Skip to content

ヨコハマ・ディスコグラフィティー 第31回 第6章 社会人編 3

by staff on 2015/1/10, 土曜日


 
 

 

HEART&SOUL代表 原 正行

1958(昭和33)年9月7日横浜生まれ、12歳よりギターをはじめ17歳からミュージシャンとして活動。39歳の時に念願だったライブハウスを開業、現在は関内駅北口駅前に60年代から80年代の洋楽ヒット曲を演奏するライブハウス、ハート&ソウルの経営者。他にもミュージシャンとして演奏活動、作曲、プロデュース等、幅広く活動している。

 

横浜、街と風(社会人編) 17(32)

ピンハネ

超高級クラブ “ホワイトホース” では流行歌をいち早く取り上げるのでホステスさん達には受けていましたがまだ19才か20才位の自分が歌う曲がお客に受けているとは思えませんでした。お客の年齢層が大体40才から60才台。大好きなビートルズはまったく受けず、フォークはクラブには合いません。やがてアメリカンオールディーズを歌うとお客の反応が良いことに気づきポールアンカやニールセダカを演奏すると客が踊りだします。そこで片っ端からオールディーズの客を覚えるとやがて高齢のお客たちにも受け始めました。そこでオールディーズの曲をメドレーにつなぐパターンをいくつか考えたらやがてこれが人気メニューになりました。元々オールディーズは16才の時映画「アメリカングラフィティ」にはまり一時凝っていたので自分も大好きなので助かりました。

ホステスさん達やスタッフとも仲良くなり店の社員旅行で熱海まで連れてって貰ったり本当にかわいがってもらいましたが、そんなある時たまたまある人からホワイトホースでは自分にギャラが倍以上出ていると聞かされました。事務所がピンハネしていたのです。本当はこういうことは公然の秘密ですがあまりの額の違いに驚いてしまいました。少しやる気を無くしこの店を辞めたいと考えていた所へ横浜関内のおしゃれなディスコのバンドでボーカルをやらないかという話がきました。そこは洋楽だけでOKという事だったので2軒目のお店をやめてそのバンドに加入することに決めました。

伝説のディスコ “マジック”

そこは現在のBarBarBarの二階にあったマジックという店で3人の共同経営者による運営でした。一人は元ブルージーンズのシンガーで関内で有名な売れっ子弾き語りをしていたKさん、一人はこの店の内装を設計したTさん、もうひとりはママを兼ねるEさん。何しろ当時にしては豪華でオシャレな内装で照明や音響にすごくお金をかけていました。当時は珍しかったJBLの馬鹿でかいスピーカーが2発あったり、ガラス張りのDJブースに照明兼音響スタッフがいたり、安っぽい服では入れない大人の雰囲気が漂っていました。ある日メンバーが集合しドラム、ベース、リードギターの3人とサイドギターの自分と4人編成で“BIC BOYS”と名付けられ、全員がコーラスが出来るのが売りということで早速リハーサルが始められました。自分が得意とするオールディーズやそのとき流行っていたディスコナンバーを片っ端から覚えレパートリーにしていきました。シンガーのKさん指導の下、来る日も来る日も練習練習の日々。そしてやがて初舞台。しかしお店はあまりお客さんが入っていませんでした。この店にはすでにジャズ系のトリオが入っていましたが、客受けの良いポップスやダンスナンバーが出来るバンドを育て店を活気づけようということで、その内ジャズのバンドは外され自分たちだけになりましたが、果たして自分たちでこの店を繁盛させられるのか不安でした。

Bic Boys

当初ガラガラだった店もやがてお客の数も増えていき、常連も現れ当初は聞いているだけの客も徐々に踊るようになり、週末にはまあまあ埋まるようになってきました。豪華な内装に加え、この “マジック” はフレンチベースのお料理が半端じゃなく美味しかったのです。まあ少しは自分たちの功績もあったかとは思います。やがてサウンドを豪華にしようという事でキーボード入れることになり、昔東京でやっていた頃のバンマスのSさんを呼び5人編成になりました。この時自分はコーラスパートのトップ、ファルセットボイスが得意でアースの「宇宙のファンタジー」やスタイリスティックス、18番はエディホールマンの「ヘイゼアロンリーガール」。この当時は洋楽ではファルセットでリードをとる曲がヒットしていて、マイケルのアルバム「オフ・ザ・ウォール」が出た頃です。「今夜はドントストップ」や「オフザウォール」なんかも演奏していました。

