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28席の良さを売る。 日本最小映画館「シネマノヴェチェント」社長 箕輪克彦さん

by staff on 2016/1/10, 日曜日

子供の頃からの映画好き、小学生の時には川崎から都内の封切館に映画を観に行った。時代は「エアポートシリーズ」「タワーリングインフェルノ」といったパニック大作の全盛期。もちろん夢は映画監督になることだった。。。
2015年2月、横浜市西区の藤棚商店街に座席数28の日本一小さな映画館ができました。「シネマノヴェチェント」社長の箕輪克彦さんにお話を伺いました。

横濱の日本最小映画館「シネマノヴェチェント」社長の箕輪克彦さん映画館「シネマノヴェチェント」社長
箕輪克彦さん
 
お名前 箕輪 克彦(みのわか つひこ)
ご年齢 52歳
お生まれ 川崎市麻生区
お住い 横浜市西区中央
ご家族 ご両親、4人兄妹の長男
お仕事 株式会社シネマノヴェチェント 代表取締役
HP cinema1900.wix.com/home
ご趣味 映画、落語

洋画に夢中にだった 小・中学生時代

とにかくパニック映画の全盛期でしたから、エアポートシリーズや「タワーリングインフェルノ」、「ポセイドン・アドベンチャー」、「カサンドラ・クロス」といった飛行機や船、列車を使ったもの、大地震や火事、竜巻、隕石の落下、火山の噴火。。。映画館の大画面いっぱいに広がるドラマに心を躍らせていました。 新作が来ると、川崎から電車を乗り継いで歌舞伎町の封切館へ行きました。 映画のハシゴもしました。
その頃は、邦画(日本映画)を馬鹿にしていましたね(苦笑)。邦画も角川映画が人気小説を映画化していて、「読んでから見るか、見てから読むか?」なんていうキャッチコピーや主人公が歌う主題歌が話題になっていました。良い時代に映画に出合ったと思っています。

アメリカン・ニューシネマ

高校は日大桜ヶ丘高校でした。近くの下高井戸東映が洋画の2本立てをやっていて、放課後はアメリカン・ニューシネマ(1960年から1970年代)(注1)の世界にドップリとハマりました。

映画同好会に所属して、8mm映画を作り文化祭で上映したりしました。ストーリーを考え脚本を書き、監督を兼ねて・・と一人で何役もこなして映画作りに夢中になりました。文化祭で受けるとそれがまた快感になりました。

注1:アメリカン・ニューシネマ;反体制的・無気力・etc 若者や若者の心情を扱った映画、「俺たちに明日はない」「卒業」「イージーライダー」「明日に向かって撃て」「いちご白書」「カッコーの巣の上で」などが代表作

映画学科

大学は日大の芸術学部映画学科に進みました。芸術学部は江古田(西武線の江古田駅)に集まっていて、池袋文芸座(老朽化して現在はない)に通いました。邦画にも面白いものがあると分かったのも「文芸座」のおかげですかね(笑)。 「映画学科ではどんな作品をつくったか?」・・・一つ分かったことがありました。「映画は観ている方が楽しい」ってこと。編集するのが面倒で外注に出すこともありましたから。「面倒くさいこと」は今も嫌いですね。


シネマノヴェチェントの映写室


映写室から見たスクリーン

テレビ東京の下請け時代

就活をしなかったので、辛うじてテレビ東京の下請け会社に勤めることができました。ディレクターのアシスタント(AD)はキツイ上に薄給で、担当は「囲碁」「将棋」「ゴルフ」番組の製作が主でした。編集のやり方は殆ど決まっていてルーティンワークでしかなく、「やりたいこと」がやれる訳でもありませんでした。お金を貯めて「やりたいこと」をしようと考えました。

やりたいことをやる

実家の酒屋を手伝って蓄えたお金で「映画を観て、映画の話ができる場所」を作りたいと思いました。
読売ランドから徒歩7~8分の所で実家が貸していた店舗が2件分空くことになり、同じ考えを持つ仲間5人が集まって、座席数21席の小さな映画館を作りました。
11年続きましたが、11年の間に建物は傷み、仲間の考えにも少しずつズレが生じ、修復が難しく思え解散することになりました。

ブラット・ピットがトイレマーク?

映画館を作るには莫大な費用が掛かります。予算は限られていて、居抜きで厨房があり家賃は安く、消防法をクリヤできる所は「ここしかない」と決めたのが藤棚商店街にあるこの場所でした。
座席は閉館した映画館から持込み、外壁の絵は映画の絵看板を描いている大下武夫氏から「使って良いよ」と言われたものを使用しています。ノスタルジックな昭和の匂いを出すようにとブラット・ピットには外壁でなく男子トイレのマークの代わりになってもらっています(笑)

28席の良さを売る

「小さな映画館ができること」をやっていこうと考えています。例えば「ご当地映画祭」。富山県は知る人ぞ知る「映画県」です。横浜に在住の「富山県民」と県人会の方々が作品をまとめて観てくれます。これが新聞に取り上げられて「ご当地映画」は当館の「ドル箱/稼ぎ頭」になっています。

また、TV東京時代にTVの映画番組で放映したが、映画館では上映されていない「名画」があります。面白いのにDVDにもなっていない映画を「日本未公開映画」「シネマノヴェチェント配給」として紹介しています。 配給権が来年の1月に切れてしまう「SAS人質奪還指令/ファイナル・オプション」は、スクリーンで観られる最後のチャンスかもしれません。 同じく春には配給権が切れる「インターネサイン・プロジェクト/恐るべき相互殺人」(1974 英)もお勧めの作品です。

ソフト化されていないフィルム映画が上映できることも魅力です。 フィルム映画を知らない子供たちに観て欲しいと、こどもの日やクリスマスシーズンにはアニメ番組を上映しています・・・しかし観客は、もと子供だった方の方が多いですね(笑)

2016年1月は映画女優 菜葉菜 特集です。
上映時間等のお問合せ/チケット購入はこちらから: http://cinema1900.wix.com/home/

好きだからこそ続いています

自分が感動した映画を人が観て、喜んでくれたら嬉しいと思います。「儲けよう」と思ったら仕事はやっていけません。 「ストレス?」そんなものはありませんよ! だって好きなことをやっているから。

ファンや常連さんが出来ました。名古屋から映画を観にここまで来られる方が居ますよ。ファンや常連さんが映画の話を併設のトラットリアでしていきます。フードメニューは全品500円です。飲み物も全品500円です。駄菓子は一皿(盛り上げても)500円です。トラットリアだけの利用も可です。もちろん貸切もOKです。

藤棚商店街を「オレ」が入ることによって活性化させたいと思っているのですが、まだまだ「外様」です。
商店街の店主はまだここで映画を観たことがないかもしれませんよ。。トラットリアでは商店街の食材を使った料理を出したりしています。住まいも映画館の近くに移しました、けれど「外様」です。疎外感がありますから(苦笑)

商店街は嫌いではありませんよ。いずれ、こことは言いませんが、商店街を映画にしてみたいと思っています。面白い映画が作れそうです。

(インタビュー:高野慈子)

 

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