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第25回 どあっぷ 「『猫の手ゼミナール』を取材 猫の手も借りたい!」

by staff on 2015/1/10, 土曜日

みなさんこんにちは!
シチズンシップ教育の普及をめざすために活動している、NPO法人ど・あっぷ!です。
このコーナーでは、市民度の高い人や団体を、ど・あっぷ!が勝手に紹介します。
記事の最後には団体のFacebookページのURLやTwitterのアカウント名も載せていますので、ぜひぜひそちらもチェックしてみてくださいね!

 

「ど・あっぱーず☆見つけ隊」vol.15
大学生・専門学生向け学習塾「 猫の手ゼミナール」

あけましておめでとうございます。今年もど・あっぷ!は様々な活動に取り組んでいきたいと考えていますので、ぜひぜひ皆さん今年も暖かい応援よろしくお願いします!

さて、今回は新年1発目の団体紹介ということもあり、今までの回と少し異なったタイプの団体を紹介したいと思います。今までは学生団体や非営利団体の紹介が多かったかと思いますが、今回はとある企業の代表の方にお話を伺ってきました。大学生・専門学生向けの塾「猫の手ゼミナール」の塾長である渡邊 峻(わたなべ しゅん)さんです。

 

大学生・専門学生向け学習塾「 猫の手ゼミナール」取材風景
大学生・専門学生向け学習塾「 猫の手ゼミナール」取材風景

今回は、4月から大学生になる方や、大学生のお子さんやお孫さんがいらっしゃる方達だけでなく、渡邊さんのお話は起業に興味のある方にもご紹介したい内容ですので、興味のある方はぜひ最後までおつきあいください。

多様化する入試形態と広がるギャップ

大学生や専門学生向け学習塾というと、国家公務員試験などの試験対策や資格対策をする予備校が想像されますが、猫の手ゼミナールはそうした予備校とは支援内容が異なります。猫の手ゼミナールが支援するのは、主に単位取得と就職活動です。筆者自身卒業を間近に控える大学生ですので、大学生向け就職支援予備校はいくつか聞いたことがあり、また利用している友人もいました。しかし、「単位取得支援」を行なっている予備校は聞いたことがなかったので、最初は「ユニークなビジネスをされているな」という認識でした。しかし、渡邊さんのお話を聞いていくうちに、単位取得支援が必要であると切に感じる現状があることが分かってきました。

2014年3月にNHKで大学中退者の特集を行なっていました。その番組によると、大学の進学率は約50%で、進学した者のうち、ここ数年は中退者が約10%、数にすると約6万人が大学を中退しているそうです。20年前、中退者は入学者の約5%だったことを考えると、大学に入学する意味が変化している中で単純には比較できないとは思いますが、しかし増えているという現状があります。

中退の理由は様々ありますが、その中の一つが「単位が取れない」というものです。入学試験に合格した者はその大学で学ぶだけの力があると認められた人であり、したがって単位が取得できないのは本人の努力不足であるとばっさりと切り捨ててしまええれば問題は単純ですが、どうやら問題はもっと深いところにありそうです。

少子化が進む中、大学は学生を獲得するのに必死です。学生を獲得するために行なっている対策の一つとしてあげられるのが「入試形態の多様化」です。今までは前期後期日程だけだったのを、中期日程を増やしてみる、一律5科目受験だったものを3科目受験も選択肢として選ばせる、センターの得点だけで合否を決めるなど様々あります。猫の手ゼミナールが特に支援しているのは、この中でも特にAO入試や推薦入試と呼ばれる入試形態で合格した学生達です。AO入試や推薦入試の特徴は学力検査がないことです。私はAO入試や推薦入試といった形態は、学びたいという気持ちのある人が学ぶ機会を得やすくなるという点において非常に意義のあるものであり、今後も存在すべきだと思います。しかし、そうは言うものの、ある一定の基礎が身に付いていないと大学で学ぶ内容が身に付かないのもまた事実です。数学が苦手でも他の点で評価されて入学してきた理系の学生は、再度大学の授業で数学に苦しむことになります。高校の内容でつまづくと、大学で学ぶことはその高校の内容を大前提としているため、全く歯が立たなくなり、単位が取得できずに進級ができず、中退という決断にいたってしまうのです。

