Skip to content

ヨコハマ・ディスコグラフィティー 第35回 第6章 社会人編 7

by staff on 2015/5/10, 日曜日


 
 

 

HEART&SOUL代表 原 正行

1958(昭和33)年9月7日横浜生まれ、12歳よりギターをはじめ17歳からミュージシャンとして活動。39歳の時に念願だったライブハウスを開業、現在は関内駅北口駅前に60年代から80年代の洋楽ヒット曲を演奏するライブハウス、ハート&ソウルの経営者。他にもミュージシャンとして演奏活動、作曲、プロデュース等、幅広く活動している。

 

横浜、街と風(社会人編) 21(36)

出会い

とあるお店で歌っている時に、近所のクラブで演奏しているグループがよく休憩の時に飲みに来ていました。自分の演奏を気に入ってくれてたようで、すぐ仲良しになりました。リーダーはパーカッションのRさん。一緒に来ていたボーカルの女性Mさんがともかく綺麗でこの二人とはこの後長い付き合いになります。

Rさんとは一緒にバンドを組み仕事をしました。もう二度とバンマスはやらないという私に「店との交渉やマネージメントは自分に任せてくれ、希望のギャラを払うから音楽的のリーダーを勤めてくれ」という事でRさんと組む事になりました。かなりの額を提示しましたが彼はそれを支払ってくれ10年近くマネージャーとしてお世話になることになりました。Rさんはかなりの交渉上手で、そうとうお店はギャラは出していたようです。いくら出ていたのか全く分かりませんでしたが、私的には煩わしい事がなくなり音楽に専念出来たので今でも感謝しています。夕方から12時までの時間、横浜駅周辺で2軒掛け持ちしたり、関内の高級クラブだったり本当に良く仕事を見つけてきてくれました。

Mさんは超色っぽいボーカルで、この時はまだ駆け出しで20歳そこそこでしたが、歌の旨さは群を抜いていました。彼女とはよく飲みに行き男女を超えた友達としてお付き合いさせていただきました。数年後メジャーレーベルからデビューしてアルバムとシングル数枚を出しています。テレビにもよく出ていました。その後は関内にお店を持ち最高のピアノバーを経営して美人ママとして知られています。彼女は実は家内を紹介してくれた人であり私にとっていまでも親友です

ナイトアウル

若葉町本通りのボウリング場を黄金町に少し行った所に気になる店が、、、黒人音楽専門店の看板に店の名前がナイトアウル。ある日意を決して行ってみる事にしました。薄暗い階段を2階へ登って店の扉を開けると「いらっしゃいませ」の声が、、、4~5人座れるカウンター越しに背の高いマスターらしき人がレコードをかけていました。壁一面レコード棚で全てが黒人音楽のものだという。ソウル、R&B、ブルース、ゴスペル、ありとあらゆる黒人音楽が揃っている。窓は締め切られていてその前にアルテックのスピーカーA7が両端にでんと置かれている。ど真ん中には10人位座れる丸テーブルがあり奥には大きいボックス席が3つ程。夕方6時くらいから朝5時位までずっと黒人音楽のみを大音響でかけている。なにしろ音が良い。バスドラムの音はそこにドラマーがいて叩いているような生々しさ。抜けの良さ。もうここが気に入りしばらくは1日とて行かない日が無いくらい通いました。ひと月に15万くらいは飲んだり食ったりして使っていたでしょう。まだソウルバーなんてものが何処にもない時代こんな店はここしかありませんでした。

マスターは黒人音楽全般に通じていてレコードコレクターでもある。彼から黒人音楽について様々な事を教わりました。店は奥が住居になっていて時折奥さんが手伝い、まだ小さい娘が深夜だというのに周りをうろつくし、ちょっとした異次元空間。お店は渋く暗くてお世辞にも流行っているとは言えませんでした。しかし、かかっている音楽は最高。ここで70年代のスイートソウルにハマり、レコードも売っていたのでここで月に20枚くらいは買っていました。柳ジョージさんが同級生だということで時々来ていましたね。7年後位に金銭トラブルでお店が無くなってしまったのが残念です。ずっと横浜に有り続けてほしい店でした。

ハーバーガイズ

1982年のある日、とある人から電話があり深夜の仕事がある、一度歌いに来て欲しいと言われました。行ってみると客船の中をイメージしたオシャレな店で、ホール中央のステージの床は敷き詰められた白いアクリル板に下から照明が当てられその上には白いグランドピアノが贅沢に置かれていました。メインの壁には5メートル程の横浜の夜景を移した大きいパネルにスポットが当てられている30坪程のお店で、ここが一発で気に入ってしまいました。心の底からここで働きたいと思ったのです。オーディションには確か陽水を歌ったような気がします。電話をくれたのはここのマネージャーのY氏で数日後オーディションに受かったと連絡があり、この後メインのお店としてここで15年間の時を過ごすことになります。

