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横浜スケッチ(第16回) 密厳山 不動寺 遍照院(別名「踏切寺」)

by staff on 2016/8/10, 水曜日

ペンネーム 成見 淳

「ええー!」 思わず立ち止まった。
素晴らしい景色に感動してというよりも、いきなり不思議な光景を目にした驚きからだった。
場所は国道15号線(第一京浜国道)を、1963年161名が亡くなられた鶴見事故のあった滝坂踏切から300Mほど新子安駅方面に向かった、我が家から1Kmほどの所。散歩の途中に踏切の音がして、音のする右側を見ると山門のすぐ前に踏切があり、ポカーンとしている私の横を赤い京急電車が過ぎて行った。
何の予備知識も、何の予告も無く、突然カンカンという踏切の鐘とゴーという電車の音と共にこの光景に出会うと面食らって笑ってしまう。
そのまま散歩を続けようと気を取り直して歩きだしてから、『待てよ。せっかくだから。』と戻って描いたのがこのスケッチ。2005年のことだった。


「遍照院」色鉛筆 F2 2005年
1458年に開かれた高野山真言宗のお寺で、「へんじょういん」が正しい呼び名である。
はじめは入江川の近くの一之宮神社の辺りにあったが、家康の江戸入国の折、東海道沿いの現地に1590年移転した。


「踏切のある寺」 油彩 50号 2005年
当時所属していた全日本美術協会の本展に出品するために仕上げた。「踏切注意」の文字は筆で書きにくいので赤のサインペンで書いた。
後ろと左に写っているのが紅花トキワアマンサク


「遍照院」油彩 8号 2006年
友人の依頼により制作

ここは自宅や庭以外で最も近いスケッチポイントなので、現場に何回か通って描いた。山門の前で描いているとちょうどご住職が通りかかって「描いていただいてありがとうございます。」と声を掛けていただき、「この門はもうすぐ建て替えるのですよ。土台の方が腐って来て。」「よくここはテレビや映画のロケに使われます。」とか話してくれた。

横浜スケッチで取り上げるに際し、あらためて2016年7月下旬に山本芳弘ご住職を訪ね、お話を伺うと「山門を建て替えたのは2008年。地震対策と記念事業のため。」「マジック天国、空から日本を見てみよう、ぶらり途中駅など多くのTV番組で紹介された。サスペンスドラマの法医学教室では女優の名取裕子が来て犯人を追いかけ、踏切が閉まり取り逃がすシーンを撮影した。ドイツからTV局が来たこともある。」など話が弾み、「1868年の神奈川宿大火や1945年5月29日の横浜大空襲(2016年3月号の横浜スケッチで取り上げた。)の際に、山門だけが焼失を逃れた。関東大震災の際も倒壊を免れたこと。」などを伺った。

もう一つこの寺が気に入っている理由は、境内にある紅花トキワマンサク。
我が家の自慢の木で、最近でこそ珍しくなくなったが当時は滅多に見られない木で、生垣に植えた時にはよく気の名前を聞かれた。(紅花トキワマンサクの話題は沢山あるので横浜スケッチのネタに困った時の切り札として残しておくことにして)遍照院にはこの木が約10本植わっており、桜のシーズンには東海道線・横須賀線・京浜東北線が東京方面から新子安駅に差し掛かる少し手前、浅野学園付近から海側方向に見ることが出来る。現在工事中の首都高速道路の跨線橋を過ぎて新子安駅までの間にあり遍照院会館という大きな看板がJRの車窓から見える。
3月下旬から4月中旬までJRの車窓から見ることが出来る。


「遍照院」透明水彩 F4 2016年7月
山門は新しくなっている。

狭い境内なので黙って描くのは失礼と思って玄関の呼び鈴を鳴らし、「ヨコハマNOW」への掲載の趣旨をお伝えし、許可をお願いした。すでに原稿はほぼ出来上がっており、残すは最新のスケッチのみだったのでお見せすると快諾をいただき、何と蚊取り線香まで持って来てくれた。
デッサンを描き終わって蚊取り線香をお返しに行き、50号の油彩のお話をするともらっていただけそうな感触。ご覧になってからのお返事とすることにした。(この後、7月下旬にご住職お会いして50号と、F4の別の水彩画を受け取っていただいた。)
水彩道具をかたづけ始めた所で手首を数か所蚊に食われてしまった。まるで描き終わるのを待っていた「蚊」のように。
4月号から鶴見区内を取り上げたて来たが、今月は神奈川区の遍照院を取り上げた。遍照院はまさしく踏切寺だ。

<参考資料>

筆者紹介

Jun Ohsawa 大澤 淳さん  
お名前 Jun Ohsawa 大澤 淳
E-mail j-narumi@ug.netyou.jp
URL http://home.netyou.jp/kk/ohsawa/
成年月日 1967年1月15日成人式。おひつじ座。いわゆる団塊の世代。誕生日はもっと前。
年齢 その年の西暦 - 1947(3月25日以降)
生息地 横浜市鶴見区に60年以上在住。いわゆる浜ッ子。
血液型 いわゆる典型的なAB型
性格 内気、控えめ(だが信念は曲げない)、人前に出るのを極度に嫌う・・・だったが、 最近は少しずつ変わって来た。これもネット化のおかげかな。
割りと簡単に物事をはじめてしまう。(衝動的、意思決定が速い、好奇心が強い) 。忘れやすい。(最近特に)
趣味 絵画(スケッチ、油彩、水彩)ヨコハマNOWのお陰で、2015年より主に水彩画を中心に絵画を再開した。
文章を書くこと(エッセイ、旅行記など)。
フォルクローレ(アンデス音楽、ケーナ、サンポーニャ演奏・・・だったが、今はたまに聴くだけ。
年1回(と決めているわけではないが)の海外放浪の旅。
(心の洗濯:すぐ心が汚れやすいので。)
ゴルフ(1979年にホールインワンをしたことも。神奈川県津久井湖ゴルフコース、最近は月2~3回、ハンディキャップは全盛期13だったが、この頃は何とか10代後半。)
退職後は散歩や庭を眺めたり芝生の雑草を取ったり。
2015年作曲を始める。

 

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