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第28回 筑波大学附属小学校の模擬授業をヨコハマで開催します!

by staff on 2015/10/10, 土曜日

筑波大学附属小学校の模擬授業をヨコハマで開催します!

みなさんこんにちは!
市民度アップを目指し活動する、ヨコハマのNPO法人ど・あっぷ!です。
来る10月17日、「子どもたち一人ひとりが問い続ける社会科づくり」と題して、筑波大学附属小学校の社会科授業をご紹介するイベントを実施します。(会場:神奈川県民サポートセンター)

今回、講師を務めていただく由井薗健先生は、全国から多くの先生方が参観に来られる事でも有名な筑波大学附属小学校の社会科の先生です。由井薗先生の授業は、単一的な価値基準から思考を停止してしまいがちな私たち大人たちにも、大変大きな気づきを与えてくれる、高度で奥の深い授業。きっと皆さんは、「これが小学校の社会科なのか!」と驚かれることでしょう。
今回のイベント内容は、教員向けの内容になりますが、是非この機会に教育関係者の方々だけでなく、多くの方々にもご参加いただきたいと思います。

イベントの詳細、お申込みはこちら
https://senseiportal.com/events/33458

それに先立ち、今月号では、由井薗先生の授業づくりについて、少しご紹介させていただきたいと思います。
最後までどうぞお付き合いください。

「問い続ける力」とは

由井薗先生の授業づくりには、一貫してあるポリシーがあります。それは、「問い続ける力」を育むという事。

由井薗先生も著者の一人として、ご自身の授業をご紹介されている書籍「筑波発 社会を考えて創る子どもを育てる社会科授業」の中で、先生は「問い続ける力」を次のように提唱され、「問い続ける力」を育成することこそが、「社会を『考創』する子ども」を育むために必要不可欠なことだと記していらっしゃいます。

  • 自ら社会的事象に問いかけ、その問題を解決するために、既有の知識や経験を根拠に、資料収集や仲間との議論を通じて、多面的に思考・判断し、ねばり強く問題を探求していく力。
  • みんなが幸せになるために「どうすればよいのか」と自らの生き方を問い続け、よりよい社会形成の参画につながっていく力。
 

筑波発 社会を考えて創る子どもを育てる社会科授業
筑波発 社会を考えて創る子どもを育てる社会科授業
詳細はこちらをご覧ください

そしてこれは、私たち「ど・あっぷ!」がこれまで目指してきたシティズンシップ教育そのものとも言える内容です。

私たちはこれまで、社会に主体的に関わり問題解決意識を育むようなシティズンシップ教育(又は主権者教育)を、諸外国でも行われているように、公立学校のカリキュラムに導入されることが理想と考え、活動してきました。
例えば、社会科や総合学習の時間をいただき、シティズンシップを学ぶためのオリジナルのワークショップ(民主主義やメディアリテラシーなど)を実施する形でトライアルを重ねてきました。

実は由井薗先生のクラスでも、昨年、私たちの民主主義を学ぶワークショップを実施させていただき、私たちもたくさんの事を学ばせていただきました。
※筑波大学附属小学校でのど・あっぷワークショップの様子はこちら
http://yokohama-now.jp/home/?p=12137


筑波大学付属小学校でのど・あっぷ!ワークショップの様子

勿論、この形式は教員の負担軽減に役立つなど、メリットもあるのですが、由井薗先生の社会科の授業は、普段から、民主主義やメディアリテラシーなどを含むシティズンシップの基盤ともいうべきスキルをフルに活用して取り組むものでした。つまり、普段の社会科の授業で、社会科の知識もシティズンシップの意識も育まれていく内容です。
扱う内容が、産業であれ、歴史であれ、「問い続ける力」を育む事をベースに構築されたその授業は、暗記科目という社会科のイメージとは全く異なる驚くべき内容です。
さてそれは、どのような授業なのでしょうか。少し具体的にご紹介したいと思います。

「元寇」の時代、北条時宗の決断にせまり苦悩を考える?

例えば書籍の中では、鎌倉時代の北条時宗が、「元寇」という問題にどう向き合い、決断したのかという難しい内容に取り組む生徒たちの様子を紹介しています。

それは、「○○年にだれだれがなになにをしました。その事件を◎◎といいます。」といった、私たちが知る歴史の授業とは全く異なるものでした。

天皇・貴族社会から武家政権への転換期である鎌倉時代、土地(恩賞)を介した主従関係の成り立ちと、崩壊までを学ぶ単元です。
ここでのクライマックスは、この時代の最大の国難であった「元寇」に対峙した、北条時宗の心情に深迫ること。時宗の下した決断や葛藤に深く迫る過程で生じた「自分たちの問題」を通じて「御恩・奉仕」といった事柄の理解を深めていく内容となっています。

まず子どもたちは、次のようなテーマを調べていきます。
「武士と貴族の違いはなんだろう?」「なぜ頼朝が平氏に勝てたのか?」「なぜ頼朝は鎌倉に幕府を開いたのか?」。
お気づきの通り、どれも「なぜ?」その結果に至ったのかを子どもたちが調査し追及していくもので、知識や回答を子どもに教え示すスタイルのものではありません。

