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ヨコハマ・ディスコグラフィティー 第50回 第7章 独立編 3

by staff on 2016/8/10, 水曜日


 
 

 

HEART&SOUL代表 原 正行

1958(昭和33)年9月7日横浜生まれ、12歳よりギターをはじめ17歳からミュージシャンとして活動。39歳の時に念願だったライブハウスを開業、現在は関内駅北口駅前に60年代から80年代の洋楽ヒット曲を演奏するライブハウス、ハート&ソウルの経営者。他にもミュージシャンとして演奏活動、作曲、プロデュース等、幅広く活動している。

 

 

横浜、街と風(独立編) 3

アダム開店から2か月が過ぎチーフのFさんが元町の自分のお店を出すために辞めましたが、みっちり仕込んでもらったT君はわずか2か月で見事に残してくれたレシピを再現できるようになっていました。今に至るまでハートのお料理は美味しいと言っていただけるのもFさんが築いてくださった地盤のお陰です。元町エルエラは素晴らしいレストランです。是非一度行ってみてください。

スタッフはこのキッチンのT君と店長のS君ベースのR君、数人の女性アルバイトで固まりましたが前例のない手探りの営業、売り上げは厳しくこのままやっていけるのか不安を抱えながらの必死の毎日でした。

そしてお店も8か月位たった頃、店長だったS君と接客態度について揉めました。言葉使いや態度など徹底させていた自分のやり方についていけないから辞めさせてくれという事でした。

残念でしたが仕方がありません。キッチンのT君を店長にして、キッチンとホールを兼用でやってもらうことにしました。この後T君は本当によくやってくれました。

接客

この頃は狭い店なので休憩室もなくスタッフやバンドの休憩は表の非常階段でした。しかし少しでもお客様とコミュニケーションテーブルする為、40分6回の演奏の合間は席に着きしっかりと接客しました。

お酒を売るお店で接客は重要で、お客様を退屈させない会話術が求められます。テンポよく次から次へと面白い話が出てくる天才的な人が水商売ではもてはやされます。30話で登場したおかまのヒゲママ冬子さんなどは、一人で30人位相手に会話して飽きさせない豪傑でした。元々口下手で人見知りだった自分は接客が苦手で、自分は音楽家だからと逃げていたころもあります。しかし自分が先頭に立っていてそんな事は言っていられません。水商売の先輩たちや先輩達から教わった事を思い出し、自分の中に四つの法則を作りました。

一つ目はまず、自分が苦手だな、あまり好きなタイプではないなと思っている客から先に席に着く。接客しやすいタイプや慣れた客に先についてしまうと居心地がいいので苦手な客の所に中々行かなくなります。又、苦手な客は誰からも苦手に思われてる場合が多いのでみな近寄りません。ステージが終わりこういうお客の席に一番最初につくと 「おっ、俺に興味があるのか」と悪い顔はしません。こういうお客様に気に入られると一生ものになります。

そして二つ目は、話し上手ではなく聞き上手になるという事。まずそのお客様に興味を持つ事、好きになる事から入り、そのお話を想像力を働かせながら聞くという事です。例えば家の話をしてる時、広いんですか? ペットは? 種類は? 聞きながら想像していくとパズルのように絵が埋まっていきます。こんな風に聞いていくとあっという間に時間が過ぎますし、相手も自分に興味を持たれているという事で悪い気はしません。

そして三つめは、お客様を主役にするという事。例えばカラオケバーなら自分が歌えばその瞬間は主役になれます。それではライブバーではどうするか? お客様のリクエストに答える事です。その曲を演奏している時はそのお客様が主役です。そしてその曲を覚えておき、次に来た時だまって演奏すれば 「おれの為に演奏してくれている」と喜んでくれます。できない曲のリクエストが来た時は次までに覚えておき、来たらすぐ演奏する。お客様は感動してくれます。

四つめは、来てくれたすべてのお客様に挨拶する。お帰りの時はエレベーターホールまで店主自らお見送りする。その時のお客様の表情を見れば満足してくれたかどうかわかります。もし満足していないようなら自分への反省材料になります。

私なりの勝手な法則ですがこれを守るようにやってきました。

規模が大きくなるにつれ中々すべてのお客様にとはいかなくなりましたが、今でもベースは同じです。ここに又来たくなるんだよねと言われるのが最高の喜びです。

こうして10か月過ぎ、何とか少し先が見えて来たころ素晴らしい出会いがありました。

 

ここからは原の音楽夜話 - 原の勝手な視点で様々な音楽を語ります。
ソロボーカル(ブラック男性編8)
モータウンのその他の男性ボーカル

デヴィッド・ラフィンとリーヴァイ・スタッブス

モータウン所属のボーカルグループにも優れたボーカリスト達がいました。初期テンプテーションズ(以下テンプス)のデヴィッド・ラフィンは、あの 「マイガール」 を歌ったことで有名。しゃがれた太い声で声の中に素晴らしい倍音があり、それが彼の歌をセクシーに響かせているようです。時々出てくるハスキーボイスに隙間から絞り出すような裏声も驚異的です。少し後ろにつっかかるようなリズムの取り方も独特で、野性味溢れる声ですが、 「マイガール」 や 「雨に願いを」 など甘いサウンドをバックに歌わせると何とも言えないコラボレーションになりうっとりさせられます。70年代はソロで活躍しました。

