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ドイツワインレストラン 『アム・ライン』 のオーナー 我妻 薫さん

by staff on 2016/9/10, 土曜日

この店からドイツや横浜の文化を発信していきたいと、横浜(関内)の相生通り2丁目にドイツワインレストラン『アム・ライン』を2016年3月にOPENした、我妻薫さんにお話を伺いました。

ドイツワインレストラン 『アム・ライン』 オーナー 我妻 薫さん
ドイツワインレストラン 『アム・ライン』
オーナー 我妻 薫さん
撮影:辰巳隆昭
 
お名前 我妻 薫(あづま かおる)
お生まれ 1972年8月
お住い 保土ヶ谷区西谷
ご家族 ご主人 ねこ
ご趣味 野球観戦、旅行、
ヒンダーローペン(オランダのトールペイント)
お仕事 ドイツワインレストラン 『アム・ライン』オーナー
Facebook 我妻 薫さん
Am Rhein / アム ライン

三姉妹の末っ子です

一番上の姉とは14才、二番目とは6才離れています。女の子が2人続いたので、今度こそ男の子だと思って・・・でも生まれてきたのが女の子だったので、男の子にも女の子にも使われる「薫」という名前が付けられました(笑)

子供の頃は、とても恥ずかしがり屋さんで、人見知りをするタイプでした。絵とか工作が好きで、小学校の時はマンガクラブに入っていました。目立ちがり屋ではなかったけれど、小学校5年生の時に身長は150cm以上あり目立ちましたね。

生まれたのは熊谷(埼玉県)でしたが、育ったのは東京都江戸川区の葛西です。東京のベットタウンでマンションが立ち並び、東京ディズニーランドに自転車で行かれました。

80点が目標

中学生になると身長が160cmになり、勧められて陸上部に入りました。得意種目は走り幅跳びで、1年生の時は良い記録をマークしていました。ところが幅跳びは、代表選手は各校1名とか、大会の出場枠に限りがあり、1校から2名は無理なわけ、卒業を控えている先輩が優先されたので、代表になれず、走り高跳びに転向させられました。
背面から飛ぶ走り高跳びは、バーに背中を強打する恐怖、マットの上に落ちる恐怖が付いて回り、好きになれませんでした。
走り幅跳びの選手になっていたら、違う人生を歩んでいたかもしれません。(笑)

学業の面では『80点が目標』と勝手に決めていて、トップを狙ったことはありませんでした。80点が取れれば満足でしたから(笑)・・・なので成績は普通だったかしら?(笑)

恩師との出会い

母がソフトボールをしていた影響で、子供の頃から野球観戦が大好きでした。西武のキャッチャー伊東選手(現ロッテ監督)ファンでした。日本シリーズも徹夜でチケットを取って応援に行きました。母や姉、友人と一緒に行きました、時には英語の先生とも・・・この英語の先生は、英語を通して世界の広さを教えてくれました。現在は仙台にお住いなのですが、今でも交流があります。

『80点が目標』だった性格が災いしてか大学への進学に失敗してしまいました。
そして、薦められて受けたのがスチワーデス専門学校でした。

面接試験でのこと、帰り際に呼び止められ校長先生が『君を必ずCA(キャビンアテンダント)にする』と約束してくれました。「自分に期待してくれる人がいる」ことが、期待に報いらなければならないという思いに変わり、そして、「クラスでトップになろう!」と思うようになりました。『80点が目標』だった過去との決別でした。

 

趣味のヒンダーローペンで作った鏡の木枠
撮影:辰巳隆昭

専門学校在学中でもCAの募集があります。すると受験の為のエアラインスクールに専門学校が受講費を負担し通わせてくれました。
在学中に試験を受けることは、試験がどういうものなのか経験でき、対策を考えることができました。しかし、募集枠は少なく、新聞に募集記事が載っていても、新卒やグリーンカード保持者などの条件が多く、在学中にエアーラインに就職することはできませんでした。
現在のようにネットに募集情報が載る時代ではありませんでしたから、情報がいち早く入手できる成田空港で働くことを考えました。手荷物宅配を取り扱う会社に2年半勤めました。

働きながら通信大学に入学し、成田から東京まで週一で講義を受けに2時間以上かけて通っていました。上司と先輩の理解もあり、シフトを調整していただけた事を大変感謝しております。
その間に、エアーラインでCAの募集があると聞けば、履歴書を出しに行きました。

