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ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第42回)

by staff on 2016/9/10, 土曜日

大浦総合研究所 代表/大浦勇三

ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第42回)

遊びをせんとや生れけむ、戯れせんとや生れけん
遊ぶ子供の声きけば、我が身さえこそ動がるれ

- 梁塵秘抄 -

 上野にある国立西洋美術館を含む7カ国17施設の “ル・コルビュジエ建築作品” が世界文化遺産に登録されました。西洋美術館は、建物を柱で支え1階部分の壁を取り去り、らせん状回廊を取り入れたコルビュジエ建築の典型。最近は外国人観光客を含め、いつになく混みあっています。石積み・レンガ積みからの転換で、まさに建築のイノベーション。部屋単位の展示空間と異なり、四角い渦を大きく拡張していく “無限発展美術館” 。一つの空間の展示絵画を見ながら、他の空間の絵画を覗き見たり、絵と絵の間にある窓からの緑と光に一息ついたり。機能とデザインによる美の均衡。スイスの時計職人の子で、家業を継ぐため美術学校で彫刻と彫金を学び、専門的建築教育を受けていないという強み。代わりにドイツ・東欧・トルコ・ギリシャ・イタリア放浪の実践的鍛錬。 “教わったものは自分のものじゃない” との宮大工の掟は世界共通。戦後、フランスから依頼された集合住宅は当初“缶詰住宅・巨大なウサギ小屋”とボロクソだったとか。その後、これが世界の集合住宅のお手本に。核心は “標準化” “規格化” “定量化” 。梁塵秘抄では “黄金の中山に、鶴と亀とは物語 仙人童の密かに立ち聞けば 殿は受領に成り給う” とあります。国司の役職は富への近道ですが、最後は “知のダンス” の勝負。 “家族とは、完璧でなく曖昧な部分を抱えた生身の人間を知る場” と脚本家・山田太一。

“遊びをせんとや生れけん” 「遊」

ビートルズやマイルス・デイビスの新世界 バッハに一歩もひけをとらない
思想・哲学 世界中の知識を自由に活用できる環境に未だ順応できていない
武器のイメージを変えると戦争のイメージも変わる 世界史は海と陸の戦い
念仏を唱えて眠くなったらそのまま眠る 眼が覚めたら、また念仏を唱える

 マイルス・デイビスはモダン・ジャズの帝王で革命児。1990年には東京ドームで行われたジョン・レノン追悼コンサートにも出演しています。 “好きに生きたらいい。心の中のビジョンは現実になる” というビートルズと共鳴するものがあったのでしょうね。マイルスも人生・音楽に激しく挑戦、 “すべて学び、すべて忘れろ。失敗を恐れるな。失敗なんてないんだ” “そこにあるものでなくないものを、知っていることでなく知らないことをやる。変化しかない” と自らを鼓舞しています。必要なのは才能じゃなくて練習・練習・練習、楽な生き方に興味はないということでしょうか。それでも、念仏を唱えて眠くなったら眠り、眼が覚めたらまた念仏を唱えるという自由こそ命。 “組織のレベルアップは個人のレベルアップなしにはありえない。でも、組織プレーで解決できない問題を個人が解決してしまうことはありうる” と元サッカー日本代表監督・オシム。

“仕事をせんとや生れけん” 「献」

競うべき内容は 手術の速さでなく、患者の回復の早さ
創造的であることと共に 徹底して客観的に振舞うこと
客観的視点もさまざま どれだけ多様なものが持てるか
全てを相対化、生き方の問題 現在を富とする、と老子

 老子(ろうし)は古代中国の哲学者。上野国立博物館で時々かかる画家・下村観山の “老子像” はいつ見てもその静謐さに圧倒されます。 “いま現在が富。人の道は固定したものでなく、あるがままが一番いい” とわかったつもりでいても、知識中心の考え方に縛られて身動きとれないのが我々の現実。医学の進歩一つとっても、そのスピードはあまりにも急速で、本来、競うべき内容は手術の速さでなく、患者の回復の早さだという本質を忘れがちになりそう。新薬も即効性が求められますが、薬の効果は服用中よりも、それを止めた時に初めて実感できるものかも。 “クリエイティブ” であるということは、冷静な客観性を伴い、客観的視点もまた多様なはずで、どこまで相対化できるかがカギ。 “インドの独立闘争は力の闘争でなく多様性をまとめる闘争。インド文明の根源と近代化への要求とのリンク。農民に新しい仕事、子供には教育” と外交評論家・岡本行夫。

