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ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第37回)

by staff on 2016/4/10, 日曜日

大浦総合研究所 代表/大浦勇三

ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第37回)

遊びをせんとや生れけむ、戯れせんとや生れけん
遊ぶ子供の声きけば、我が身さえこそ動がるれ

- 梁塵秘抄 -

 “松のことは松に習え、竹のことは竹に聞け”と禅僧。それぞれの存在とその関係から起きることのみが真実であり本物ということですかね。イノベーションも人間のネットワーク、本物同士のネットワークこそが命。中味が本物の人間に繋がる人間もまた本物のはず。本物の人間への出会いがいい仕事への金門橋。“好きであれば続けられる。続けていたらマグレが出る。更に続けるとマグレが必然になる”とファッション・イラストレーターの長沢節。その根底には本物同士の相互交流。単なる訓練・教育だけでは充分とはいえず、教わるより“自ら学び・感じる”ことが大前提。“内容を隠すのではなく相互に学び合う”“オペレーション重視からコラボレーション重視へ、更には学習重視へ”“学ぶことのないコラボレーションでは状況への適応だけに終わる恐れ”“相互交流を通じた知のネットワークの深化”。梁塵秘抄では“そよや、こ柳によな、下り藤の花やな、さき匂えけれ えりな 睦れ戯れ や、うち靡きよな、青柳のや や、いとぞめでたきや なにな、そよな”とあります。柳や藤が風になぶられて絡み合うことこそ究極の娑婆(しゃば)遊びかも。今後の論点は“人工知能と組んでヒトの知的生産性をいかにして高めるか”がすべて。“過剰なガバナンス&プランニング”だけはご法度。乱世で信じられるのは本物だけ。“歴史を学べ、歴史を繰返し学べ”とチャーチル。

“遊びをせんとや生れけん” 「遊」

夢の実現に近道はない 遠回りして、手に入るものも数多く 棚ボタはない
ミラノ・スカラ座のプリマドンナ ドサ回りの経験不足から人気が続かない
最短距離による上昇は 登るのも早いが、落ちる時も一気にきて止まらない
人を育てるには、本物の絵をじっくり見せる 時間はかかるが他に道はない

 スカラ座はイタリア・ミラノにある歌劇場で、イタリアオペラ界の最高峰。最近は、彗星の如く現れるプリマドンナの人気が長続きせず、いつのまにか消えてしまうことも少なくないとか。数十年プリマドンナを張り続けた往年の名女優にその原因を問うと言下に“ドサまわりが足りないから”と一言。本当の夢の実現に近道は絶対にないということですね。遠回りして身につけるものこそ本物。ドサ回りはある意味で2点間の最長距離を歩むもの。逆に、最短距離による上昇は、登るのも早いが落ちる時も一気で簡単に止まらないということ。その昔、質屋の奉公では、最初の数カ月は朝から晩まで本物の金(キン)を見続けるのが仕事。極めてシンプルですがある意味で本質。どんな分野でも、人を育てるには“本物”をしっかり見せ続けるしか道はなさそうです。本物かどうかだけがすべて。“練習の合間の息抜きのゲームですら、勝利にこだわった”とジーコ。

“仕事をせんとや生れけん” 「献」

エンタプライズ・リスクマネジメントへの強化 プロセスを簡潔にする
プロセスは独自性をもつ リスクを組織全体から抽出・解析・特定する
利益創出機会とリスクをあわせて検討 風土改革を踏まえたアプローチ
教育を究極までやって先入観を解き放つ 科学に支えられた芸術にする

 リスクマネジメントの重要性が高まっています。個別対応ではなく、全体的で統合的なリスクマネジメント。単なる論理的・技術的な対応では済まず、ヒトの再定義・技術との関係性の再構築・文化風土改革まで対象を広げていく必要がありそうです。環境変化に対して自律的に対応し、進化し、永続する組織とはどういうものなのか?“意欲と学習能力”“多様性に裏付けられた思考構造”“共通の目標に向かっての自由な振舞い”。その意味でリスクマネジメントとは、まさに学習する組織。それには“思考力を鍛える・チーム学習力を高める・共有ビジョンを浸透させる・組織をシステムとして捉える・変化への学習プロセスを設計する”と米ピーター・センゲ教授。リーダーは必ずしも答えを持っているとは限らないもの。仕事をしながら学習するというより、仕事そのものが学習。“日本人的忍耐力と古代ローマ人の冒険心の合体が最強”と漫画家・ヤマザキマリ。

