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横浜スケッチ(第6回) スケッチと作曲と

by staff on 2015/10/10, 土曜日

ペンネーム 成見 淳

8月号の末尾に、この「横浜スケッチ」連載がきっかけとなって、人生をキャンバスに見立てた「人生はキャンバス」という曲がうまれたこと、9月号に立て続けに横浜のスケッチ・スポットを盛り込んだ「横浜Date」が出来上がったことを紹介させていただいた。
まさか自分が作詞作曲まですることになるとは思ってもいなかったが、私のホームページのテーマである “Life is an Expression” (人生は表現)のコンセプトに戻れば『曲作りも表現手段の一つに過ぎない。』と気が付いたら納得出来た。

「人生はキャンバス」はこの連載を続けるために基本から水彩画を学ぼうと思っていた矢先にイタリア庭園で偶然出会った桝谷先生に教わることになり、頭の中は絵のことで一杯になっている時、家で掃除機を掛けながら『そうだ人生はキャンバスのようなものだ!』と閃めいたことに始まる。
あることを深く思いつめていると、全く想像しなかった別の解が生まれてくることがあるらしい。想像しなかったことが突然現れる、これを創造というのだろうか。まるで、必死に幾何の問題を解こうとしていて食事中に突然閃いた中学・高校時代のように。
『真白なキャンバスは人生の無限の可能性。』『どこでも行ける、世界中の誰とでも会える。』『(古キャンのように)失敗しても何度でもやり直せる。』『いつか人生は終わるけど、絵は永遠に残る。そして誰かと繋がって行く。』こんな思いを、1番から4番まで一気にまとめてみた。

この「まとめる」「納める」という作業も絵と共通する。風景をどう切り取って限られた画面に収めるか。どうやって詩に思いを込めるか。どうやってメロディー合わせて言葉を載せ、うまく納めるか。どこを強調しどこを弱めてメリハリをつけるか。どうやってストーリー性を持たせるか、どうやって全体の調和を持たせるか。どうしたら一番心地良いか。などなど。

後日、『もう少し作曲について勉強しようかな。』と思って立ち読みしていた本の序文に「感性で作って、頭で整える。」というような言葉があったが、全くその通りと納得。

曲は出来たものの、詩は描き残せてもメロディーは残せない。いつか自分でも忘れてしまいそうなので下手なギターで必死に楽譜に書き起こし、世界コマ大戦の時にボリビアナイトに出演していただいた宍戸忠夫さんにお送りしたところ、翌日に立派な楽譜と音源が伴奏付きで送られて来た。
早速聴いてみると、『え!これが自分の作った曲?』、と素晴らしい音とアレンジにびっくり。音楽ソフトで編曲されたと伺って興味が湧き、同時にアレンジをもう少し変えたかったので音楽ソフトの無料体験版を使って別バージョンを作って見た。

こうして1作目が出来たが、15日というお試し期間内に途中まで出来たのが「これからが私の人生」。『自分だけがこんなに好きなことばかりやっていていいのかなあ?』と、妻の気持ちを推察していたら詩のイメージが浮かんだ。
『私が亡くなった後しばらくは悲しむかもしれない。でもそれからは彼女の完全気ままな人生が始まる。』。曲の前半は暗くて物悲しく、後半は一転して明るく元気に。こんなコンセプトにした。
2番の「生まれ変わってもあなたと一緒になりたいわ。」「でも今度はあなたが女で私が男」というフレーズは夫を持つ女性の共感を得られるか「うちは違うわよ。逆ですもの。」と、あしらわれるか気になる最近の風潮だ。出来ることなら一緒に楽しんでほしい。せめて老後は。
「あんたの人生おいらの人生」はまだ「人生はこれから」の詞が未完成の時、高校の同期生何人かに作詞をお願いしたところ同級生が送ってくれた詩で、わかり易く完成度が高かったので先に作品となった。いつになっても同級生はありがたい。

さて、2曲出来上がると作曲の面白さが深まり、期間限定の音楽ソフトもStd⇒Lite⇒Proと乗り換えて、何とかお試し期間内にと先にメロディーを急いで作ったのが3曲目の「横浜Date」。
メロディーは短時間でスラスラと出来上がった。最初の頃は「あなたはすぐ色々と始めるけど、今度は作曲ですって?」と半信半疑だった妻もこの頃になると慣れてきたのか、「このメロディーどう?」と聞くと「なかなかいいじゃないの。」とか「うーん?」とか、反応や感想も参考になる。メロディーに関しては一発OK。その分作詞には苦しんだ。当然駄目出しばかり。当初は「横浜スケッチ」「横浜スケッチ・スポット」がタイトル候補。例えば1番は「石川町で会って、短い坂道上る。」と、山手本通りの、2番は「桜木町で待ち合わせ」と「日本丸、ランドマークタワー、赤レンガ倉庫、大桟橋・・・」と、みなとみらい地区周辺のスケッチ・スポットを目一杯入れようとしたら「単なる観光地の羅列みたい。」と言われた。
やれ「ストーリー性がない。」「季節感を入れろ。」「ロマンティックなメロディーにそんな詩は勿体無い。などと駄目出しと注文の連続。『それっていつも自分が心がけていることなんだけど・・・』と内心思うが、言われている内容はその通りなので素直に従う。内部チェックのようなもので、時に素晴らしいヒントをいただく。共作としたゆえんである。
ただし、自分としては精一杯ロマンティックにと心がけたが実体験とは限らない。あくまで創作である。例えばRoyal Park Hotelには一度も泊まったことはない。(『妻とは』などとは言わない。)第一、当時Royal Park Hotelはなかった。

