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ヨコハマ・ディスコグラフィティー 第49回 第7章 独立編 2

by staff on 2016/7/10, 日曜日


 
 

 

HEART&SOUL代表 原 正行

1958(昭和33)年9月7日横浜生まれ、12歳よりギターをはじめ17歳からミュージシャンとして活動。39歳の時に念願だったライブハウスを開業、現在は関内駅北口駅前に60年代から80年代の洋楽ヒット曲を演奏するライブハウス、ハート&ソウルの経営者。他にもミュージシャンとして演奏活動、作曲、プロデュース等、幅広く活動している。

 

 

横浜、街と風(独立編) 2

開店

1997年6月9日(ロックの日)、関内相生町2丁目AMビル6階に16,5坪のお店 “アダム” をオープンしました。

ライブを聴けるレストランバーというコンセプトでライブチャージとテーブルチャージ合わせて3千円(サービス料は含まれる)明朗会計をモットーに設定しました。休みは日曜日、知り合いのママさんから最初の一年は休みなんかない位のつもりでやりなとアドバイスされましたが、それではさすがに喉がもたないので最初の1年は日曜日だけ休み、正月3が日以外は夏休みも取らずに頑張ろうと決めました。そして営業時間内は早じまいせず必ず開けていようと決めました。

レセプションには大勢の方にいらしていただき、お祝いや華やかなお花も沢山いただき、いまでも感謝しています。そして沢山のアドバイス、「みんな一度は来るけどそのあと来るかどうかは原ちゃんしだいだよ」 この言葉の意味が身に染みて分かるのはしばらくしてからでした。

当初スタッフはみなスーツ姿、チーフもしっかりコックコートで、バイトもネクタイ、私もスーツが多かったようです。関内は官庁街なのでラフな格好ではできないと思っていました。

店は夕方8時オープンして8時間営業、終わりは4時迄、営業が終わってもすぐ帰りたくないのはお客様の心情、しかしスタッフは早く帰りたいのでお客様に早く帰ってほしいと思うようになります。なのでスタッフ達には「営業時間が終わっても1時間は、5時までは営業時間だと思ってくれ、それでも残っているお客様には私自身がそろそろ店じまいしますと伝えるから」 と言いました。飲み屋の終わりはついついダラダラしてしまうものです。

以前働いたお店でお客がいないと演奏しない店があってバンドは休めるぞ、しめしめと思います。 一人入ってくると “来なければ休めたのに、、” と思うようになります。雇われているころ自分がそうだったので良くわかります。バンドの演奏時間も6回分しっかり決め、時間になったらたとえお客様が一人でも必ず演奏を始める。もし誰もいなければ練習のチャンスと思い決められた演奏時間内は必ず楽器を持ってステージに立ちました。いまでも続けている決まり事です。

店長のS君のカクテルは美味しくそれなりに接客もしていて、当たり前ですがチーフのお料理の評判も良く出足は順調でした。

出足が良かったからか少し浮かれていたようです。

空気

開店当初から店の売り上げだけでは心配なのでよその店と掛け持ちをしていました。要は出稼ぎ、アダムで30分演奏したらよそで30分弾き語り、また戻ってアダムで、と一日4回程やりました。開店から3か月たったころ掛け持ちから帰るとお客様がほとんど帰っています。まだステーージ一回分も聞いていないのに帰っているケースもありました。演奏中はいい雰囲気だったのに戻ってみると店の中が何かひんやりとした空気を感じました。店のスタッフにちゃんと接客していたかと聞くと 「もちろんちゃんとやってますよ!」。そして店の売り上げは日に日に悪くなっていきます。そんな状態が続いた時、弾き語りの先輩で関内でお店を経営している兼田さん(「ヨコハマ・ディスコグラフィティー 第26回 第5章 80年代 2」に登場)に会いました。店はどうだ? と聞かれたのでこの事を話すと 「お店の経営者が店を留守にしちゃだめだよ。掛け持ちなんかすぐにやめな!」 とアドバイスされました。なるほど、お店の空気もまだ出来上がっていないのに駆け出しのスタッフ達だけに任せて店を留守にしていた。これではお客様はたまったものではありません。みんな原を知っているから来る。なのに原がいなくなれば他人行儀な空気が流れお客様は居心地が悪くなってしまいます。よそのお店に事情を説明し掛け持ちを辞めさせて頂き自分の店に集中することにしました。そこでお店の空気という物がいかに大切かという事に気づきました。

