横浜宝石物語（第18回）　三代目の私（馬車道エメラのオープン）

横濱宝石美術館エメラ
代表　大島貴子

横濱宝石美術館エメラ 代表　大島貴子

PROLOGUE　連載に寄せて

私は横浜でおそらく一番古い宝石商の三代目です。

創業者の祖父、二代目の父、三代目の私とそれぞれの時代で宝石商としての形態は違っていますが、良い宝石を選び、作りの良いジュエリーを製作して、ご提供するということについては、３人とも拘ってやってきたと思います。

祖父が宝石の製造メーカーとして地位を築き、父が小売店として皆様に愛されたからこそ、今、私が宝石商としてやっていられますので、いつか祖父のこと、父のことを書いてみたいと思っていました。

宝石商の三代目

私は現在、横浜の馬車道で「横濱宝石美術館エメラ」という宝石店をしております。

横浜の景色や思い出をジュエリーにした「横浜ジュエリー」などオリジナルジュエリーの製作と販売、デザイナーやアーティストの作品の展示販売、お客様のご要望をかたちにするリフォームやオーダージュエリーのご注文を承っています。

私の宝石商のルーツである創業者の祖父のことからお話しさせて頂きたいと思います。

三代目の私
（馬車道エメラのオープン）

バブル崩壊後、ジュエリーの需要は年々少なくなりました。
父の会社が運営する「エメラ横浜西口ダイヤモンド地下街店」も年々売上が下がり、リーマンショックの影響もあり、地下街の大々的な改装計画もあった為、2012年2月で閉店することになりました。

ちょうどその頃、私のジュエリー加工会社アレクスが共同所有する馬車道商栄ビルが老朽化の為、取り壊しの計画が出ましたので、貸していたテナントが空きました。
そこで、2011年の12月にアレクスで馬車道に「横濱宝石美術館エメラ」をオープンしました。
「横濱宝石美術館エメラ」はオリジナルジェリー、デザイナージュエリーとリフォーム・オーダーに特化した店で、父が海外に行って買い集めた宝石の原石や置物のコレクションなどを展示する宝石美術館も兼ねています。

それまでの「エメラ」はリーズナブルなピアスから高額ジュエリーまで幅広く取り扱っていました。
「横濱宝石美術館エメラ」では商品を特化した為に、お客様の満足を何よりの喜びとして、時間と手間を惜しまず、最高の品質を追求し、世界にただ１つのジュエリーを製作することが出来るようになりました。

宝石の原石のコレクションは沢山の方にご覧頂き、倉庫に眠っていた原石が輝きを取り戻しました。

馬車道は幕末、横浜の開港をきっかけにできた古い道路で、アイスクリームやガス灯など「日本初」の文化が発祥した異国情緒あふれる繁華街として栄え、商店街としても古い歴史があります。
馬車道商店街では5月9日の「アイスクリームの日」を中心に「馬車道マルシェ」を、10月31日の「ガスの日」を中心に「馬車道まつり」を開催して、色々なイベントを行っています。

「エメラ」では馬車道マルシェや馬車道まつりに積極的に参加して、ワゴンセールや真珠取り出し体験や企画展をしています。
「アイスクリームの日」にちなんでアイスクリームジュエリーを作ったり、ガス灯と馬車と県立博物館を描いた横浜ジュエリーや馬のジュエリーも作りました。

老朽化による馬車道商栄ビルの取り壊しの為、来月の5月9日～5月11日に開催される「馬車道マルシェ」にエメラが参加するのは最後になりそうです。
5月9日（月）～6月11日（土）まで閉店バーゲンも開催予定ですので、ぜひ、お立ち寄り下さい。

（クリックで拡大画像）

エメラ店舗

ロゴマーク

リフォームしたダイヤモンドオリーブリング

アクアマリンの原石

翡翠の馬の置物

アイスクリームジュエリー

横浜ジュエリー・馬車道とガス灯

（写真提供：大島貴子）