 

ここからは原の音楽夜話 - ファルセットボイス(ブラック編3)

スタイリスティックス

フィラデルフィアで男性ファルセットボイスを活かした名曲『La La Means I Love You』をデルフォニックスというグループがヒットさせました。これをプロデュースしたのが名プロデューサーのトム・ベル。クラシックなども学んだ天才で彼はこれに続くグループとしてスタイリスティックスを手がけます。

スタイリスティックスは5人組のコーラスグループで、ラッセル・トンプキンズJr.というファルセットボーカルを擁していました。トムはその声を気に入り、ラッセルのファルセットを活かした曲を作ります。美しさに加え太く品があって落ち着いた感じのファルセットは、ストリングスを多用したトムのサウンドに溶け込み、ファーストアルバムのスタイリスティックス登場は立て続けに『You Are Everything』など4曲の大ヒットを産み出しました。ファルセットを歌う人は基本的に高音を出したがりますが、トムはレコーディングの時に高い声を出したがるラッセルにできる限り低い音で歌わせました。これが功を奏し3枚目のアルバムまでトムのプロデュースで名作を発表しています。4枚目からはトムと離れヴァン・マッコイなどを起用して『愛がすべて』など数々の作品を出しますが、ヨーロッパや日本では大ヒットしましたが本国ではソウルファンが離れて全盛期ほどではなかったようです。やはりトムベルとステイリスティックスのコンビは鉄壁でした。

彼らの名曲『You Make Me Feel Brand New(誓い)』はトムベルの曲、アレンジ共に秀逸で、まずバリトンのエアリオン・ラブのリードから始まり途中からファルセットのラッセルにリードがチェンジ、サビで重厚なコーラスを楽しめるコーラスグループならではの魅力を1曲で味わえる作品です。

ソウルコーラスグループの聞き方

欧米の音楽は基本的に和音で構成されていて、クラシックから教会音楽に至るまでハーモニーは欠かせません。小さい頃からハーモニーに親しんできた欧米人にはコーラスグループは当たり前の世界です。ドミソの3和音が基本なので3人組のグループが多いですが、それにベース担当が加わった4人組、更にテンションのある和音を出す為の5人組グループと様々です。

ソウルコーラスグループの聞き方としては、まずはハーモニー! 個性的な声の人が集まると個性的で魅力的な和音が生まれます。綺麗な声の人を集めたからといってそれが魅力的なハーモニーになるとは限りません。色んな声が集まるからソウルコーラスは面白いのです。

又、どのグループにも主旋律のメロディを歌うリードシンガーがいて、声量がありしゃがれた声で個性的な声の人が多かったようです。そして、必ずファルセットを担当するシンガーがいます。例えば『マイガール』がヒットした当時のテンプテーションズ(テンプス)には、重厚な低音を出すベース担当のメルビン・フランクリン、強力なしゃがれ声でリードも取れるバリトンのポール・ウイリアムス、アルトのオーティス・ウイリアムズ、そして『マイガール』を歌っていたリードのデビッド・ラフィン、ファルセットのエディ・ケンドリックス。一人ひとりの声が強力に個性的で素晴らしいハーモニーが生まれます。そして、それぞれのソロパートが来るとその音域の違い、声の違いを楽しめます。これにハマってしまうとヤミつきになりアルバムを買うのが楽しみになります。『Papa Was a Rollin’ Stone』は、そんな声の違いを楽しめる1曲です。テンプスは61年の結成され64年に『マイガール』が全米1位になってから70年代80年代までメンバーチェンジを繰り返しながらトップグループとして大活躍しました。現在も活動していますがオリジナルメンバーはオーティスウイリアムス一人になってしまいました。

(続きは次号へ)

HEART&SOUL代表 原 正行)

 

HEART&SOUL DATAMAP

HEART&SOUL
〒231-0014 横浜市中区真砂町3-33 CERTE11階
営業時間
平日:OPEN 19:00 CLOSE 4:00 LIVE START 19:50~
休・祝日:OPEN 18:00 CLOSE 24:00 LIVE START 18:40~
TEL:045-664-5569
JR関内駅徒歩より1分
地下鉄関内駅より徒歩1分
Websie http://www.heartandsoul-live.com/

バックナンバー

 

Comments are closed.

ヨコハマNOW 動画

新横浜公園ランニングパークの紹介動画

 

ランニングが大好きで、月に150kmほど走っているというヨコハマNOW編集長の辰巳隆昭が、お気に入りの新横浜公園のランニングコースを紹介します。
(動画をみる)

横浜中華街 市場通りの夕景

 

横浜中華街は碁盤の目のように大小の路地がある。その中でも代表的な市場通りをビデオスナップ。中華街の雰囲気を味わって下さい。
(動画をみる)

Page Top