始めて半年頃にはかなりバンドの音もまとまってきて、お客様も入る様になりファンもつくようになりました。

しかしそんな頃メンバー間とうまく行かなくなり1年経たないうちに解散となり “マジック” のやめることになりました。今考えれば私のワガママが原因だったかなと思います。メンバーや可愛がってくれた人たちには申し訳なかったと思っています。若い頃は短気で激情型でした。まったく恥ずかしい限りです。

ローズバンド

“マジック” が伝説になるのは実は私たちが辞めた後、フィリピンバンドの五人組超絶テクニックのローズバンドというのが入ってからです。ボーカルのクリスは日本で人気があった元GSのスナーズのリードボーカルで、当時流行り始めたジャーニーやフォリーナーをいち早く取り入れ原調で歌ってしまうロックな驚異のハイトーンボイス。ベースのアトはフォートップのリードシンガー “レヴィ・スタッブス” にそっくりのソウルフルなハスキーボイス。ケニーロジャースの「レイディ」なんか歌わせると鳥肌が立ちました。ギターはファルセットでサンタナが超うまかったし、何しろ全員コーラスが出来てその美しさはハンパではありませんでした。彼らが入ると噂が噂を呼び連日超満員で週末は入口に長蛇の列が出来、店内と店外でトランシーバーで連絡を取り合いお客を整理するほどでした。たしか3、4年は続いたと思います。私も度々聞きに行き正直これはかなわないと思い逆にファンになってしまいました。

ファルセットボイス(1)

今回はファルセットボイスについてお話したいと思います。私ごとですが、先ほど書いたように裏声は私の売りでしたが、ある日突然まったく出なくなりました。まだストーリーとしては先の話なので後でじっくり語りますが、歌い手として人生最大のショックでした。そこでファルセットとはなんぞやという事でお話してみようと思います。

声には普通に喋る声、歌う声を『表声』。その上の一段高いところにある力のない声を『裏声』と呼んでいます。ファルセットは歌用語で使われる場合、『裏声』の種類の一つです。

裏声には基本的に3種類、ミドルボイス、ヘッドボイス、ファルセットボイスです。一般的に低い声から上げていってレからファの間で切り替わるのがファルセットボイス、わかりやすく言えばミッキーマウスの声ですね。あとは喉の開け方締め方、出す息の量の調節によって名前が変わります。

まずヘッドボイスですが、息を多く使い喉を開いて出すクラシック的な発声で、ダークダックスさんなんかこれだと思いますが、芯のない柔らかく太い声で、かなりの訓練が必要とされます。普通、下から発声練習した場合、転換点がはっきりしてしまいますが、この発声だとスムーズにつながります。ファルセットボイスは更に喉を詰め息を軽く漏らした感じで出す裏声です。ポピュラーミュージックのほとんどはこれだと思われますが、代表的なところを挙げれば、ビーチボーイズなんかがこれではないでしょうか。更にもっと喉を詰め息を絞ると芯のある硬くて強いミドルボイスになります。ソウルシンガーで裏声でソロを歌う人はこれに近いと思われます。強く喉を搾り出すので相当強くて大きい声帯を持っていなければいい声は出せないでしょう。更にこのミドルボイスを鍛えに鍛えるとヘヴィメタルの高音になります。喉ちんこは上に上がりきって見えなくなり固く大きな力強い声になります。これはミックスボイスと呼ばれることが多いようです。

実はこの上に裏声の裏声ハーモニックスというのがあります。これは持って生まれたものやと、てつもない訓練によって実現出来るとされています。女性ではラビングユーのミニーリパートンやマライヤ・キャリー、男性ではアースウインド&ファイヤーのフィリップベイリーなどが出せます。以前私も発声練習の時偶然何度か出たことがありますが、これが出ると更に一オクターブ増えることになります。

(続きは次号へ)

HEART&SOUL代表 原 正行)

 

HEART&SOUL DATAMAP

HEART&SOUL
〒231-0014 横浜市中区真砂町3-33 CERTE11階
営業時間
平日:OPEN 19:00 CLOSE 4:00 LIVE START 19:50~
休・祝日:OPEN 18:00 CLOSE 24:00 LIVE START 18:40~
TEL:045-664-5569
JR関内駅徒歩より1分
地下鉄関内駅より徒歩1分
Websie http://www.heartandsoul-live.com/

バックナンバー

 

Comments are closed.

ヨコハマNOW 動画

新横浜公園ランニングパークの紹介動画

 

ランニングが大好きで、月に150kmほど走っているというヨコハマNOW編集長の辰巳隆昭が、お気に入りの新横浜公園のランニングコースを紹介します。
(動画をみる)

横浜中華街 市場通りの夕景

 

横浜中華街は碁盤の目のように大小の路地がある。その中でも代表的な市場通りをビデオスナップ。中華街の雰囲気を味わって下さい。
(動画をみる)

Page Top