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八重むぐら しげれる宿のさびしきに 人こそ見えね 秋はきにけり

by staff on 2016/9/10, 土曜日

♪ 八重むぐら しげれる宿のさびしきに 人こそ見えね 秋はきにけり ♪


絵・千絵崇石
 

読み人:恵慶法師 (えぎょうほうし)

現代語訳・・・八重葎の草が生い茂って荒れ放題の家、訪れる人の姿は見えないが・・それでも秋だけはやってきたんだね。

百人一首の歌の中には色んな植物が出て来ますが、冒頭にその名前が出てくるのはこの歌だけです。それだけに「やえむぐら」ってどんな花かしらと興味を魅かれます。色々と調べてみると、百人一首で唄われている八重葎は 季節的にも秋に繁殖する「カナムグラ」というつる性の草花の事だとの説が一般的なようです。で写真を見るとまあ、懐かしい!!

都会で生まれ育った方は知らないかもしれませんが、ちょっと田舎に行けば何処にでも生えているツル草でした。そうか! この草が家の塀や庭一面にはびこっている大きな家のさびれた様子を歌ったものなのね。このカナムグラ 日本のどこにでも生育しています。日当たりのよいところを好む、とても強靭な植物でカナムグラの漢字名は金葎や鉄葎。切ったりひきはがしたりすることが困難なのですって。有利鉄線の植物版だとも言われています。果樹園などでこの草がはびこったら、大変そう。

このカナムグラ 最近も秋の花粉症の原因になると言われて嫌われています。でも、きっと薬草として良い作用もありそうだともっと調べてみると、在りました。利尿作用や解熱作用が在るそうです、それにリンパ腺の炎症にも効果が在るそうで、最近は抗腫瘍試験での研究もされているとのこと。
非常にパワフルな植物なのですね。ちなみに花言葉は「強い人」う~ん 素晴らしい!

読み人の恵慶法師は10世紀後半の人で、播磨の国分寺のお坊様。読んだ場所は有名な河原院。河原の左大臣として栄華を極めた百人一首の14番の歌人。嵯峨天皇の皇子でもある源融が建てた大邸宅です。皇子でありながら源氏を名乗って、そのまま源氏物語のモデルとなった方です。この歌が詠まれた時はすでに 百年近くが過ぎていて 源融の曽孫に当たる安法法師が住んでおり、友人の恵慶法師が訪ねた時に生まれた歌です。

この河原院は持ち主の源融が亡くなってから、息子が屋敷を宇多天皇にプレゼントしてしまいました。息子としては規模が大きすぎて自分の手に余っていたのかもしれません。
でも、それから河原院に源融の霊が現れるという話が生まれます。その上、何度も火災にあったりして100年の間に河原院から生まれた様々なエピソードは、今昔物語などに残されています。そのほとんどが持ち主だった源融の霊が現れて何かが起きるというもの。
平安京時代に造られた邸宅の中では規模も豪華さもダントツで、東京ドームよりも大きかったと言われる河原院。お庭に鴨川の水を引き入れて池を作り、毎月大阪から30石(4500キロ)の海水を運び 陸奥の塩釜の景色をまねて塩を焼いたと言う話は有名です。

西洋文明の石の建物と違って木の建物は八重葎の様な強い雑草が生い茂ってしまうと簡単に朽ちてしまいます。古代の建物がそのままでは生きながらえる事が出来ない日本の木材建築文化が もののあはれ という独特な美意識を生み出したのかもしれません。
建てられて100年後に恵慶法師に詠まれた河原院は、現在では河原町という町名を生み、邸内にあった森の名残として高瀬川沿いに 榎の大木が、跡地の石碑と共に残っています。

(早苗ネネ♪)

 

三十六歌仙CDアルバムによせて

 

10代の頃、じゅん&ネネのネネとして歌っていた時、多くの方から「北の政所のねね様と同じ名前ですね」と言われ、歴史上に残る方と同じ名前を頂いた事で直ぐに覚えて頂き、良い事が沢山ありました。時が経ち、50歳を過ぎた頃にやっと自分のライフワークを見つけ、「和歌うた」を歌い続けて13年程に成りますが2014年の京都高台寺音楽祭に出演させて頂いた折に、三十六歌仙が高台寺様に遺されているのを知りました。その時にぜひ三十六歌仙にメロディーを付けて同じ名前のねね様に奉納したいとの思いを抱き、2015年9月6日、ねね様のご命日に発表させて頂く事に成りました。

和歌のアルバムとしては10年ぶりでやっと二枚目アルバムです。一枚目のアルバム「花のいろは」は蟠龍寺スタジオの仲間に助けられて生まれました。そして今回のアルバムも製作費は今まで私の和歌うたを聞いて応援して下さった方々のご支援で賄われています。暗中模索と無我夢中で今までよろよろと歩いてきましたが、そんな私を支えてくれる大きな愛情に気が付いて、なんて幸せ者なのかしらと思います。有難うございます。これからも自分の道を信じて歩いてゆきます。

早苗ネネ/京都・高台寺 北の政所・ねねさまに捧げる三十六歌仙 『和歌うた』CDアルバムは、 ヨコハマNOWオンラインショップ で販売しております。

 

早苗ネネさん 和歌うたLIVE

 

早苗ネネさん プロフィール

木々や鳥や魚や精霊…人間以外の存在達との交流が当り前に語れるくらい、いのちのひろがりに気づくと、共に生きている喜びや、苦しみや悲しみにもナイーブになる。

心と野生がひとつながりになると……こんな風に人は年を重ねられる。ひとりひとり、ユニークにもっと自分になれる。

早苗 Nene さんは、そういう人生の先駆者です。 感性を解放しながら、40代で高校生に仲間入り卒業後、マウイのカレッジに留学中、突然半生記が受賞しました。

そんな新たなシーズンを迎えて、今エッセンスを分かち合いたい。

<天性の歌い手>というだけでなく、その存在感、溢れる活性のバイブレーションは、光のシャワーのよう。彼女と語り歌い、魂の成長を旅している現在の、自分の位置を確かめてみませんか?

早苗ネネさんHP

 

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