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ヨコハマ・ディスコグラフィティー 第42回 第6章 社会人編 14

by staff on 2015/12/10, 木曜日


 
 

 

HEART&SOUL代表 原 正行

1958(昭和33)年9月7日横浜生まれ、12歳よりギターをはじめ17歳からミュージシャンとして活動。39歳の時に念願だったライブハウスを開業、現在は関内駅北口駅前に60年代から80年代の洋楽ヒット曲を演奏するライブハウス、ハート&ソウルの経営者。他にもミュージシャンとして演奏活動、作曲、プロデュース等、幅広く活動している。

 

横浜、街と風(社会人編) 28(43)

診察

もう今から25年くらい前のことですが、風邪をひいている訳でもないのに声枯れが続くので耳鼻咽喉科に行くと声帯ポリープが出来ているとの診断でした。ポリープ自体は良性で複数個出来ているとのこと、ほうっておくと悪性に変わる事もあるから手術をして取り除いたほうが良いと言われ、とある大病院に紹介状を書いてもらいそちらで手術をしてもらう事がきまりました。もうショックでした。

手術は内視鏡で簡単に済むのですが、数日入院しその後3週間は絶対に声を出してはいけない、できるなら1ヶ月から3ヶ月は無理をしない方が良いとのことでした。

困った事は代わりを見つけなければ仕事は休めません。2ヶ月後位先に手術日を決定しそれから3週間3店舗のトラを探す日々が始まりました。この頃は私のようなギターを弾いて歌い歌手の伴奏も出来る人はかなり廃業していて見つけるのは至難の技で、昼間転業して今はやっていない方とか深夜は早い時間ジャズの演奏している女性ピアニストに頼んだり、やっとの思いで複数の方々にお願いし全てのスケジュールを埋めることが出来たのはかなり手術日が迫ってからの事でした。

ポリープ

私の体験と主観で勝手に書かせていただくと、喉は左右の声帯が門の様になっていて声を出すときに閉じてキレイに合わさり毛細細胞が合わさり運動する事で美しい声が出るそうです。
(人を指差す様な感じに人差し指だけ伸ばしてグーを握り左右を合わせて指先を閉じたり開いたりしてる感じです)
ポリープとはその声帯のある部分に小さなおできのような突起が出来てピタリと両側の声帯が閉じることができなくなって声をコントロールするのが難しくなりそこから空気が漏れるのでかすれた声になります。更に空気が漏れるので喉が乾燥しやすくなり息も前より続かなくなります。うまく合わない声帯で何とか声を出そうと頑張るので体中に力が入ります。この頃は毎日汗だくでした。

手術前

やっとトラも決まり一安心で、あとは手術を待つばかりで終われば以前のように綺麗な声に戻るんだと思えば一日3軒の仕事も苦ではありません。精神的にも楽になり開き直って歌っていると、おや? どうも喉の調子がいい、、、出しづらかった高音が普通に出る。さすがに裏声は絶好調とは言えませんでしたが腹から声を出して思い切り太い声を出すと普通に出ます。あらこれは手術なんか必要ないじゃんと思える程でした。しかしトラも決まり手術も予約しているのでこれはやるしかないかなという感じでした。声というのはそんな精神状態も影響するのかなと感じた出来事でした。

手術

いよいよ手術の日になりました。術自体はすぐ済むからそんなに入院しなくても良いが出来たら数日入院したほうが良いと言われ4人部屋で4,5日入院することにいました。手術室にいき麻酔のあと後は覚えていません。気が付けば病室のベッドど上で目の前には看護婦さんがいて「原さん、手術は成功しましたよ。今から3週間絶対に声を出さないでくださいね!」と言われ、思わず「はい!」って答えてしまいました、、、。

それからは誰とも口を聞けない退屈な入院生活。以前買ったきり時間がないので放っておいたままだったシーケンサーを病室に持ち込み取り扱い説明書をにらめっこ! シーケンサーはドラムやベースや鍵盤を自分の思いのままにデジタルで録音できるすぐれもの。当時使っていてものはコンパクトになって使いやすくなったヤマハのQYシリーズで苦手のデジタル機器もゆっくりと集中して勉強出来たのでこの間に使いこなせる様になりました。この後、このおかげでこれに色々助けられることになります。正に怪我の功名でした。

 