CAには年齢制限がありました。23歳になり焦りが見えた頃に専門学校の先生から「JASが募集を掛けているから学校推薦で受験してみなさい」と連絡があり驚きました・・・卒業して暫くたっていましたから、まさかこんなチャンスがいただけるとは思いも寄りませんでした。
私を気にかけてくれていることに感謝し、最後のチャンスに賭けてみました。
仕事を終えてから、受験準備のスクーリングと大変忙しい日課をこなし、念願の『合格通知』をいただきCAとして働けることになりました。

今振り返ると、短大に入らず専門学校を選んで正解だったと思います。恩師と呼べる先生と出合え、たくさんのチャンスをいただき、夢を実現することができました。

短所の克服

CA(キャビンアテンダント)になると家族に話すと「人見知りをするあなたが? 冗談でしょう」と言われる程、人との接し方が苦手でした。
初期訓練の1カ月半は主に緊急脱出とか機材などの保安面の訓練です。私は、先輩から接客の硬さを指摘され、自宅に戻り一人になると「笑顔」の訓練をしました。唇や口角を上げ、柔らかな表情を作ることから始めました(苦笑)。ぎこちない笑顔がやがて自然な笑顔になることができました。
笑顔でいるとコミュニケ―ション力も向上し、接客もどうにかこうにか合格点を頂けるようになりましたが、初対面の方とお話をする時は今も極度の緊張状態になります(苦笑)・・・お話することは嫌いではないのですが。。。(苦笑)

ドイツ文化との出会い

私はJASに10年、JALに統合されてから5年、合計15年エアーラインに勤めました。その間に結婚し、主人の仕事の関係で横浜で暮らすことになりました。

主人は仕事上英語を話す必要があり、英語のレッスンを受けていました。先生はドイツ人で宣教師、奥様と一緒に来日し、ご自身は英語とドイツ語を教え、奥様がドイツ料理を教えていました。

私は、奥様からドイツの家庭料理を学ぶ機会を得て親しくなり、ホームパーティなどにも招かれ、そこで食事と一緒に楽しむドイツワインとも出合いました。

主人の職場はサマーバケーションに10~14日も費やすことが許されたので、そのご夫婦の勧めで、ドイツのワイナリーを旅しました。ワイナリーは点在しているため、一度に全部は回り切れません。アウトバーンをレンタカーで飛ばして、地方の村に着くと、レンタサイクルでぶどう畑を回り、ワインスタンドで喉の渇きを癒し、ワイナリーでワインの試飲を楽む・・・
時にはワイナリーに宿を取り・・・と毎年サマーバケーションは、航空会社に勤める私が航空券を手配し、主人はアウトバーンを「ぶっ飛ばす役」でした(笑)。

2010年になると国際便は減便になり6月と11月に早期退職者が募られました。いろいろと迷いましたが11月に出された条件を満たすことができJALを辞めました。

辞めることとなった理由の一つに『ドイツワインに関する仕事をやりたい』という気持ちがありました。語学学校でドイツ語を習い、準備をしていました。退社後、理解ある夫の後押しもあって、ドイツのワイナリーで1ヶ月ですが研修することになりました。

ワイナリーでは何でもやらせてくれました。人手のいる収穫の手伝いはもちろんのこと、醸造所の手伝い、ワインの運搬、配達、ワイン祭りの手伝い、ワインの販売、ワイナリーに来るお客様の試飲の準備、パーティの配膳の手伝い、テーブルのセッティング・・・どの経験も今に生きています。

撮影:辰巳隆昭

職探し

ドイツで学んだことを活かす仕事を探し、2011年12月に横浜のワイン専門店で店長として働くことになりました。ここでの試飲会は大変に勉強になりました。神奈川ドイツワイン協会とも接点が生まれ、会員のイベントを企画しました。2年半店長を務め、その後は大手デパートなどでの「ワインフェア」や「プロモーション」で販売員として修業を重ねました。

近年、ドイツのワインを知る人が少なくなったと思います。「ああ、甘口のワインね」と一言で片づけられてしまうと本当に「残念」に思います。

ドイツの地層は隆起に特長があり、恐竜の住んでいた頃の地質が地表面に出ている場所もあります。 同じブドウの品種を植えてもその土地の土壌や気候などの自然条件によってはワインの個性が違ってきます。
また造り手の醸造技術や消費者の需要も一昔前と変わり、ただ甘いだけのドイツワインではなくなってきています。

試飲会では「やや甘」と言われるワインが人気です。「辛口」が好きと言われるお客様に、「やや甘」を試していただくと、「美味しい」と言って購入されることが多いです。昔のイメージで敬遠されがちですが、飲んでいただくとそのイメージが変わると確信いたしました。

ドイツワインを広めるにはとにかく口にしてもらうことが大切だと思いました。そして、もともとの夢でもあった「レストラン」の開業に向けて動きだしました。

念願のドイツワインレストラン開業

通常、レストランに行くとグラスワインは白と赤2~3種類しかないことが多いです。
「あとはボトルでご用意してございます」とお店は開けたワインが残るリスクを回避したがります。

