Skip to content

白露に 風の吹きしく 秋の野は つらぬきとめぬ 玉ぞ散りける

by staff on 2016/11/10, 木曜日

♪ 吹くからに 秋の草木の しおるれば むべ山風を あらしといふらむ ♪


絵・千絵崇石
 

読み人:文屋 朝康(ふんや の あさやす)

現代語訳・・・しきりと秋風が吹きわたる野原で 水晶玉のように輝く白露達が まるで糸に通されていないまま、風に遊ばれて踊り 飛び散っているようだ。

何とも美しいイメージが心に浮かびます。ファンタジックでキラキラとした白露が風に誘われて葉先から飛び散っている。とても躍動的なのですが同時に繊細で。不思議な歌です。

奈良時代に編纂された万葉集がますらお(男性的?)ぶりといわれています。また平安時代に編纂された古今集はたおやめ(女性的?)ぶりと言われて、今ではそれが定説となっていますが、この和歌の美しさはとてもたおやめぶりだと私は思います。

文化が熟してくると女性的な側面がでてくるそうですが、現代の日本も眉毛などをトリミングしている男性は多くて、男性のメイクアップ商品も出回っている昨今は文化の乱熟時代なのでしょう。平安時代も後期になると貴族や武士たちのお化粧が目立ちます。
源平合戦ですっぴんの源氏武士たちと薄化粧の平家武士たちの戦いは、やはりますらおぶりの方が強かったのは当然のことだったのでしょうね。

歌人の文屋朝康は、先月号の文屋康秀の息子さんです。百人一首には親子で載せられている歌人は沢山います。清少納言の様に曾祖父まで載っているのは平安時代が400年間も続いた島国での宮廷文化だった事を教えてくれます。本当に平安な時代だったと。

この歌は後撰集の秋項に入っていました。実は私はこのヨコハマNOWに文章を書き始める前までは、万葉集と百人一首の違いは 年代的に古い新しいと言うぐらいの認識しか在りませんでした。従って古今集などの言葉は知っていてもそれがいつごろに編纂されたものなのか、最近になって知ったことです。毎月 百人一首の歌人の事を書くことによって自分も色んな事を学んでゆき、万葉集から残されている古典の和歌が、その時代時代で生まれてゆく新しい歌をとりいれながら、なんども編纂され、今の現代に残されている経緯がやっとわかってきたところです。

この歌は、村上天皇の時代に唄われました。ということは平安中期の作品で作者の文屋朝康さんもその父親もその頃のお役人だった訳ですが、親子とも詳しい生年はわかりません。

この歌を詠む男性って、先月ご紹介した、頓知のような軽妙な歌を詠むお父さんからはちょっと想像が出来かねますが、非常に興味をそそられます。ニューハーフでは在りませんが、とても女性的な繊細な感受性を持った男性だった気がします。女性姉妹のなかで育ったとか、もしかして外見は無骨なのかもしれませんが、中身は中性的な、ある意味成熟した、男女両方の気持ちがわかる。バランスのとれた人だったのかもしれません。

私の小倉百人一首の アルバムでは この歌は 「風ものがたり」というタイトルの楽曲の中で歌われています。冒頭の歌詞が お父さんの文屋康秀さんの和歌で始まり最後にこの「白露に・・」で終わって。ちょうど文屋親子のサンドイッチの間にほかの歌人の和歌が3首導入されています。コンテンポラリーな楽曲に仕上がって秋の風を連想させるお気に入りの歌になりました。いつか皆さんにも聞いて頂きたいと。

(早苗ネネ♪)

 

LIVE INFORMATION

  • 日時:2016年12月6日(火) 開場 18:30
  • 会場:新宿シャンパーニュ
    〒160-0022 東京都新宿区新宿 1-34-11-B1(元東京厚生年金会館向かい、スギ薬局地下1階)
    TEL:03-3354-8540(昼) 03-3354-2002(夜)
    http://www.champagne-live.com
  • 第1ステージ 開演 19:00~19:45
    第2ステージ 開演 20:00~20:45
    第3ステージ 開演 21:00~21:45
  • チャージ:有り(ワンドリンク付き)

 

三十六歌仙CDアルバムによせて

 

10代の頃、じゅん&ネネのネネとして歌っていた時、多くの方から「北の政所のねね様と同じ名前ですね」と言われ、歴史上に残る方と同じ名前を頂いた事で直ぐに覚えて頂き、良い事が沢山ありました。時が経ち、50歳を過ぎた頃にやっと自分のライフワークを見つけ、「和歌うた」を歌い続けて13年程に成りますが2014年の京都高台寺音楽祭に出演させて頂いた折に、三十六歌仙が高台寺様に遺されているのを知りました。その時にぜひ三十六歌仙にメロディーを付けて同じ名前のねね様に奉納したいとの思いを抱き、2015年9月6日、ねね様のご命日に発表させて頂く事に成りました。

和歌のアルバムとしては10年ぶりでやっと二枚目アルバムです。一枚目のアルバム「花のいろは」は蟠龍寺スタジオの仲間に助けられて生まれました。そして今回のアルバムも製作費は今まで私の和歌うたを聞いて応援して下さった方々のご支援で賄われています。暗中模索と無我夢中で今までよろよろと歩いてきましたが、そんな私を支えてくれる大きな愛情に気が付いて、なんて幸せ者なのかしらと思います。有難うございます。これからも自分の道を信じて歩いてゆきます。

早苗ネネ/京都・高台寺 北の政所・ねねさまに捧げる三十六歌仙 『和歌うた』CDアルバムは、 ヨコハマNOWオンラインショップ で販売しております。

 

早苗ネネさん 和歌うたLIVE

 

早苗ネネさん プロフィール

木々や鳥や魚や精霊…人間以外の存在達との交流が当り前に語れるくらい、いのちのひろがりに気づくと、共に生きている喜びや、苦しみや悲しみにもナイーブになる。

心と野生がひとつながりになると……こんな風に人は年を重ねられる。ひとりひとり、ユニークにもっと自分になれる。

早苗 Nene さんは、そういう人生の先駆者です。 感性を解放しながら、40代で高校生に仲間入り卒業後、マウイのカレッジに留学中、突然半生記が受賞しました。

そんな新たなシーズンを迎えて、今エッセンスを分かち合いたい。

<天性の歌い手>というだけでなく、その存在感、溢れる活性のバイブレーションは、光のシャワーのよう。彼女と語り歌い、魂の成長を旅している現在の、自分の位置を確かめてみませんか?

早苗ネネさんHP

 

Comments are closed.

ヨコハマNOW 動画

新横浜公園ランニングパークの紹介動画

 

ランニングが大好きで、月に150kmほど走っているというヨコハマNOW編集長の辰巳隆昭が、お気に入りの新横浜公園のランニングコースを紹介します。
(動画をみる)

横浜中華街 市場通りの夕景

 

横浜中華街は碁盤の目のように大小の路地がある。その中でも代表的な市場通りをビデオスナップ。中華街の雰囲気を味わって下さい。
(動画をみる)

Page Top