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高野慈子の「四季・色・贅・食」 第7話 段ボールのおうち

by staff on 2016/3/10, 木曜日

 

「1980年代に東北大学の教授らが提唱したのが最初である」と言われている『都市鉱山』。廃棄された携帯電話やパソコンの部品から希少金属(レアメタル)を回収しています。
そんな希少資源でなくても、金属ゴミや段ボールはゴミとして捨てるのではなく、回収し、売却し、資源として再利用するように努めています。

金属ゴミの売却には相場があり、相場が高い時は、エアコンの室外機が盗まれたり、道路のガードレールが盗まれたりとニュースになったことを覚えておられる方も多いことでしょう。

売却した代金は『雑収入』として経理処理していますが、以前、税務署から大目玉を食らったことがあります。金属ゴミを処理業者に持っていく仕事を息子にやらせ、売却代金をアルバイト代として渡していたことがあり、税務調査で引っかかりました。「会社のゴミを会社の車を使って処分したのだから、会社の収入になる」のです。 「ゴミの処分だから」と甘く考えていたのが間違いでした。バイト代として息子に払った『代金』を回収し、『雑収入』に計上し、追徴課税を支払い・・・と、それはもう大変でした。アルバイト代を返上し「ただ働き」となった息子からもこっぴどく怒られました。

私の店では段ボールも売却しています。こちらもちゃんと『雑収入』で経理処理しています。金属ゴミに比べ売却代金は少額ですが、ゴミ収集業者に処分を依頼すると「支払」が生じます。「支払」分を売却代金にプラスして考えれば、資源の再利用として役だってもいることなので「よし」としています。

さて、この段ボールには「思い出」があります。子供が小さい頃、大きな段ボールに入口や窓を開け『おうち』を作り遊ばせていました。近所の子供達も「段ボールの家」に遊びにくるようになり、私は「段ボールのお家のおばちゃん」と呼ばれるようになりました。

20年以上も前のことです、横浜駅のダイヤモンド地下街でショッピングをしていた時のこと・・・店員さんに「新製品」とやらを勧めれて、とあるウィンドウの前で立ち止まっていると、「段ボールのお家のおばちゃんがいるよ!」と子供の声がしました。 声をする方に振り向き、子供に手を振った時のことです。 傍にいた店員さんがスーと居なくなりました。近くを歩いていた人が私を避けるように行きます。状況を把握するのに、そんなに時間は掛かりませんでした。 一緒にいたその子の母親が「そんな大声で、段ボールでお家を作っているおばちゃんって言ったら失礼でしょう!」と言ったのも、なんの助けにもなりませんでした。私は、段ボールに住んでいるホームレスだと思われたのでしょうね。

周りの人からそういう「視線」や「行動」を見せられたのは始めてのことでした。蔑視とは「こういう目で見られるのか」とちょっと分かったような気になりました。私の場合は「その時だけ」のことでしたから「笑い」話となりましたが、「笑えない」状況下で苦しむ方々に思いを寄せるきっかけにもなりました。思い出の「段ボールのおうち」事件でした。

 

高野慈子プロフィール

 

2014年10月に還暦を迎え、ますます元気なおばちゃんです。
実家はレコードの小さな町工場でした。
音楽家の多いファミリーツリーの中では、異色の人生を送っています。
アリゾナに1年間英語の勉強に行きましたが、素晴らしいインディアンに出会い、自然体で生きることを学びます。いろいろなボランティア活動・反戦活動を始めたのもこの頃かしら?

学生時代、弁論部だったことがあり、多くの政治家の選挙運動のお手伝いをしたことから、政治・経済にも強い関心がある「おばちゃん」。
アメリカから帰国し、OL時代は会社に内緒で訳詩・作詞のアルバイトをしたこともありました。また、OL時代は某会の映画モニターになり、某映画評論家の会にも入っていました。

横浜で一番古い冷凍・冷蔵・空調・エアコン部材店の高野商店に嫁ぎ(店と結婚したわけではないけど。。。)「冷たくしてごめんなさい」をキャッチコピーにして日々頑張っています。

2001年から2010年まで、中小企業の集まる会に所属し、そこで知り合ったIT業界の人からツイッターやfacebookを知り、facebookでは「高野家夫婦の会話から」が笑いを取っています。
その人の娘さんが作曲家で、「青虫もんじろちょう」が子ども向けの曲となり、ユーチューブにアップされています。(安希子はペンネーム)

2015年現在、本業の他に、NPO横浜カーフリーデーの副理事、ヨコハマNOWのプロデューサー、神奈川ドイツワイン協会のメンバー。

映画とオペラとミュージカルが大好き、ジャンルを問わず、JAZZやロック、シャンソン、ラテン音楽のコンサートやライブに顔を出し、頑張っている音楽家を応援しています。京都人の父と新潟人の母のDNAを受け、東京生まれ、埼玉育ち、横浜暮らしの「おばちゃん」です。

facebook:https://www.facebook.com/go.yasuko.gogo

あおむしもんじろちょう:

 

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ランニングが大好きで、月に150kmほど走っているというヨコハマNOW編集長の辰巳隆昭が、お気に入りの新横浜公園のランニングコースを紹介します。
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横浜中華街は碁盤の目のように大小の路地がある。その中でも代表的な市場通りをビデオスナップ。中華街の雰囲気を味わって下さい。
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