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吹くからに 秋の草木の しおるれば むべ山風を あらしといふらむ

by staff on 2016/10/10, 月曜日

♪ 吹くからに 秋の草木の しおるれば むべ山風を あらしといふらむ ♪


絵・千絵崇石
 

読み人:文屋 康秀(ふんや の やすひで)

その言葉通りの意味なので、現代語訳は付けません。機知にとんだ歌だと思います。でも紀貫之さんには良く思えなかった様で、古今集の序文にぼろくそに批評しています。深みはないかもしれませんが、即答の妙な感じがあって、きっと歌った時には座布団がたくさん飛んだのではないかしら。失礼! ちょっと飛躍しすぎました。でも本当に寒くなってきて吹く山の風を嵐と言うのは木枯らしの親分みたいで私は好きです。

その上、驚きなのは、平安時代に使われていた言葉が、千年後の現代でも未だ生きていて、使われている事。和歌を唄っていて、殆ど文法を知らなければ意味がわからない歌もありますが、この歌の様に今でも十分に意味がわかってしまう作品に出合うと、自分が日本人として言葉のアイデンティティに深くつながっているのを改めて認識します。

平安時代にこんな現代的な言葉遊びが出来た事を考えると、文化は現代が一番高いと言う概念は一般的な只の思いこみで、その形態は違っていたけれど、今よりももっと洗練されたおしゃれな言語文化が在ったのでしょう。

作者の文屋康秀さん。下級官史のままで一生を終えたそうですが、歌を通してのお付き合いが立場や位を超えていて人気者だった様です。音楽やスポーツもそうですが、アーティストはあまり身分など気にしなくて、交際範囲も気が合えば、横のつながりで仲良しになってゆくところが良いですね。日本は縦の文化で目上の人や 身分の高い人には 敬語を使いますが。それだから余計に横で繋がれるご縁は私自身も大切にしたいと思います。
彼は自分が三河(愛知県)に赴任した時に、独りで行くのはさびしいから?と、
あの小野小町を 一緒に行きませんか? と誘っています。それに対する小野小町のお返事は

♪ わびぬれば 身を浮草の 根を絶えて 誘う水あらば いなむとぞ思ふ ♪
現代語訳・・・侘び住まいの憂き身の私、誘って下さる水が在るならば、浮草のように根を絶って、流れていってみたいと思います。完全にOKサインです。
さあ! ふたりは三河で一緒に暮したのでしょうか? 残念ながら文献には残っていません。という事は康秀さんが誘いの手紙を出して、小町さんがそれに応じた返事を出したのに、成就しませんでした。何が在ったのでしょうか? 色々と調べてみても良く分からないのですが、一般的には小野小町の方が行く気になれなかったからだろうと。

野暮な誘いに ただ、粋に応えた。というのが定説です。これぞ本当の言葉遊び?
私見ですが、彼女はとても正直にお誘いに応えているのではないかと思います。そして相手の康秀さんの方が彼女の歌をしっかりと真に受けて一歩を踏みだす勇気があったら変わっていたでしょうね。彼が 「よし! では何日に迎えに行きます」 とか、次へのステップへの返事をしていたら彼女は必ず同行したと。それが出来なかったのは彼自身の作風が常に頓知の様な、自分の深い信条を正直に吐露する様な作風ではなかったので、彼女の気持ちも正直に受けとめられなかったからだと、私は思います。
まあ! でも結局はラブアフェアの範疇で本気じゃなかった。という事でしょう。

(早苗ネネ♪)

 

LIVE INFORMATION

  • 日時:2016年10月14日(金) 開場 18:30
  • 会場:新宿シャンパーニュ
    〒160-0022 東京都新宿区新宿 1-34-11-B1(元東京厚生年金会館向かい、スギ薬局地下1階)
    TEL:03-3354-8540(昼) 03-3354-2002(夜)
    http://www.champagne-live.com
  • 第1ステージ 開演 19:00~19:45
    第2ステージ 開演 20:00~20:45
    第3ステージ 開演 21:00~21:45
  • チャージ:¥5,500(ワンドリンク付き)

 

三十六歌仙CDアルバムによせて

 

10代の頃、じゅん&ネネのネネとして歌っていた時、多くの方から「北の政所のねね様と同じ名前ですね」と言われ、歴史上に残る方と同じ名前を頂いた事で直ぐに覚えて頂き、良い事が沢山ありました。時が経ち、50歳を過ぎた頃にやっと自分のライフワークを見つけ、「和歌うた」を歌い続けて13年程に成りますが2014年の京都高台寺音楽祭に出演させて頂いた折に、三十六歌仙が高台寺様に遺されているのを知りました。その時にぜひ三十六歌仙にメロディーを付けて同じ名前のねね様に奉納したいとの思いを抱き、2015年9月6日、ねね様のご命日に発表させて頂く事に成りました。

和歌のアルバムとしては10年ぶりでやっと二枚目アルバムです。一枚目のアルバム「花のいろは」は蟠龍寺スタジオの仲間に助けられて生まれました。そして今回のアルバムも製作費は今まで私の和歌うたを聞いて応援して下さった方々のご支援で賄われています。暗中模索と無我夢中で今までよろよろと歩いてきましたが、そんな私を支えてくれる大きな愛情に気が付いて、なんて幸せ者なのかしらと思います。有難うございます。これからも自分の道を信じて歩いてゆきます。

早苗ネネ/京都・高台寺 北の政所・ねねさまに捧げる三十六歌仙 『和歌うた』CDアルバムは、 ヨコハマNOWオンラインショップ で販売しております。

 

早苗ネネさん 和歌うたLIVE

 

早苗ネネさん プロフィール

木々や鳥や魚や精霊…人間以外の存在達との交流が当り前に語れるくらい、いのちのひろがりに気づくと、共に生きている喜びや、苦しみや悲しみにもナイーブになる。

心と野生がひとつながりになると……こんな風に人は年を重ねられる。ひとりひとり、ユニークにもっと自分になれる。

早苗 Nene さんは、そういう人生の先駆者です。 感性を解放しながら、40代で高校生に仲間入り卒業後、マウイのカレッジに留学中、突然半生記が受賞しました。

そんな新たなシーズンを迎えて、今エッセンスを分かち合いたい。

<天性の歌い手>というだけでなく、その存在感、溢れる活性のバイブレーションは、光のシャワーのよう。彼女と語り歌い、魂の成長を旅している現在の、自分の位置を確かめてみませんか?

早苗ネネさんHP

 

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新横浜公園ランニングパークの紹介動画

 

ランニングが大好きで、月に150kmほど走っているというヨコハマNOW編集長の辰巳隆昭が、お気に入りの新横浜公園のランニングコースを紹介します。
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横浜中華街 市場通りの夕景

 

横浜中華街は碁盤の目のように大小の路地がある。その中でも代表的な市場通りをビデオスナップ。中華街の雰囲気を味わって下さい。
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