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ヨコハマ・ディスコグラフィティー 第29回 第6章 社会人編 1

by staff on 2014/11/10, 月曜日


 
 

 

HEART&SOUL代表 原 正行

1958(昭和33)年9月7日横浜生まれ、12歳よりギターをはじめ17歳からミュージシャンとして活動。39歳の時に念願だったライブハウスを開業、現在は関内駅北口駅前に60年代から80年代の洋楽ヒット曲を演奏するライブハウス、ハート&ソウルの経営者。他にもミュージシャンとして演奏活動、作曲、プロデュース等、幅広く活動している。

 

横浜、街と風(社会人編) 15(30)

有名コーラスグループのオーディション

ここで前回出た有名コーラスグループのオーディションについて一言。某グループは男女2人づつの珍しい混声グループで、1979年頃2曲の大ヒットを出し紅白にも出場。二人がグループを抜ける為新しいメンバーを探しているところでした。カーボーちゃんから紹介していただき半月ほど前に三曲の譜面とカセットを受け取り、その中にはあの有名曲も、、、。4声なので自分のパートは下から二番目のかなり難しいパート。そのメロディだけ歌うと訳わからないほど不思議なメロディ、それほどコーラスに入れ込んだことがなかったので覚えるのに苦労しました。

やがて当日、東京のレッスンスタジオにいくと他にも確か5名位いたと記憶していますが、床は板張り壁はガラスばりの広いスタジオにひとりづつ通され、そこにはテレビで見ていたメンバーが長テーブルを前に座っていました。他にも関係者らしき人たちが数人。まずは面接、音楽的な話など色々聞かれた後待合室で待ち、全員呼ばれるとダンスのインストラクターがいて、そこでいきなりダンスステップを覚えさせられます。

最初は簡単でしたが、かなり高度になっていき、ダンスが苦手な自分は一人中々覚えられず回りが待っている始末。こりゃダメかなとこの時思っていました。そして控えの廊下で待ち、やがて又一人ずつ呼び出されると、コーラスの時間であの有名なご本人たちが自分の隣に立っています。それだけですっかり舞い上がってしまいましたが、オケに合わせ何とか彼らとコーラスをしましたが上手く出来たかどうか全くわかりませんでした。まあ落ちたという事はそういうことだったのでしょう。ただとても丁寧に扱ってもらえたオーディションでしたので感謝しています。

バンドマン流転

カーボーちゃんも忙しくなり、バンドマン仲間の紹介で東京のバンドに入ることに。そのバンドの衣装は米軍のアーミールックで、デザインは一緒ですが色がカラフルで一人一人違っていました。東京のディスコなどを転々。時には鶴見のバーホール。一番長かったのは上野で終わると終電はなく、週に何回かはメンバーと飲んで時間つぶし、そうでない時は24時間営業の喫茶店で(多分マイアミ?)インベーダーゲームをやったり居眠りしたり、こんな生活に疲れ、すっかり東京に通うのが嫌になりました。更に東京ではあまり受けず少し自信を喪失しかけていたのかも知れません。今思えば自分の未熟さを棚に上げ東京の客は冷たい、音楽を聞いてくれないなどと愚痴っていたようです。

結局又、横浜のバンドに戻りますが、今度はナイトクラブで2ヶ月目にはギャラが遅れ出し、結局半月位のギャラがもらえないまま解散してしまいました。

超高級クラブ

もう音楽から離れようと思いしばらく又学生時代世話になった新聞配送の仕事に戻りました。このままもう二度と音楽を仕事をしないと思う反面、日々が経てば経つほど歌いたいと思う気持ちは募るようになります。そんなある日、ある人の紹介で東京の音楽事務所の人から横浜のお店で弾き語り探してると連絡があり、そのつてで又弾き語りの仕事をやることになりました。ギャラはズバリ月12万円日曜休みで7時から11時45分まで。

まずその事務所と契約を済ませるとテーラーの人が体のサイズを測りに来てくれ真っ白なスリーピースのスーツを仕立ててくれました。そんなホストみたいな服を着てマネージャーに連れられ現地に行くと、そこは関内常盤町2丁目にあった超高級クラブ「ホワイトホース」(仮名)。内装はヨーロッパの王朝造りで床やテーブルは全て大理石。通路には赤い絨毯がひかれ客席は低くゆったりとしていて席と席の間にはミロのビーナスの様な1メートル強の白い彫刻がいくつも飾られていました。ステージは一番奥にグランドピアノがあり一段高い所にステージがあって壁一面がアメリカのホワイトハウスの写真でした。

営業が始まると豪華な和服やきらびやかなドレスをまとったホステスさんが30人位ズラリ。なんとも19歳の自分にはあまりにも異次元の世界でした。

こんなところで一体何を歌えばいいんだと思いながら流行歌や陽水などを歌っていたら和服の40歳位のホステスさんがステージに近づいてきて「先生、リクエスト!」。

先生って俺のこと? と思いながらが見ると割りばしに1万円札を挟んでいました。(当時はまだ絵柄が聖徳太子、当時の1万円札は今にすれば倍以上の価値) びっくりして「はい、曲はなんですか?」と聞くと「無法松の一生、度胸千両入りで!」 え!? ど演歌? 聞いたことないよと思いつつ、「スミマセンやってないんですけど」と答えると大きい声で怒り「あんた、それでもプロ?」と一万円札を放り投げられてしまいました。ウエイターがすっ飛んできましたが、こりゃとんでもないとこへ来ちゃったなと思いました。

リクエスト

しかし音楽事務所に拾ってもらい、スーツまで買ってもらった手前、ここで弱音を吐くわけにはいかないので“何クソ”と思い、ギャラもらってんだからとりあえず何でもリクエストには答えてやろうと思い、片っ端からもらったリクエストをメモっておき、翌日レコード屋へ行き即覚えました。まだCDもyoutubeもない時代、新曲はレコード買うしかありません。歌詞カードにコードだけふって数で勝負してやろうと。若かったから一日3曲覚えたこともありました。もっともこの頃の歌は単純で16小節位が繰り返し3番まであるのがほとんどでした。ただ本気で歌おうと思ったら奥は深いですが、これで自分を評価してもらいたくなかったので「あの先生は演歌下手なのよ」でよかったのです。

まず3原則1、コブシを回さない。2、ビブラートをかけない。3、ムード歌謡のように裏声に返さない! これを守れば演歌をニューミュージックのように歌えます(笑)

でもさすがに下手でもリクエストした翌日歌えばお客さんやホステスは驚き、感謝されます。そのお客さんの顔を見たら即好きな曲を歌えば、そのお客さんは喜び「あいつはいつも俺の顔をみると好きな曲やってくれるんだよな」と自分のことも覚えてくれます。時にはチップが飛びました。こうして3か月後位にはホワイトハウスで社長にも顔を覚えられる位になりました。

HEART&SOUL代表 原 正行)

 

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