Skip to content

嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は 竜田の川の錦なりけり

by staff on 2015/11/10, 火曜日

♪ 嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は 竜田の川の錦なりけり ♪


絵・千絵崇石
 

読み人:能因法師 (のういんほうし)

現代語訳は書きません。私にとってこの歌はダイレクトに視覚に訴えてくる歌です。

関東生まれの人間には、三室の山が何処にあるのか、竜田の川が何処を流れているのかも知りませんが、作者の意図ははっきりと鮮やかに目に浮かびます。強い雨風によって枝から落とされた沢山の紅葉が そのまま流されて川の表面を覆う様に流れてゆく。そんな事が本当にあるのかどうかは分かりませんが、山深い渓谷に鮮やかな色をした川面が続いてゆくビジョンがなんともいえず、いつもこの歌を取り上げる時期はこの11月しかないと一年のうちの一カ月、この11月にやっとタイミングを合わせることが出来ました。

百人一首の中で紅葉を歌っているのは6首。その中でもずば抜けてビビットなうたです。作者の能因法師は・・・きっと現代に生きていたら何処かのプロダクションで新人発掘でもされているのではないかしら、イメージやひらめきに長けていた歌人だった様です。歌の由来を調べてみると 三室の山と竜田の川は 紅葉の美しさでは有名な場所ですが、地理的に繋がっている訳ではありません。気分的にいえば、箱根の山の紅葉が四万十川で錦となった。ちょっとこれはオーバーかもしれませんが、二つの有名な場所をつなげただけなのです。この歌は歌合わせの会で、紅葉をテーマとして詠まれたものですが、地理的な矛盾などは関係なく、パッとひらめいて出て来たのでしょう。そういう才能にあふれていた歌人だった様です。

能因法師を調べてみると、どんな文献にも載っている超有名なエピソードが在ります。

旅行好きな方でしたが、ある時自分が訪れたわけではない陸奥にある白河の関の歌がひらめきました。
  ♪ 都をば 霞とともに たちしかど 秋風ぞふく白河の関 ♪
現代語訳・・・春のころ都を出たのですが、白河の関ではもう秋風が吹いています。

この歌を発表するのに彼は、長い間家にこもって世間との関わりを絶ち、家のベランダ?かどこかで日光浴をして肌を焼き、【注 その頃に日焼けサロンがあれば良かったですね】さもつい先日まで陸奥に長旅をして返ってきた様な雰囲気を作ってこの歌を発表しました。そう!ヤラセなんです。 歌のイメージに自分を合わせる事は芸能界では常でして、私も子供の頃そんな売り込み方でした。今でもその時のイメージが良くも悪くも私自身に影響を及ぼしています。でもあの平安の時代に、そこまで完璧に自分を演出する人がいたとは・・・それもお坊さんで。周りの人はどんな反応だったのでしょう? 彼のこのエピソードが長い間語られて残っていると言うのは当時すごくセンセーショナルな事だったのではないかと思います。今の様に虚業というメディア文化に慣らされている現代人なら、ある程度それが嘘偽りだと分かっても、それなりに受け止める事も出来ますが。

彼から「旅に行ってこんなに日に焼けてしまった」などと言われてこの歌を聞かされた人達は、それが事実ではなかったと知った時にどんな反応だったのかしら、気になります。

私にとってその時の人々の困惑の方がもっとリアリティを感じてしまって、この能因法師のヤラセエピソードには、人ごととは思えない 不思議な混乱を内側に生じました。
一週間でもいいから・・本当に行けばよかったのに・・・まあ・・変わらないか。

(早苗ネネ♪)

 

三十六歌仙 CDアルバムによせて

 

10代の頃、じゅん&ネネのネネとして歌っていた時、多くの方から「北の政所のねね様と同じ名前ですね」と言われ、歴史上に残る方と同じ名前を頂いた事で直ぐに覚えて頂き、良い事が沢山ありました。時が経ち、50歳を過ぎた頃にやっと自分のライフワークを見つけ、「和歌うた」を歌い続けて13年程に成りますが2014年の京都高台寺音楽祭に出演させて頂いた折に、三十六歌仙が高台寺様に遺されているのを知りました。その時にぜひ三十六歌仙にメロディーを付けて同じ名前のねね様に奉納したいとの思いを抱き、2015年9月6日、ねね様のご命日に発表させて頂く事に成りました。

和歌のアルバムとしては10年ぶりでやっと二枚目アルバムです。一枚目のアルバム「花のいろは」は蟠龍寺スタジオの仲間に助けられて生まれました。そして今回のアルバムも製作費は今まで私の和歌うたを聞いて応援して下さった方々のご支援で賄われています。暗中模索と無我夢中で今までよろよろと歩いてきましたが、そんな私を支えてくれる大きな愛情に気が付いて、なんて幸せ者なのかしらと思います。有難うございます。これからも自分の道を信じて歩いてゆきます。

 

早苗ネネさん プロフィール

木々や鳥や魚や精霊…人間以外の存在達との交流が当り前に語れるくらい、いのちのひろがりに気づくと、共に生きている喜びや、苦しみや悲しみにもナイーブになる。

心と野生がひとつながりになると……こんな風に人は年を重ねられる。ひとりひとり、ユニークにもっと自分になれる。

早苗 Nene さんは、そういう人生の先駆者です。 感性を解放しながら、40代で高校生に仲間入り卒業後、マウイのカレッジに留学中、突然半生記が受賞しました。

そんな新たなシーズンを迎えて、今エッセンスを分かち合いたい。

<天性の歌い手>というだけでなく、その存在感、溢れる活性のバイブレーションは、光のシャワーのよう。彼女と語り歌い、魂の成長を旅している現在の、自分の位置を確かめてみませんか?

早苗ネネさんHP

 

Comments are closed.

ヨコハマNOW 動画

新横浜公園ランニングパークの紹介動画

 

ランニングが大好きで、月に150kmほど走っているというヨコハマNOW編集長の辰巳隆昭が、お気に入りの新横浜公園のランニングコースを紹介します。
(動画をみる)

横浜中華街 市場通りの夕景

 

横浜中華街は碁盤の目のように大小の路地がある。その中でも代表的な市場通りをビデオスナップ。中華街の雰囲気を味わって下さい。
(動画をみる)

Page Top