こうして注文通り「四季を春から順番に織り込み」「ロマンティックに」「ストーリー性を持たせて」、横浜のスケッチ・スポットを出来るだけ入れて、やっと詩が出来上がった。

ところが出来上がってひと息つくと『スペイン語で歌ってみたい。英語も。』と、さらに欲が出て、コマ大戦で通訳を務めていただいた尾形淑子さんにお願いして「人生はキャンバス」のスペイン語版・英語版を作っていただいた。
日本語で作詞するのも容易なことではないが、外国語となるとその難しさは予想以上のもののようでご苦労を掛けてしまった。感謝感謝!
さらに絵の先生から「あの曲、歌ってみたけどどこから入って良いかわからず、また字余り字足らずになったりで、なかなかメロディーと合わず歌いにくいよ。歌も載せて。」と言われ、蛮勇を出し、恥ずかしさを振り払って歌も入れることになってしまった。

ところが原稿を提出した後の先月の終わり。横浜野毛にある津田龍一さんのジャズピアノバー http://pianobar-lyon.fukugi.com/ に連れて行ってもらう機会があり、「横浜Date」の楽譜をお渡しすると、しばらく無言の後あっという間にアレンジ、演奏をして頂いた。メロディーは自分が作ったものに間違いないが情感が全く違う曲になっていた。プロの凄さをまざまざと見せられて、雷に打たれたようなショック状態。新人ボクサーが、ゴングが鳴った途端にジャブを一発くらってそのままノックダウン。意識が遠ざかって、実に心地よい。そんな感覚を味わうことが出来た。(津田さん-畏敬の念を込めてハマの龍さんと呼ばせていただこう-は何と2010年にこの「横浜NOW」に登場していた。 http://yokohama-now.jp/home/?p=2596 灯台もと暗しとはこのことだった。)

「ヨコハマNow」の「横浜スケッチから」から生まれた、この「横浜Date」という曲に出てくるスケッチ・スポットを網羅した作品を並べた個展をいつかやってみたい、これが今の夢かな。もちろん「人生はキャンバス」「横浜Date」のBGMと共に。

「ベーリックホール」水彩F4
「ベーリックホール」水彩F4

「横浜山手聖公会」水彩F4
「横浜山手聖公会」水彩F4

「山手111番館」水彩F4
「山手111番館」水彩F4

筆者紹介

Jun Ohsawa 大澤 淳さん  
お名前 Jun Ohsawa 大澤 淳
E-mail j-narumi@ug.netyou.jp
URL http://home.netyou.jp/kk/ohsawa/
成年月日 1967年1月15日成人式。おひつじ座。いわゆる団塊の世代。誕生日はもっと前。
年齢 その年の西暦 - 1947(3月25日以降)
生息地 横浜市鶴見区に60年以上在住。いわゆる浜ッ子。
血液型 いわゆる典型的なAB型
性格 内気、控えめ(だが信念は曲げない)、人前に出るのを極度に嫌う・・・だったが、 最近は少しずつ変わって来た。これもネット化のおかげかな。
割りと簡単に物事をはじめてしまう。(衝動的、意思決定が速い、好奇心が強い) 。忘れやすい。(最近特に)
趣味 絵画(スケッチ、油彩、水彩)ヨコハマNOWのお陰で、2015年より主に水彩画を中心に絵画を再開した。
文章を書くこと(エッセイ、旅行記など)。
フォルクローレ(アンデス音楽、ケーナ、サンポーニャ演奏・・・だったが、今はたまに聴くだけ。
年1回(と決めているわけではないが)の海外放浪の旅。
(心の洗濯:すぐ心が汚れやすいので。)
ゴルフ(1979年にホールインワンをしたことも。神奈川県津久井湖ゴルフコース、最近は月2~3回、ハンディキャップは全盛期13だったが、この頃は何とか10代後半。)
退職後は散歩や庭を眺めたり芝生の雑草を取ったり。
2015年作曲を始める。

 

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