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わたの原 やそ島かけて 漕ぎ出でぬと 人には告げよ 海人の釣り船

by staff on 2016/1/10, 日曜日

♪ わたの原 やそ島かけて 漕ぎ出でぬと 人には告げよ 海人の釣り船 ♪


絵・千絵崇石
 

読み人:参議篁 (さんぎたかむら)

現代語訳・・私はこれから八十もの島々を渡りつないで はるか流人の島へと向かいます。こころ高らかに大海原を分けい出て行ったと。海人達よ、都の人々に伝えて下さい。

流人の歌なのにスケール感や前途への希望が感じられて、私の大好きな歌のひとつです。
いま世界情勢が緊張していて前途多難な気配が立ちこめていますが、それでもなお前向きに歩いてゆきたいと。明るい側面に目をむけて未来への希望をつないで新たな一年を迎えたいと思います。そんな気持ちでこの和歌を2016年の初頭に撰ばせて頂きました。

さて、時は西暦838年 前途有望な遣唐副使として唐へ行く事になっていた小野篁は遣唐大使の藤原常嗣が自分の船が破損して 小野篁の乗る船を使いたい、と天皇に願い出て受慮された事に腹を立てて仮病を使って乗船拒否。その上遣唐使を批判する様な漢詩も書き、天皇の怒りにふれて、官位等も剥奪されて隠岐の島に流された時にこの歌を歌いました。

心のまっすぐな人だったのでしょう。壊れた自分の船を篁に押し付けて、自分は篁の持ち船に乗って唐へ行こうとした、藤原常嗣のこそくで理不尽な駆け引きや、それに安易にOKを出した朝廷のやり方に我慢がならなかったのだと思います。
その時、彼は37歳。漢詩も和歌にも素晴らしい才能を示していた大男だったそうです。

私も37歳の時に生まれ育った東京世田谷を離れて伊豆七島の八丈島へ移住しました。日本海と太平洋の違いがありますが、絶海の孤島と言われ、江戸時代には流人の島だった八丈島に、船で向かった時の事が蘇ります。ただし、私の場合は結構波が荒くて、はるか前方を見据えて潮風にほ頬を紅潮させて。なんてシーンは在りません。もう船酔いで気持悪くて船室でじっと横たわっていました。それでも時々甲板にあがって真っ青な空と紺色の海、そしてはるか遠くの島影を見たときは自分の人生が変わってしまう時の希望と不安が混ざった期待感に胸が一杯だったのを覚えています。すみません・・話を元に戻します。

きっと朝廷も流罪に処したけれど、篁の気持ちを理解していたのでしょうね、その後2年もたたないうちに彼は呼び戻されてそのあとは色々な仕事に抜擢されてゆきました。本名は小野篁ですが、百人一首では彼の最後の地位となった参議篁で名前が残されています。

彼はエピソードがとても面白くて何を紹介すれば良いのやら。
彼が昼は朝廷で仕事していて夜は地獄の閻魔大王の元で補佐をしていた話は有名です。
ある日知人が病で亡くなって閻魔大王の元に現れました。知人の方も閻魔大王の隣に篁がいたので驚いていると、彼が閻魔大王に「この人は良い人間です、許してあげて下さい」と口添えをして、閻魔大王は「そうか!」といったとたん、知人は自分が病の床から目覚めて生き帰りました。後日朝廷で出会った篁にお礼を言ったら「以前 僕をかばってくれたからそのお礼です」と一言。これは今昔物語からの逸話ですが、これが本当の話として語り伝えられているのがこの人の凄いところです。

京都の東山にある六道の辻、珍皇寺の井戸は、彼が地獄へ行く時に使ったと言われています。う~ん! ちょっと怖いけど訪ねてみようかな。今年も楽しく 盛春真っただ中!。

(早苗ネネ♪)

 

三十六歌仙CDアルバムによせて

 

10代の頃、じゅん&ネネのネネとして歌っていた時、多くの方から「北の政所のねね様と同じ名前ですね」と言われ、歴史上に残る方と同じ名前を頂いた事で直ぐに覚えて頂き、良い事が沢山ありました。時が経ち、50歳を過ぎた頃にやっと自分のライフワークを見つけ、「和歌うた」を歌い続けて13年程に成りますが2014年の京都高台寺音楽祭に出演させて頂いた折に、三十六歌仙が高台寺様に遺されているのを知りました。その時にぜひ三十六歌仙にメロディーを付けて同じ名前のねね様に奉納したいとの思いを抱き、2015年9月6日、ねね様のご命日に発表させて頂く事に成りました。

和歌のアルバムとしては10年ぶりでやっと二枚目アルバムです。一枚目のアルバム「花のいろは」は蟠龍寺スタジオの仲間に助けられて生まれました。そして今回のアルバムも製作費は今まで私の和歌うたを聞いて応援して下さった方々のご支援で賄われています。暗中模索と無我夢中で今までよろよろと歩いてきましたが、そんな私を支えてくれる大きな愛情に気が付いて、なんて幸せ者なのかしらと思います。有難うございます。これからも自分の道を信じて歩いてゆきます。

早苗ネネ/京都・高台寺 北の政所・ねねさまに捧げる三十六歌仙 『和歌うた』CDアルバムは、 ヨコハマNOWオンラインショップ で販売しております。

 

早苗ネネさん プロフィール

木々や鳥や魚や精霊…人間以外の存在達との交流が当り前に語れるくらい、いのちのひろがりに気づくと、共に生きている喜びや、苦しみや悲しみにもナイーブになる。

心と野生がひとつながりになると……こんな風に人は年を重ねられる。ひとりひとり、ユニークにもっと自分になれる。

早苗 Nene さんは、そういう人生の先駆者です。 感性を解放しながら、40代で高校生に仲間入り卒業後、マウイのカレッジに留学中、突然半生記が受賞しました。

そんな新たなシーズンを迎えて、今エッセンスを分かち合いたい。

<天性の歌い手>というだけでなく、その存在感、溢れる活性のバイブレーションは、光のシャワーのよう。彼女と語り歌い、魂の成長を旅している現在の、自分の位置を確かめてみませんか?

早苗ネネさんHP

 

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