そして忘れてはいけないのがフォートップスのリードボーカル “リーヴァイ・スタッブス” (レヴィと書かれる時もある)。 こちらの声もハスキーで凄みみがあるのにスイート。裏声は使わず地声のみで勝負する。飽きそうで飽きない声といいますか、何度聞いても又聞きたくなる良い声です。特にモータウン初期に作家ホーランド・ドジャー・ホーランド(以下HDH)の作品を歌わせたら女ではダイアナロス、男ではこの人がダントツに素晴らしいでしょう。

元々ジャズを歌っていたので正統派のリズムと歌の上手さがあります。その辺スリルに欠けると言えなくもないですが、やはり声の魅力に圧倒されます。相性の良かった作家チームHDHが著作権問題でモータウンを離れるとヒットが出なくなり、74年以降、彼らもモータウンを離れますが、違うレーベルからヒットを飛ばし、70年代も活躍しました。カサブランカレーベルで出した 「トゥナイト」 は私の愛聴盤です。フォートップスは80年代以降もライブを中心に活動を続け、一度もメンバーチェンジもすることなく、44年間固い絆で結ばれました。リーヴァイのボーカルをもってすればソロに転じる事は容易に出来た事と思いますが、彼は友情を貫き通したのです。

マイケル・ジャクソン(少年時代)

言わずと知れたマイケルですが、わざわざ私が書かなくてもジャクソン5やスリラー以降は皆さんご存知だと思うので、モータウン在籍時のソロ作品を取り上げたいと思います。1969年マイケル11歳の時、全米No.1になる大ヒット 「帰ってほしいの」 でデビューしたジャクソン5は、立て続けに4枚の全米No.1を放ちわずか10か月で600万枚という売り上げをあげました。商魂たくましいモータウンはマイケルをソロにして違う路線を歌わせもう一儲けしようとします。

1971年13歳の時出されたソロアルバムが 「Got To Be There」。声変り前の可愛らしい声です。ほとんど女性の声のトーンですが、大人の女性の声より高い響きですし実際高いです。地声のシャウトの場合、大人の黒人女性ですとハイD位、マイケルはF#でシャウトしています。普通ならキンキンして聞けたものではないでしょう。ぎりぎりのところで響くのがこのころのマイケルです。又、特筆すべきはかなり声が太いことで、逆に変声期より後の方が高音は細く感じる位です。ジェームスブラウンなどの影響もあるのでしょう。恐れることなく思い切り張り上げる高音が心地よいです。

アルバム収録曲はこの当時流行っていた 「君の友達」 やビルウィザースの 「エィントノーサンシャイン」。大人っぽい歌を沢山歌っていますが、13歳には難しい歌だったでしょうが、中々いい感じで歌い上げています。又、この頃の中低音の響きがダイアナロスを思い浮かばせます。デビューまでダイアナロスの大邸宅で教育を受けていたので当然かも知れません。この後2枚目のソロアルバム 「BEN」 でタイトル曲 「Ben」 が全米No.1! (知能の発達したネズミと少年の友情をテーマにしたパニック映画の主題歌)。ソロボーカルとしての地位を獲得しました。このアルバムでテンプスの 「マイガール」 を歌っていますが、この曲はマイケルが5歳の時、兄弟たちと出た地元のコンテストで初めて賞を取ったとき歌った曲だそうです。14歳で発表した3枚目 「ミュージック&ミー」 はまだ変声期は迎えてませんが心なしか声が太くなったような気がします。ラストのハイFのロングトーンが見事なナットキングコールの 「トゥーヤング」。大人のリスナーを狙ったのでしょうがこの選曲ってどうなの? って感じです。この後17歳の時モータウンでラストのソロアルバム 「フォーエバーマイケル」 を出します。ここで変声期後初のマイケルの声を聴けます。ここでおなじみのマイケルの声になりますが、相当大切にされ変声期を越えたのでしょう。見事なまでの美しい声です。しかし以前の思い切りのよい太いシャウトは聞くことができなくなりました。と言っても男にしては信じられない地声のハイトーンでC#(ド#)までラクに出していますから普通の声帯ではありません。バラードではB(シ)位でキーを設定しています。ここで最高のバラードで本人も当時好きだと言っていた 「One Day In Your Life」 を聞くことができます。この美しいメロディとアレンジ、マイケルに美しい声、私的に最高傑作だと思います。これ以外の曲はキー設定に悩んでいたようでかなり低めに歌っている曲が多く全体的にぼやけた印象を覚えます。

この4枚のアルバムを聞けばマイケルのボーカリストとしての持って生まれた資質を感じ、そして天才少年の変声期前後の声の変化と成長を楽しむことができます。今回記事にしたソロ作品は “マイケル・ジャクソン ハロー・ワールド” というボックスセットで購入することができます。よろしかったら是非聞いてみてください。

この後兄のジャーメインを残し兄弟たちとモータウンを去りますが、これ以降は皆さんご存知のマイケルの歴史が始まります。

次号へ続く

<Special Announcement>

今回の記事を読んでいただいた方で、マイケルにご興味のある方に、素敵なプレゼントを先着5名様にさせて頂きます。ハート&ソウルにいらして頂き、「ヨコハマNOW」見たよと言ってください。

HEART&SOUL代表 原 正行)

 

HEART&SOUL DATAMAP

HEART&SOUL
〒231-0014 横浜市中区真砂町3-33 CERTE11階
営業時間
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休・祝日:OPEN 18:00 CLOSE 24:00 LIVE START 18:40~
TEL:045-664-5569
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