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伝統を守りながら時代のニーズも取り入れて新しいメニューを開発されている横浜最古参のお蕎麦屋「江戸藤」の郡谷洋一さん

by staff on 2015/6/10, 水曜日
横浜最古参のお蕎麦屋「江戸藤」の郡谷洋一さん
横浜最古参のお蕎麦屋「江戸藤」
郡谷洋一さん
 
お名前 郡谷 洋一(こおりたに よういいち)
お生まれ 60代
お住まい 横浜市南区在住
お仕事 蕎麦処「江戸藤」(えどふじ)店主
横浜市南区真金町2-12
TEL:045-231-5788
営業時間 11:00~19:00(通し営業)
定休日 毎週木曜日(祭日の場合は翌金曜日)

「江戸藤」は、横浜市内で一番古い蕎麦屋さんになるとか・・・

「江戸藤」は、創業120年になります。私で3代目です。初代は福井県出身で、明治時代に団子坂の「蔦屋(つたや)」、通称藪蕎麦で修行して花板(板長)になった人です。明治中期に開業し、昭和になってから、横浜橋に店を構えました。それからずっと同じ場所で、蕎麦屋をやっています。2代目は初代の息子の私の父でした。父は「蕎麦猪口」の収集家としても知られていた人で、全国津々浦々を回って集めた「蕎麦猪口」を店内に飾っています。

 

(クリックで拡大画像)

店内に飾ってある「蕎麦猪口」
店内に飾ってある「蕎麦猪口」

跡を継げと言われていなかったそうですね・・・

学生時代は、ジャズバンドでボーカルをやっていてプロを目指していました。大学卒業後は音楽家になるつもりで、横浜の進学校の音楽講師などもやりました。いろいろなことがありましたが、27歳のときに3代目を継ぐことを決意しました。

最初は出前からです。出前は10年近くやりましたね。出前を増やすための営業も行いました。まさに修行時代です。

「そば作り」については、遅いスタートの分を取り戻すべく猛勉強しました。毎日、店が終わってからマンツーマンで指導を受けました。「そば作り」は、そば粉と水加減がポイントになります。これまで国産そば粉にこだわって、ずっとやってきました。

横浜橋という庶民的な商店街の中で続けてこられたのは・・・

うちは、地域の方々を対象にしている蕎麦屋です。お客様のことを考えて、リーズナブルな価格設定にしています。お昼から夜まで通しで営業していることも喜ばれています。

初代の頃から量が多くていいね。と言われています。最初から大盛りがでてきますから・・(笑)
「そばつゆ」も藪系の汁は辛いのですが、お客様のことを考えて先代はマイルドにしました。「そばつゆ」を変えるということは大変なことで、すべてのメニューを見直しました。

横浜橋商店街: http://www.yokohamabashi.com/
横濱そば処 江戸藤: http://www.yokohamabashi.com/shops…

(クリックで拡大画像)

お店正面
お店正面

 

時代物の看板
時代物の看板

 

店内
店内

新メニューを開発されているということでも有名ですね・・・

今でこそ、どこの蕎麦屋さんでも「セットもの」があります。うちでは「膳もの」と呼んでいますが、最初に始めたのは「江戸藤」だと言われています。

30年ほど前、蕎麦も丼も食べたいけれど一人前ずつは多いね・・という女性客の声を聞いて、それなら二つ味を楽しんでいただく形にしようということで生まれたのが「そば御膳」です。

うちの御膳は、半人前を2つではなくて、2つで他の1.5人前になるようにしています。お芝居見物の後に来店される高齢の方でもすべて食べられていますよ。

名物の「そば御膳」は、蕎麦と海老と数種類の野菜の天ぷらがのっていると天丼、そのほかに煮物と向付、香の物がついています。ご注文される方は、こんなについていてこの価格(現在は1,100円)とどなたも驚かれますね。

「そば御膳」をメニューとしてお客様にお出しするまで、2年くらいは試行錯誤しましたね。調理場の導線をどうするかから考えました。「御膳」は様々な種類があります。カツ丼、うな丼、フライとの組み合わせなど40種類以上はあります。

今でもアイデアが浮かぶと試してみます。メニューが増えて続けている蕎麦屋も珍しいのではないしょうか。

お店正面名物の「そば御膳」

新メニュー開発の原動力は何ですか・・・

お客様の食べ終わった後の「お腹いっぱい・・美味しかった」という一言ですね。常にお客様の目線で考えることを心がけています。これを食べたい・・というお客様の要望に応えていくのが我々の仕事だと思います。蕎麦屋の前に音楽家をやっていたので、第三者的な視点を持てるのかもしれません。

最近は、インターネットの口コミサイトでいいことも悪いこともすぐに広がってしまうことを懸念しています。人の意見に惑わされず、まずお店に来て味わって感想を言ってもらいたいですね。

そば組合のお仕事もされているとか・・・

最近はどの業界も仲間同士の結びつきが薄れてきて、組合員数が激減しています。厳しい時代だからこそ協力していかなければと想いで、業界紙(麺環かながわ)の編集を手伝っています。若い方々には積極的に組合に参加していただいて、広い視野で同業者のノウハウを勉強して、営業に役立てていただきたいですね。そば組合では今後、技術の伝承のために動画配信なども行っていく予定です。

どの蕎麦屋さんもお客様の高齢化が問題になっています。若い方、特に女性が一人でも気軽に入れる蕎麦屋さんになっていかなければと秘策を練っています。

麺環かながわ: http://www5f.biglobe.ne.jp/~sobakumiai/

郡谷さんにとって横浜は・・・

私は横浜橋商店街で商売させてもらっていますが、ここは人情味の溢れる場所です。横浜はとてもあたたかいところですよ・・と仰って「人と人、下町のふれあい。」と書いてくださいました。

お店正面郡谷さんにとって横浜は・・・「人と人、下町のふれあい」

<インタビューを終えて>

横浜橋という庶民的な商店街の中で、伝統の味と技と引き継いで続けてこられたのは人並みならぬ精進をされてきたからだと思います。伝統を守りながら時代のニーズも取り入れて新しいメニューを開発されている、郡谷さんの心意気に乾杯です。

インタビュー・文:渡邊桃伯子

 

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