空気2

店に常にいるようになると色々な事に気づきました。お店の中が何か寂しいのです。そこで壁にレコードジャケットやアーチストの写真などを発泡スチロールの板に張り付けあっちこっちにべたべた飾りました。猥雑な感じですが不思議なものでこれだけで結構店が賑やかになり、音楽をやっている店の感じになりました。発泡スチロールですからお金はほとんどかかっていません。(ハハハ、、、) そして天井には星のような照明をつけこれでかなり雰囲気が出てきました。しかし、なぜかまだ空気が思っているものと違う。なにか殺伐とした雰囲気が漂っています。そこで考えたのは女性のスタッフを入れよう! 求人誌で募集した女子大生を2人ほど雇いましたすると不思議なことに店の空気が変わりました。特に席について接客するわけでもなくただのウエートレスですが、それだけで雰囲気が柔らかくなりました。それ以来女性スタッフは欠かせません。

 

ここからは原の音楽夜話 - 原の勝手な視点で様々な音楽を語ります。
ソロボーカル(ブラック男性編7)
スティービーワンダー(3)

ソウルの歴史においてと言うか現代ポピュラー史にこの人ほど多大な影響を与えた人はいないのじゃないでしょうか。前回に引き続き、私なりのスティービー論を語りたいと思います。

コブシ

歌手の表現方法のひとつで、元々のシンプルなメロディに細かい音符で味付けをします。楽譜に書くと16分音符が丸くなっているように見えるからでしょうか。コブシを回すとかコブシをきかすとか言いますね。 「あいつはコブシをコロンコロンまわす」 なんて言ったりしますが、どこの国にもあるようで、日本にも民謡浪曲と歴史は古いようです。そして現在の演歌にも欠かせないものとなっています。

思いがけない場所で細かい音符のフレーズが出たり、コブシがもつ和音感でしょうかよくコブシにぐっとくるとか、コブシに泣かされるとか言います。

日本の演歌のコブシとスティービーのコブシとは何が違うのでしょうか? 多分それはリズム感とかグルーブの違いでしょう。よく日本人は前のめりのリズム (船漕ぎのえんやとっとや祭りのわっしょいみたいな感じ?)。 4拍子で言うと1泊目と3泊目が強い感じ。英米のリズムでは2拍4拍が強調されます特に黒人音楽では更にゆったりとより強くなる感じがします。スティービーは若いころからコブシの天才です。私も真似をしたり研究したりしましたが中々難しかったです。

しかし80年頃からでしょうか、スティービーのコブシが更に強力になってきます。一つのフレーズに3つも4つも入ります。

私事ですが正直この頃からこのコブシについてゆけなくなってしまいました。

80年代以降若いブラックのシンガーはみんなかなりコブシを使います。これはスティービーの影響力が大きいと思います。これ以降のブラックミュージックは現在に至るまでコブシオンパレードです。この辺から私も新しいブラックミュージックはあまり興味がなくなってしまいました。今でもブラックのCDは集めて聞いていますがほとんど85年代以前の物です。

交流

スティービーは色々なアーティストと交流しました。沢山ありすぎるのでほんの一例ですが “悪夢” でのジャクソン5との共演、ジャーメインジャクソンに曲を提供したり、ポールマッカートニーとの “エボニーアンドアイボリー”、マービン、ダイアナ、スモーキーと共演した “ポップスウィラブユー”。 そうそう “パートタイムラバー” のスキャットはルーサーヴァンドロスの声をサンプリングしたものでした。 極めつけはギタリストのジェフベック! 我々が若いころ聞いていた噂では “迷信” は元々彼の為に書いた曲で間違ってスティービーの方が先にリリースされた為大ヒットになってしまったというお話。そこで申し訳なく思ったスティービーがお返しにと “哀しみの恋人たち” をプレゼントしたらそれがジェフの代表作になってしまった。みんなそんな風に聞かされていましたが近年ジェフのインタビューで真相があきらかになりました。 “哀しみの恋人たち” は元々以前の奥さんシリータの為にスティービーが書き下ろした曲。それを聞いたジェフがやらせて欲しいと頼んだとのこと。“迷信” の事もスタッフの手違いだったので本人達は気にしていないとの事でした。

詩に関しては若いころボブディランには影響されたようです。スティービーのディランのカバー “風に吹かれて” は絶品のソウルチューンです。またボブマーリーに関しては相当リスペクトしているようで、 “ホッターザンジュライ” ではそれが感じ取れるし、又レゲエのリズムを世界に知らしめる貢献をしたのもスティービーの功績と言えるでしょう。そして “ウィアーザワールド” やエルトンジョンらとのエイズ撲滅の “愛のハーモニー” など社会的な運動にも積極的に参加していて枚挙にいとまがありません。

スティービーはソウル界の良心と呼びたい気持ちです。

次号へ続く

HEART&SOUL代表 原 正行)

 

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休・祝日:OPEN 18:00 CLOSE 24:00 LIVE START 18:40~
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