社のカラーが明確に表れるような政治や国際問題のような記事ならば、情報の受け手側も、取り上げ角度を意識しながら情報を受信する人も多いかもしれない。
しかし、「いじめの相談件数」のようなニュースになると、記者の取り上げ角度や読者(自分)の受け止め角度を意識する人は希なのではないだろうか。だが、実際にはどんなニュースでも、ある一定の角度から見られた情報であり、映し出されなかった側面は存在しうるという事なのだ。今回改めて再認識した。

最後に「立場」について。
「立場」を変えても事実は異なる見え方をする。
例えば「人里に猿が出た」というニュース。立場を変えて「猿里に人が出た」と表現してみると違う印象となり、別な問題さえも見えてきたりする。

思えば、現在、世界中で起こっている国や民族の様々な問題なども、共通する点は、一方向の立場から見た主義・主張の押し付け合いが根幹にあるのではないか。もし、お互いが、それぞれ両者の立場から問題を多角的に見る事ができたなら、相互理解が深まり、もっと建設的な意見の交換が進むのかもしれない。
そう考えると、全世界中の人々が、高度なメディアリテラシー感覚を持ち合わせたとしたら、争い事は減少するのかもしれない。(私見&余談だ)

ハテナ3.偏らなくても・・・何か隠れてないかな?(スポットライトの当たっていない周囲を見よ)

以前、新型インフルエンザの問題があった。もしあなたが記者で、「新型インフルエンザを取材してこい」と言われた場合、マスクをしている少数派とマスクをしていない多数派のどちらを撮るだろうか?
またもし、あなたが記者の上司だった場合、部下の記者がもし、マスクも何もしていない普通の人の写真を撮ってきたら、「なんだこれは!」と言わないだろうか?

当時、実際には、マスコミ各社は、全体から見れば少数派のマスクをした人の写真をとり上げ、新型インフルエンザを報じた。その結果、現地は危険という印象を全国に与え、修学旅行のキャンセルがあいついだというのだ。
メディアには時間や紙面の制約がある。流せる情報量には限界があり、全体情報の一部を切り取って報道せざるを得ないのだ。一部を切り取らざるを得なければ、おのずと象徴的な部分を切り取る。それがメディアだ。このように製作者サイドの事情も、受け手は考慮しながら情報を受信する必要があるわけだ。新型インフルエンザが発生した県内に、マスクをしている人がいるのはウソではなく事実だ。しかしそれが真実(全体を表している)と言えるかどうかは別問題なのである。

これら1~3で重要な事は、悪意のない多くの報道にこそ、メディアリテラシーが必要だという点だ。事実を伝えようと、誠意をもって取材されている情報でも、そこに映し出されない、多くの別の事実や見方が必ず存在しているという事を、受け手は知っておかなくてはならない。
しかし人は、映し出された情報を、それが全てだと思い込み、思考を停止させてしまいがちである。それが最も恐ろしい事なのだと下村氏は強調された。

ハテナ4.まだわからないよね?(結論を即断するな)

1~3では、敢えてわかりやすい事例があげられたが、実際には、なかなか判断がつかないケースも多い。
そういう場合には、情報を受信してから、早急に結論を出す事は避け、保留する事が大切なのだと下村氏は最後にまとめられた。はじめにも記した通り、情報を受信する我々は、被害者にも加害者にもなる危険性がある。一度情報を保留することで、少なくともそのリスクは回避できることになるのだ。

これを機に

以上、下村氏が唱えるメディアリテラシーのポイント「4つのハテナ」を、事例を抜粋・意訳しながらご紹介してきた。
知らなかった事、知ったつもりになっていた事、理解が深まった事など、今回の講演では数々の気づきや考え方のヒントをいただく事ができた。と同時に、メディアリテラシーのスキルアップには、日ごろからの意識的なトレーニングが重要になるとも感じた。人は(私は)すぐに目の前の情報に集中してしまい、思考停止してしまいがちだからだ。
今回の機会を無駄にしないよう、自らのメディアリテラシーのスキルを上げる努力をしてみたいと思った。
まずは、即決を避け、情報を仕分け、見方を変え、俯瞰して情報の周りを想像し・・・。
ふ~む。老化傾向の脳みそには、良いトレーニングになりそうだ。

今月の1枚


(クリックで拡大画像)

 

<コメント>
早いもので、もう10月ですね。
10月らしく、クックパッド(料理レシピサイト)をみながら、炊飯器で超簡単かぼちゃケーキを作ってみました。しっとり派なら牛乳多め。ふんわり派なら小麦粉多めでどうぞ。レシピは「かぼちゃケーキ 炊飯器」で検索。たくさん出てきますよ。

プロフィール

ペンネーム: 津木 雫(つぎ しずく)
オヤジ・オバチャン・オトメのO3マインドを持つ、なんちゃってコラムニスト。
約20年間メーカー勤務。広報・マーケティングを経て、現在フリーランス。
典型的な仕事人間という生活を過ごし、はたと気がつけば人生の折り返し地点。「さぁどうする!」と我が道を振り返っている真最中。
学生時代に、約15カ国を貧乏旅行。
その経験から、今の若者が育つ環境には、問題を自らの力で乗り越える体験が不足していると、感じている。若者教育関連のNPOを立ち上げ、神奈川を中心に現在活動展開中。

 

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