お客様に「ドイツワイン」を知っていただくには、いろいろなドイツワインに出合って欲しと思い、常に十種類以上のワインをグラスで飲める「ドイツワインレストラン」にすることにました。

ワイン専門店退職後、その店で取引していた新宿西口の『リースリング』というドイツワインと料理のお店でワイン会をした際にオーナーシェフからお誘いを受け、店で修行をさせてもらうことになりました。
互いに飲食店からドイツワインを広めたいという志が一致していました。相乗効果も考え、姉妹店として開業に向けて、調理を含め経営のノウハウを学ばせていただき、横浜に『アム・ライン』を2016年の3月にOPENすることができました。

新宿駅西口リースリング http://www.winebarriesling.com/

ここ相生町2丁目は場所柄、士業の方が多くて、特に「弁護士」をされている方が多いですね。士業の方は、お客様とお食事をすることがあり「ワインを選ぶのに困った」というお声を良く耳にいたします。
『アム・ライン』では何種類ものワインをグラスで楽しめますから、まずは飲み比べたり、好みや苦手な味を教えて頂ければ自分に合ったワインに出会えるはずです。また、あまり一般の店に置いていないワインや聞いたこともないブドウ品種のワインとの出会いはドイツワインの概念を変えてくれるはずです。

ドイツにも勿論四季があり、短い夏の初めにシュパーゲル(ホワイトアスパラ)が国中に出回ります。シュパーゲルの味を引き立てるワイン

 

アム・ラインの入り口

特にフランケンやラインヘッセン地方のジルヴァーナ種のワインがピッタリです。当店でもオープンから6月迄シュパーゲル料理を様々な調理法で日替りメニューとしてお出ししておりました。

そして、秋になるとジビエ(wildヴィルド)が肉屋に陳列されます。ジビエには料理法にもよりますが赤ワインを合わせる事が多いです。「ドイツにも赤ワインがあるの?」とよく言われます。他国に比べると少なく、約35%の生産です。
しかし近年ではブルゴーニュを凌ぐピノ・ノワール(シュペートブルグンダー)種のワインも出てきています。
ドイツの赤ワインはタンニンが穏やかで香りも豊かな飲み易いワインが多いので、赤ワインが苦手な方には、まずドイツの赤から始めてみると良いかと思います。

クリスマスシーズンには、温かくして飲むワイン(グリューワイン)もあります。季節や旬の食材に合うワインを見つけるのは楽しいですし、ソムリエとしての醍醐味かと思います。

近々ドイツワインと懐石料理の会を予定しております。現在、店の営業時間外にワイン選びをしてますが新しい発見もあり、更にドイツワインに魅了されております。

ワインのボトル1本を『選ぼう』と堅苦しく考えるのではなく、気軽にいくつものワインを『味わい』『試す』ことができるのが当店の良さだと思います。もちろんボトルでのご用意も致しますし大歓迎です!

日曜日は定休日ですが、近くのレストランとコラボしたり、ゲストを招いてイベントを企画しています。

(画像をクリックすると拡大写真が表示されます)

     
     

ドイツワインダイニング Am Rhein / アム・ライン
〒231-0012 横浜市中区相生町2-50 柏木ビル2F
TEL&FAX 045-306-9497
Mobile 090-2240-6172
E-mail jijikaoru.azu@gmail.com

薫さんにとっての横浜とは?

医療用語がドイツからの外来語であるとか、クラッシック音楽や哲学などでも「ドイツ」の存在感が大きかった時代、『友好国』と呼ばれた時代、ドイツの前進プロイセン帝国との友好関係は横浜から始まったといっても過言ではありません。
ところが今や「それってドイツなの?」と訊かれる程、ドイツの文化が遠く感じられる時代になりました。

世界がグローバル化していく中、日本にも沢山の国々の情報や文化が入って来て、底辺が広がれば広がるほど、ドイツの存在感は薄れていくように思えます。

ドイツワインも日本では知名度でカリフォルニア産やチリ産に負けていて、酒屋に格安のものはあっても、ドイツを代表するような美味しくて、それでいて手頃な金額のワインを見つけるのは至難の業です。デパートの催し場などイベントで手に入れられたとしても、身近な店で手に入らなければ、リピーターになり、ファンになることはできません。

ドイツのファンを増やす活動、大好きなドイツの文化をこの横浜から発信できたら嬉しいと思います。

ドイツワインの発信地にしたい!

撮影:辰巳隆昭

(インタビュー:高野慈子)

 

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