ここからは原の音楽夜話 - 原の勝手な視点で様々な音楽を語ります。
ソロボーカル(ブラック編3)

ゴスペル

ジャズ、ブルースに続きゴスペルも黒人音楽を語る上で欠かせない存在です。例えばベンEキングのスタンド・バイ・ミーなども1980年代に作られた黒人霊歌を元に作られたといわれています。ゴスペルについては色々な説がありますが私なりの解釈で語りたいと思います。

19世紀以降アメリカの黒人たちの間にもキリスト教は浸透していきます。最初は白人たちの礼拝に参加していた黒人たちもやがて自分たちだけの礼拝を行うようになり独自の発展を遂げていきます。当初は黒人の教会で歌われていた歌は黒人霊歌(ニグロ・スピリチュアル)と呼ばれやがてゴスペルとして進化を遂げていきました。歌詞の内容は神の恵みに感謝する歌詞であったり聖書を元にしたものです。川を題材にしたものが多いですが(Deep River深い河など)、元々川とはキリストが洗礼を受けたとされる神聖なヨルダン川のことですが、黒人たちにとっての川とは南部の奴隷州と北部の自由州を隔てていたミシシッピ川の支流オハイオ川を意味しておりそれは北部への逃亡における最後の難関であり、奴隷からの解放(自由)を意味していたのです。

30年代から70年代にかけて進化したゴスペルは様々な特徴を持っています。まず第一に挙げられるのがリズム、4拍子や2拍子のリズムの拍頭をずらしてそこに強弱をおくシンコペーションを多用する。第2にコール&レスポンス。牧師や歌い手の歌唱に応えるように歌う手法で、これを元にしてポピュラーとして作られたのがレイチャールズのWhat’d I Sayです。第3は哀しい感じを出すために楽譜上の音より半音から3/1音微妙に低く歌うことで生まれたブルーノート。バックの演奏と歌との微妙なズレが黒人音楽ならではのブルーな雰囲気を醸し出します。これは楽譜には表すことは出来ません。そして歌手や演奏者がその場に合わせて即興的に歌詞やメロディーを変えて演奏するインプロビゼーション。そしてボディアクションやアフリカから自然に受け継いだダンスなど。

これらが進化し独特のゴスペルの世界を生み出しました。映画ブルースブラザーズでジェームスブラウンが扮した牧師のシーンをご存知でしょうか? 勿論映画用に演出されていますが一説によると本物の礼拝ではもっと熱く凄いものもあるそうです。

ゴスペルとポピュラーミュージック

ポピュラー・ブラックミュージックの世界で名を馳せた人たちは殆どが小さい頃教会の聖歌隊などで歌っていました。又聖歌隊でなくても黒人の教会で聞くゴスペルではぐくまれた音楽性は彼らに強い影響を与えたでしょう。

今は分かりませんが、1960年代始め位まではゴスペルと一般的なブラックミュージックは一線を画していました。神に仕える身であるゴスプルシンガーは俗社会のことを歌うことは良しとされなかったのです。例えばサム・クックなどはソウル・スターラーズというゴスペルグループの人気ボーカリストでしたが彼が偽名でポピュラーミュージックを歌ったのが知れるとゴスペル界は彼を非難しゴスペル界から追放しました。サムはこの事に大きく胸を痛めましたが結果彼はポピュラーミュージックの世界で大成功を収めています。アル・グリーンは元々牧師でしたが70年代にはポピュラーミュージックも歌っています。でもゴスペルを歌ったアルバムとポピュラーは分けています。やはりそこには敬虔な世界があるのでしょう。

私的な感想ですが70年代からはゴスペルもサウンド的にはポピュラーなブラックミュージックのサウンドと変わりはないと感じます。ただ歌う対象である “YOU” が恋人であるかキリストであるかの違いのようにも感じます。ポピュラーミュージックのなかにはゴスペルを題材に作られた明日に架ける橋やセイリングの様な曲もありますし、これからもゴスペルとブラックミュージックは共存して行くのでしょう。

最後にゴスペルの名曲をいくつか挙げておきます。アメージング・グレースAmezing Grace。スィング・ロゥ・スウィート・チャリオット(クラプトンもカバーしています)。時には母のない子のように。

(続きは次号へ)

HEART&SOUL代表 原 正行)

 

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