渡邊さんは、大学に在学中にこうしたAOや推薦枠で入学し、大学の講義についていくことができない学生の支援をボランティアでしていたそうです。最初は知人数人に数学を教えていたところ、口コミで評判が広がり、1回勉強会を開催すると100人もの人が参加するまでに大規模になったそうです。それほど多くの大学生が支援を欲していたと言うことの表れではないでしょうか。

ボランティアの難しさ

渡邊さんは学習支援の必要性を感じながらも、次第にボランティアでやっていくことの難しさを感じるようになったとおっしゃっていました。同じ大学生が大学生を教えているため試験日程がかぶってしまい、他の生徒の手助けなどしている余裕がないなか、無報酬で指導してくれる学生は他にいるのかという不安があったそうです。また、なんと渡邊さんは数学を教えるためのプリントを自分で作成し、人数分を印刷して無料で参加者に配っていたそうです。参加者が数人のうちは少なかった負担も、100人ともなれば印刷代などのコストが大きくなってきます。 自分が卒業した後、この活動を続けていく人はいないだろうと思い、なんとか支援を継続して行なう方法はないのかと考えた渡邊さんは起業を思いつくのでした。そこでうまれたのが「猫の手ゼミナール」です。

不安と喜び

起業に関して不安はなかったのか尋ねたところ、ノウハウも資金もない中始めたビジネスが果たして本当にニーズはあるのかとても不安だったとおっしゃっていました。しかし、2014年の4月に始めたばかりにも関わらず、着実に生徒さんが入塾していて、分数ができず、他の予備校では入塾を断られてしまった生徒さんも猫の手ゼミナールに参加し無事に合格点をとることができるなど実績もだしていっています。

渡邊さんは大学時代に無償で支援をやっていたこともあり、当初はお金を受け取ることに罪悪感があったそうですが、しかし最近ではビジネスをしてよかったと思えるそうです。「大学でやっていたときは無料だからこそ参加していた人たちもいた。しかしビジネスとしてこの支援活動を始めて、お金を払っても『ありがとう』と言ってもらえ、感謝の気持ちを表してもらえたことに非常に嬉しさを感じた」とはなしてくださいました。

最後に渡邊さんは、1度ドロップアウトすると学校に戻るのは非常に大変なので、少しでも不安に思うことや、行き詰まったら相談だけでもしにきて欲しいとおしゃっていました。不安を抱えている方や支援に興味がある方は1度ホームページを訪れてみるのもいいかもしれませんね。

猫の手ゼミナールHP: http://nekonotezemi.com/index.html

取材後記

大学は多くの人にとって初めて「自己責任」という言葉を強く痛感する場なのではないかと個人的に思います。高校までは担任の先生がとても真剣に進路や成績について心配してくれて、いついつまでに何をしなければいけないか先回りして教えてくれます。しかし大学に入った途端自分で必要な情報は集めなくてはいけなくて、知らない人は調べない方が悪い、準備しなかった自分が悪い、となるわけです。そう言われてしまうとぐうの音もでないぐらい事実なのですが、しかし戸惑いが先行してしまい、このギャップにすぐに慣れるのは困難です。大学の教員もまたとても心配し、策を講じてくださっているようですが、高校ほど親密な関係が築きづらく、その気持ちも学生には届きづらいです。そんな「孤立無援」だと感じてしまう環境の中でどんどん授業にもついていけなくなっていけば「もう無理だ」と思ってしまう気持ちもよくわかります。そのような中、お金と言う対価を払うことで手厚い支援を受けられるという選択肢があることは非常に心強いと思ったのでした。

ど・あっぷTV

猫の手ゼミナールの詳細が動画でわかりますよ!是非こちらもご覧ください。


http://www.youtube.com/user/douptv

(写真・イラスト:NPO法人ど・あっぷ!(DO UP!) / 文:大越 実花)

 

★ど・あっぷに「参加したい」、「ワークショップをやってもらいたい」、「ミーティングを見てみたい」等等、どんなことでも結構です。ご興味がありましたら、是非ご連絡ください。

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