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都田舎の津久井便り 八日目 「赤道越えの水の源泉」 その壱

by staff on 2016/2/10, 水曜日
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赤道越えの水の源泉 その壱

正月、134号線をひた走る箱根駅伝の選手達を強烈な海風で苦しめる約700mの相模川(下流付近では馬入川)河口に架かる湘南大橋。 丹沢の最深部からここまで約80kmが横浜市民の自慢の水の旅です。

相模川(上流部山梨県周辺では桂川)は山中湖を源とし(忍野八海もその一つ)中津川・道志川の二大支流を合わせ相模湾に注いでいます。
その道志川は道志道(国道413号線)の山伏峠に端を発して丹沢山塊の北側を流れ下り、相模原市緑区の三ケ木(ミカゲ)付近で相模川と合流します。

山伏峠の急斜面を下ると、流れがやや穏やかになり左右に田畑が広がる道志村に入ります。
道志村は道志川左右が村域の山間の細長い村で、道志川を水源としている横浜市は水質・水量の安定を図る為、涵養林保全の目的で村域の約40%の面積を所有しています。
近年、キャンプ場・温泉施設・道の駅・釣り堀等が出来、賑わいを見せています。

村の中心部を過ぎるとまた急峻な流れに変わり深い谷へと変貌します。神奈川県との県境、両国橋までの間に三本の歩行専用の吊り橋が掛かっています。 この吊り橋から見る深い谷は四季折々素晴らしいもので新芽、新緑、梅雨、盛夏、暴風、紅葉、枯れ葉、雪景色と見る者を飽きさせません。
再び緩やかな流れになった所が両国橋周辺で神奈川県相模原市となります。

相模原市緑区青根地区は昔から北丹沢の登山口として丹沢縦走の拠点となっています。
この地がスタート・ゴールになっている、初夏の北丹沢12時間山岳耐久レースは高低差1200m、距離42kmを半日で踏破する難レースですが、毎年数百人もの参加者がある人気レースとなっています。
この青根地区は昼夜の気温差を利用して美味しいトマトやリンゴを栽培しています。
さらに少量ですがコメも作っており、良質な水のおかげでこれが実に旨いのですが誠に残念な事にほとんど市販されておらず幻のコメとなっています。
川は奥相模湖と言う小さな人造湖に流れ込みますが、急流が運んだ土砂で70%程度埋まってしまい、水深を得る為不定期に浚渫を繰り返しています。
このダムや相模湖、津久井湖、中津川の宮ケ瀬湖等の築造の為に、上流からの石の供給が止まり湘南海岸の痩せ細りの原因になっていることは誠に残念な現象です。

これら相模川水系のダムの特徴は相模川河川統制事業として、ダム同士を地下導水トンネルで有機的に結び相模湖、津久井湖、宮ケ瀬湖に水を回し合い、神奈川北西部の湖の水量調整、発電等を行い水利の活発な活用を行っていることです。

約40mのダムを越えた水はいくつかのキャンプ場を過ぎ、渓谷を形成しながら青山地区に下ってきます。
ここに明治時代、鮑子(アビコ)取水堰が作られ、横浜水道の起点となりましたが現在も変わらず使われ続けています。

その水は導水路で青山沈澱池へ、そこで濁りを取り城山隧道(水道水専用トンネル)を通り西谷浄水場へ送られて横浜市民の蛇口へと繋がっています。

この青山沈澱池近辺は広い砂州が広がり、夏になると格好の水遊び場になります。
弁天橋の堰を越えると流れは穏やかになり大きく右に回り込むと頭上に青いアーチの道志橋が見えてきます。その下には旧道志橋の石造りの橋脚が残っておりその先で相模川と合流し津久井湖に繋がります。
この右カーブの所と弁天橋の2カ所で毎年3月にワカサギ養殖の為、卵採取の目的で親魚を採取しています。
約一週間でふ化した稚魚は再び津久井湖に放たれ、太公望を喜ばしています。
この清廉な道志川は古くから鮎釣りが有名で、江戸時代にはあまりの急流の為に身が締まり、さらに口先が変形した美味な「鼻曲り鮎」と呼ばれる特産品を作り出し、幕府に献上し大いに喜ばれていました。
現在は道志川各所で春に稚魚が放流され6月の解禁を待ちわびたアユ釣りファンのメッカとして賑わっています。

つづく

Photos

(画像をクリックすると拡大写真が表示されます)









(文・写真:山羊髭)

筆者紹介

 

梅澤 勉
津久井の本格薪窯ピッツェリア(ピザレストラン)「童人夢農場(ドリームファーム)」オーナーシェフ
HP: http://dreamfarm-pizza.jp/
 
1949年生まれ。大学で食品工学を学ぶ。
パン会社に就職して菓子パン部門で勤務後、ピッツェリア(ピザ専門店)を始める。
イタリアのピザ職人学校 ”ApesPizzaSchool”(アペス・ピザスクール)に入学し、本場のピザ作りを習得する。現在も定期的にイタリア(ミラノ・ローマ・ベネチア・フィレンツエ など)に行きピッツァ(ピザ)の研究を続けている。

相模湖・津久井の本格薪窯ピッツェリア | ピザレストラン「童人夢農場 | ドリームファーム」オーナーオーナーシェフ 梅澤勉さんのインタビュー動画。
緑あふれる津久井の魅力、童人夢農場(ドリームファーム)のこだわり、デザートピザへの想い
についてオーナーシェフの梅澤勉さんが語ります。ご覧ください。

 

From → 津久井便り

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