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都田舎の津久井便り 九日目 「赤道越えの水」 その弐

by staff on 2016/3/10, 木曜日
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『赤道越えの水』 その弐

道志橋から望む相模川は津久井湖の端に連なっており、緑の山間にきらきら光る湖面が東側に広がっています。春になるとカタクリ、桜と美しい景色が見られます。

1965年に神奈川県の水需要の解消のため築造された高さ75mの城山ダムによって出来た津久井湖は首都圏に一番近く、春夏秋冬四季折々の姿を楽しませてくれます。
戦国時代、小田原北条氏の出城であった津久井城が南岸に接しておりハイキングも楽しめます。
さらに北岸には小説「姿三四郎」の決闘の場としても有名になった峰の薬師があり、さらに北上して高尾山へとハイキング道が通じています。
圏央道が開通し相模原インターから10分程なので横浜方面からのアクセスが格段に向上し渋滞が無ければ関内から1時間程度の時間距離になりました。
この湖は揚水発電の為に上部の山に城山湖を併設しており、昼の電力需要期に発電し、夜間の余剰電力で発電機を逆回転させ揚水を行っています。
この山頂に弁天様がありますが、城山山頂飯綱神社と共に絶好の日の出拝観の場所です。
ダムサイトには県立の津久井湖城山公園があり駐車場も完備しており、憩いの場所になっています。
台風の後など75mのダムを流れ落ちる水は壮観で感動すら覚えます。

濁流となった水は津久井城山の北岸を回り込みながら県央道の橋脚を過ぎ、新旧2本の小倉橋に達します。
旧小倉橋は昭和13年に出来たコンクリート製の四連アーチのとても美しい橋で土木遺産に認定されています。
老朽化したためその上流に掛けられた新小倉橋もまたアーチ橋で、新旧両橋の景観を考慮したデザインは素晴らしく、夏には両アーチ橋をライトアップし夜空に浮き上がらせるイベントが行われています。
城山ダム以降の流れは穏やかで、太古からの流れで左右に3段の河岸段丘を形成し相模台地を流れ下っている。
このようにはっきりとした段丘は珍しく関東平野の最西部に位置する相模川が作り出した大自然を体感する事ができます。

戦国期から昭和の中ごろまでこの穏やかな川で平底船(いわゆる高瀬舟)による海運が盛んに行われていました。 平塚からダム近辺の川尻さらに湖の中ごろの中野辺りまで遡って来ていたようです。

GWの高田橋周辺には数百の鯉幟が大空を泳ぎ壮観です。さらに少し下った新磯地区新戸では128畳(約一トン)もの大凧が揚がります。 それはそれは勇壮で、必見の価値があります。
このあたりになると川幅も500mぐらいに広がり下って行きます。
磯部頭首工(農用水堰)で左岸側に寄せられた水流は圏央道と交差するあたりで宮ケ瀬湖からの中津川が右岸に現れ合流します。
厚木と海老名の街並みを分けながら南下して行くと川幅を横断するように作られた相模大堰に出会います。この堰は宮ケ瀬湖からの水を都市用水として取水する目的で作られました。

さらに下って初詣でにぎわう寒川神社を左に見るこの辺りから、もうそろそろ潮風の匂いがしてくるはずです。
国道一号線、東海道本線をくぐり最後の橋となる湘南大橋を抜けるともうそこは太平洋。
横水の旅の終着です。

 

(クリックで拡大画像)

高瀬船が往来した流れがゆったりしている台地の相模川
高瀬船が往来した流れがゆったりしている台地の
相模川

河津桜
河津桜

津久井湖と城山ダム
津久井湖と城山ダム

津久井湖と城山ダム
津久井湖と城山ダム

新旧小倉橋
新旧小倉橋

野焼きとかがんだんきゅう
野焼きとかがんだんきゅう

深い谷の天然の要塞、津久井城山
深い谷の天然の要塞、津久井城山

磯部頭首工と言う堰
磯部頭首工と言う堰

(文・写真:髭親爺)

筆者紹介

 

梅澤 勉
津久井の本格薪窯ピッツェリア(ピザレストラン)「童人夢農場(ドリームファーム)」オーナーシェフ
HP: http://dreamfarm-pizza.jp/
 
1949年生まれ。大学で食品工学を学ぶ。
パン会社に就職して菓子パン部門で勤務後、ピッツェリア(ピザ専門店)を始める。
イタリアのピザ職人学校 ”ApesPizzaSchool”(アペス・ピザスクール)に入学し、本場のピザ作りを習得する。現在も定期的にイタリア(ミラノ・ローマ・ベネチア・フィレンツエ など)に行きピッツァ(ピザ)の研究を続けている。

相模湖・津久井の本格薪窯ピッツェリア | ピザレストラン「童人夢農場 | ドリームファーム」オーナーオーナーシェフ 梅澤勉さんのインタビュー動画。
緑あふれる津久井の魅力、童人夢農場(ドリームファーム)のこだわり、デザートピザへの想い
についてオーナーシェフの梅澤勉さんが語ります。ご覧ください。

 

From → 津久井便り

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