“学びをせんとや生れけん” 「学」

人生は スタートからゴールまでの、二点間の歩み
教育は 一般道路、その中での最長距離を歩むこと
仕事は 高速道路、その中での最短距離を走るもの
最短距離の教育だけでは最短距離の仕事はできない

 多様性は必然的にリベラルアーツを要求するもの。最後は人間の勝負なのだから、人間を鍛えるしかなさそう。それには“競争原理と公平性”“多様な価値観”“勤勉を美徳とする精神文化”。イノベーターを自負し斬新な発想をもつ社員の割合が高く、社外のアイデアや活力を積極的にとり込みながら、小さなリスクを重ねて多くを学ぶ組織ほど、イノベーションの成果が大きいとの見立て。リーダーが決断して行動するための強力な武器が“インテリジェンス”。鋭い牙をもたないなら、代わりの武器として長い耳や速い脚を持つということ。コンピュータはコラボレーションには有力ですが、それには応用スキルが不可欠。直観の刃先を大事にし、知の野蛮人になることを怖れないこと。“真似をしないで独自の道を歩むのは苦しいが、一旦追いつくとその後の技術の差は歴然。ものすごく楽になる。一旦真似をすると、死ぬまで真似から逃げられない”と本田宗一郎。

「遊びは仕事、仕事は遊び」
「仕事は学び、学びは仕事」
「学びは遊び、遊びは学び」

 今回とりあげた「遊・献・学」それぞれの4行文は、拙書「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」(全10巻)及び「続・ビジネス梁塵秘抄(一)(二)」(全10巻)から抽出したものです。次回以降も「遊・献・学」から各々4行文を一つずつ抽出してご紹介していきたいと思います。

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(第37回了)

 

大浦勇三(おおうら ゆうぞう) プロフィール

大浦勇三(おおうら ゆうぞう)  

大浦総合研究所 代表 (http://www.mmjp.or.jp/ooura/

石川県七尾市出身。
早稲田大学卒業、筑波大学大学院修了。
米国経営コンサルティング会社 アーサー・D・リトル 主席コンサルタントを経て現職。
主担当領域は、経営改革/企業再生、経営戦略/情報通信技術戦略策定、業務改革/組織改革、研究開発/商品開発マネジメント、マーケティングマネジメント、ナレッジマネジメント、イノベーションマネジメント、サプライチェーンマネジメント、人材マネジメント、コーチング/メンタリング、プロジェクト/プログラムマネジメント、ベンチャービジネス支援等のコンサルティング。

筑波大学大学院講師、城西国際大学客員教授、名城大学講師、産業能率大学講師、中小企業大学校講師などを歴任。

主な著作物:

  • 「続・ビジネス梁塵秘抄(一)(二)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「イノベーション・ノート」(PHP研究所)
  • 「ITプロジェクトマネジャーのためのコーチング入門」(ソフトリサーチセンター)
  • 「図解 日本版LLP/LLCまるわかり」(PHP研究所)
  • 「IT技術者キャリアアップのためのメンタリング技法」(ソフトリサーチセンター)
  • 「よいコンサルタントの見分け方、かかり方」(清話会)
  • 「日本のモノづくり - 52の論点」<共著>(日本メンテナンス協会)
  • 「現場主導型の組織運営とスピード戦略」(日本監督士協会)
  • 「eコミュニティがビジネスを変える」<訳>(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメントが見る見るわかる」(サンマーク出版)
  • 「図解 ナレッジ・カンパニー」(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメント革命」(東洋経済新報社 )
  • 「図解 グローバル・スタンダード革命」(東洋経済新報社)
  • 「業務改革成功への情報技術活用」(東洋経済新報社)
  • 「情報化戦略と投資評価・システム運用管理の実際」<編著>(企業研究会)
  • 「会社改革実務辞典」<共著>(産業調査会)
  • 「プロジェクトマネジャー(PM)の育成・スキルアップのためのメンタリングの進め方と実践法」 (ソフトリサーチセンター:CD-ROM版)   など

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