“学びをせんとや生れけん” 「学」

他人にバカにされるようなことをしないと成功できない
自力九割、運が一割 ただ善良なだけでは真っ先に脱落
まともに狂うこと 人間の性格が悪いと仕事もおかしい
視界不良の世 顔は人が咲かせる花、と彫刻家佐藤忠良

 イチローの大リーグ通算3000本安打は他の3000安打とは別格の味わい。 “人に笑われたことを一つ一つ実現してきた” とはただただ恐れ入るしかありません。だから、他人にバカにされるようなことを平気でやれる能力は、後でかならず生きてくると言い切れるのでしょうね。ただ、まっとうに狂うことが大事で、あくまで自力九割、運が一割ということですかね。女優・佐藤オリエを娘にもつ彫刻家・佐藤忠良は日本を代表する彫刻家。美術学校で同期だった彫刻家・舟越保武は盟友。船越作品では、長崎・西坂の丘に建つ “日本二十六聖人殉教記念碑” が有名。佐藤忠良も、生命感溢れる女性像・男性像をブロンズや木彫で表現しました。 “顔は人が咲かせる花” とはおみごと。自らを職人と称し、 “職人に勲章はいらない” と文化功労者・文化勲章など国家の賞をすべて辞退した仙人。 “脳を持つあらゆる生物は嫌悪学習の能力を備えている” と脳研究者・池谷裕二。

「遊びは仕事、仕事は遊び」
「仕事は学び、学びは仕事」
「学びは遊び、遊びは学び」

 今回とりあげた「遊・献・学」それぞれの4行文は、拙書「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」(全10巻)及び「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(三)」(全10巻)から抽出したものです。次回以降も「遊・献・学」から各々4行文を一つずつ抽出してご紹介していきたいと思います。

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(第42回了)

 

大浦勇三(おおうら ゆうぞう) プロフィール

大浦勇三(おおうら ゆうぞう)  

大浦総合研究所 代表 (http://www.mmjp.or.jp/ooura/

石川県七尾市出身。
早稲田大学卒業、筑波大学大学院修了。
米国経営コンサルティング会社 アーサー・D・リトル 主席コンサルタントを経て現職。
主担当領域は、経営改革/企業再生、経営戦略/情報通信技術戦略策定、業務改革/組織改革、研究開発/商品開発マネジメント、マーケティングマネジメント、ナレッジマネジメント、イノベーションマネジメント、サプライチェーンマネジメント、人材マネジメント、コーチング/メンタリング、プロジェクト/プログラムマネジメント、ベンチャービジネス支援等のコンサルティング。

筑波大学大学院講師、城西国際大学客員教授、名城大学講師、産業能率大学講師、中小企業大学校講師などを歴任。

主な著作物:

  • 「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(三)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「イノベーション・ノート」(PHP研究所)
  • 「ITプロジェクトマネジャーのためのコーチング入門」(ソフトリサーチセンター)
  • 「図解 日本版LLP/LLCまるわかり」(PHP研究所)
  • 「IT技術者キャリアアップのためのメンタリング技法」(ソフトリサーチセンター)
  • 「よいコンサルタントの見分け方、かかり方」(清話会)
  • 「日本のモノづくり - 52の論点」<共著>(日本メンテナンス協会)
  • 「現場主導型の組織運営とスピード戦略」(日本監督士協会)
  • 「eコミュニティがビジネスを変える」<訳>(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメントが見る見るわかる」(サンマーク出版)
  • 「図解 ナレッジ・カンパニー」(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメント革命」(東洋経済新報社 )
  • 「図解 グローバル・スタンダード革命」(東洋経済新報社)
  • 「業務改革成功への情報技術活用」(東洋経済新報社)
  • 「情報化戦略と投資評価・システム運用管理の実際」<編著>(企業研究会)
  • 「会社改革実務辞典」<共著>(産業調査会)
  • 「プロジェクトマネジャー(PM)の育成・スキルアップのためのメンタリングの進め方と実践法」 (ソフトリサーチセンター:CD-ROM版)   など

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