そして時代は、鎌倉時代最大の国難「元寇」にさしかかると、子どもたちは、「北条時宗が元の使者を切り捨てた行動をどう思うか?」「時宗の悩みとは何だったのだろう?」といった問いに取り組んで行きます。
子どもたちは、その時代の背景や「元寇」後の日本がどうなったのかを調べ、この問題に対峙した北条時宗の決断に触れていきます。時宗個人の心情を想像し、下した決断に至るまでの悩みや葛藤を教室の仲間とともに考察していくのです。

社会で起こった問題には、人が介在し、人が下した決断には、必ずその背景があり、苦悩や葛藤の末に導かれたものである事を、子どもたちは歴史の授業からも学ぶのです。
そして節目節目で必ず「自分ならどうするのか」と自分自身にも問う作業を行います。その時、問題は一気に自分事となり、当事者として問題が見えてきます。他人事として見える問題と、自分事として見る問題とでは、見え方は大きく異なることでしょう。
そして仲間と意見を交換しあう中で、「みんなの幸せのために、本当にそれで良いと思うのか」と、自らに問い直すことを繰り返し行っていきます。

これを、小学生が行っているのです。

書籍の中で先生は、「現実の社会に根ざす重大な問題が、一人ひとりの生き方と結びつき『自分たちの問題』として追及していけば、子どもは、一様な紋切り型の意思決定では落ち着かない。教室の仲間や教材との豊かなかかわりを通じて、人と自然、そして人と人とが強制する社会への実現に対するジレンマや困難さに気づいた結果、性急に一方に片寄らない複眼的な判断をもとに、決断(意思決定)する。」
と語られています。

どうですか?こんな社会科の授業。皆さんも受けてみたくなりませんか?

私たち大人にこそ必要な「問い続ける力」

このように、由井薗流の「問い続ける力」とは、目の前の問題や事象を、多面的に深く問うていく力であり、同時に、自らの考えをも問うていく力です。

それは、自らの考えは、決して不変なものではなく、変化していくことを大前提としているとも言えると思います。
それは、人の考えは「影響されやすくうつろいやすいもの」という意味ではなく、豊富な情報や自分とは異なる他の考えを常に収集、検討し、自らの考えを「再構築」していくという意味あいです。

昨今の国会で、国民の大きな関心を集めた問題において、様々な意見や論調が飛び交いました。残念ながらその中には、相反する意見に色眼鏡なしできちんと対峙し、自らの意見を「本当にそれで良いのか」と問い続けていく姿勢はあまり感じられなかったように思います。
自らが支持するものこそが正解であると主張しあう中からは、建設的な「納得解」は生まれませんし、建設的な再構築もなされません。
これでは、思考停止の状態と同じであり、まさに「自らを問い続ける力」の欠如が招いた残念な結果と言えるのではないでしょうか。

「問い続ける力」は、私たち大人にこそ求められているのだと、小学生向けの授業から、改めて気づかされた気持ちがしました。

貴重な資料もプレゼント!

10月17日に開催されますイベントでは、授業のテーマ設定や、子どもたちの「なぜ?」を引き出すポイントなどを含め、由井薗式授業の詳細を詳しくご紹介いただきます。また、実際に授業で使われた資料や板書なども、ご参加いただいた方全員に、ご提供いただけることになりました。小学校の先生はもちろん、その他の学年の先生方にも、大変参考になるものだと思っています。

是非、たくさんの皆さまのご参加をお待ちしております。

イベント概要

テーマ

子どもたち一人ひとりが問い続ける社会科授業づくり
講 師

筑波大学附属小学校 社会科教諭 由井薗 健 氏
日 時

2015年10月17日(土)
15:00~17:30(14:30開場) ※終了後、懇親会を予定しています。
場 所

神奈川県民活動サポートセンター (301号室)
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f5681/p16362.html
対 象

小学校教員、社会科教員、教員を目指す学生、教育関係者、シティズンシップに関心のある方など
参加費

500円
定 員

50名
プレゼント

一単元の授業記録、全時間分の資料(板書を含む)
お申込み

こちらのサイトからお申込みください。
http://kokucheese.com/event/index/333574/
主 催

NPO法人ど・あっぷ!
講師プロフィール

由井薗 健(ゆいぞの けん)
神奈川県横浜市生まれ。東京学芸大学A類社会科卒業。1997年に横浜市立間門小学校教諭となり、2003~2012年横浜国立大学教育人間科学部附属横浜小学校、2012年より筑波大学附属小学校勤務。2011年より社会科の教科書を執筆。初等社会科授業研究会常任理事。小学校社会科授業づくり研究会代表。著書に『高学年の心を開く授業づくり』(文溪堂)、『社会を考えて創る子どもを育てる社会科授業』(東洋館出版社)、『ニッポン都道府県NEWぎもんランキング~小学生が知りたい日本と都道府県のぎもん集』(学研教育出版)など。

(写真・イラスト:NPO法人ど・あっぷ!(DO UP!) / 文:築山 美樹)

 

★ど・あっぷに「参加したい」、「ワークショップをやってもらいたい」、「ミーティングを見てみたい」等等、どんなことでも結構です。ご興味がありましたら、是非ご連絡ください。

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