映画になったヨコハマ(第9回) 道ならぬ2人が横浜で密会した果てに
夜明けの街で
製作 2011年 角川映画 |
今年のクリスマスは大事な人とどこで過ごそうかと、横浜のデートスポットを検索した人も多いはず。が、くれぐれも、家庭には波風を立てないほうがいい。
は、サザンオールスターズの1998年のヒット曲『LOVE AFFAIR~秘密のデート~』に触発され、執当代随一売れっ子ミステリー作家・東野圭吾が執筆したミステリー小説を原作としている。曲の歌詞にある通り、横浜のデートスポットの定番中の定番である大黒埠頭や、山下公園近くの小粋なバーを舞台に、道なら2人の恋人たちの、 “秘密のデート” が描かれている。
主役の渡部和也(岸谷五郎)は、どこにでもいそうな中年男子。建設会社の中間管理職で、しっかり者の妻(木村多江)と幼い娘がいる。何不自由ない幸せな生活を送っているが、何となく、人生先が見えてきた感じは否めない。悪友の新谷(石黒賢)からは、「俺たちは、すでに男ですらない」と言われて、納得せざるを得ない。
ある晩、飲み屋帰りのバッティングセンターで、一回りほど若い仲西秋葉(深田恭子)と出会ったのが、運のつき。秋葉は偶然にも自部署の派遣社員で、彼女に翻弄されつつも、やがて抜き差しならない不倫関係にはまっていく。並行して、秋葉の心の闇が見え隠れするが、背景には彼女の身内に15年前に起きた不幸な殺人事件があり、後半は、その真相の解明が焦点となっていく。
渦中の2人(渡部と秋葉)が最初に食事をしたのは、観覧車を入れた夜景が見えるレストラン。ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテルも、テイラーのほか、2人の待ち合わせ場所としても、たびたび登場する。
原作は200万部のヒット作で、秋葉の父(中村雅俊)と叔母(萬田久子)と、鍵を握る人物たちには、実力派俳優が配されているのだが、ミステリーがどうも中途半端に見える。それより、渡部と妻、秋葉の “三角関係” の行方につい目が向いてしまうのだ。 “幸薄の美人妻” が似合う木村多江は、持ち味を最大限に発揮している。
ガス灯やハーバーライトが揺れる妖しい雰囲気に誘われても、すまじきものは不倫かもしれない。これは“ホラー映画”ではないかと感じる人もいるはずだから。横浜の大人のデートスポットを予習するにはいい一作。
横浜度(横浜の露出度、横浜を味わえる度) 65%
筆者紹介
塚崎朝子(つかさき あさこ) ジャーナリスト。世田谷生まれの世田谷育ち。読売新聞記者を経て、医学・医療、科学・技術分野の執筆が多いが、趣味の映画紹介も10年以上書き続けている。年に数時間だけ、横浜市内のキャンパスで教壇に立たせていただいている。 著書に、『新薬に挑んだ日本人科学者たち』『いつか罹る病気に備える本』(いずれも講談社)、『iPS細胞はいつ患者に届くのか』(岩波書店)など。「日経Gooday」で「その異常値、戻しましょう-STOP・メタボの12ステップ」連載中。 |
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