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永岡鉄平の「若者にフェアなスタートを」(第11回) 高校を中退してしまう現代の高校生

by staff on 2016/12/10, 土曜日

ハマっ子社会起業家「永岡鉄平」の『若者にフェアなスタートを』


 
 

 

株式会社フェアスタート、NPO法人フェアスタートサポート
代表 永岡 鉄平

横浜生まれ、横浜育ち。株式会社フェアスタート、NPO法人フェアスタートサポートの2法人の代表を務め、日々、児童養護施設の若者達を中心に18歳で親を頼れずに自立する若者達への就労支援活動に取り組む永岡鉄平が、日々の活動で感じたことを話します。
想いは「かわいそう」ではなく「もったいない」

 

高校を中退してしまう現代の高校生

皆様こんにちは。

ついに、11月にして初雪が舞った横浜。まだ暖かい日に巡り合えるときもありますが、冬に本格的に近づいている今日この頃、皆様はいかがお過ごしでしょうか。

さて、今回は、高校を中退してしまう高校生のお話です。
フェアスタートには、通年で一定数、児童養護施設や高校から高校中退者の就労相談のご依頼があります。

11月も2件ほど、相談が来ました。
2人とも、高校2年生で中退が決まった女子です。

高校をなぜ中退することになったのか。
2人とも結果的に学校に行きたくない or 行けなくなり、出席日数等の問題で留年が確定し、であるならば、辞めて働くよ、という流れです。

学校に行きたくない理由、行けなくなった理由は様々ですが、この2人に関しては家庭環境によるものが大きく影響しています。

例えば、1人は、アパートで、兄妹と3人暮らし、お母さんはいない、お父さんは2~3か月に1回、家に帰ってくる程度、仕事はしているみたいだけど、どんな仕事をしているのか、普段はどこに寝泊まりしているのか、良く分かっていない。
そんな環境の中、本人は趣味のボーカロイドに自分の居場所を求めて昼夜逆転生活。

もし、お母さん、お父さんがしっかり家にいて、朝ちゃんと本人を起こす、という環境だったら、本人は昼夜逆転にはなっていなかったかもしれない。

親に金銭的な支援が望めない以上、自分の生活費は自分で稼がなければならないため、高校1年生の時からアルバイトに励んではいますが、今回の高校中退をきっかけに、アルバイト先で自分への評価が下がるのではないかと極度に心配し、自分から身を引こうと考えてしまいます。

周りからすれば、高校を中退したからといって、ネガティブなレッテルを過度にはってくることはしないと思いますし、見方によっては、じゃあウチでもっと働いて稼ぎなよ!
といったポジティブな反応をしてくることもあると思います。
しかし、視野が狭く、自己肯定感が極めて低い本人は、そう思うことが出来ません。
そして、これから自分はどうしていったら良いのか、これについて向き合い、答えを出すことが難しいと言います。自分ではどうしたらよいかわからない、自己決定なんて無理、と言います。

フェアスタートは、こうした若者達に対しても、最善の選択肢を提供し、励まし、背中を押したいスタンスで日々活動を行っておりますが、そうした選択肢を本人が意欲的に掴もうとできない場合、とても難しいものがあります。

勿論、時間が解決してくれることもあると思います。
良い環境に身を置くことが出来れば、その環境の中で、少しずつ自信をつけていって、自分自身が自分の人生の主人公であると理解し、自己決定を積み重ねていけるようになる。

しかし、こうした社会への入り口に置いて、ハンデを背負わなくて済むなら、その方が良いということはあるはずです。

児童養護施設出身の若者達と日々触れあう中で、本人達が高校卒業までに、どのような養育をされてきたか、これが社会に出た後の職場環境への適応に大きな影響を及ぼしていることは、実体験の中で感じていることであります。

そう考えれば考えるほど、対処的な支援は勿論ですが、そのような対処をしなくても良いように、社会として、18歳未満の子ども達の養育についてもっと向き合わなければならないと感じています。しかしながら、格差の現状、余裕のない親の増加、学校教育機関や児童養護施設等の職員のキャパシティーオーバー、など、楽観視できない現状は否めません。

すぐに社会を変えることは出来ませんが、きちんとこうした課題に我々が向き合い、その時にできる最善の努力をし、それを積み重ね社会にも発信していく、こうした動きを継続していくことは間違いなく大事だと思っています。

僕もフェアスタートという団体を通じて、引き続き活動に努めていきたいと思います。

永岡鉄平

永岡鉄平プロフィール

株式会社フェアスタート 代表取締役
NPO法人フェアスタートサポート 代表理事
ホームページ:http://fair-start.co.jp/

経歴

2004年に明治学院大学経済学部を卒業後、リクルートグループに入社し、求人広告の法人営業に2年間従事。その後、当時の顧客に誘いを受け、大学院生の就職問題を解決することを目的とした就職支援会社の設立に参画。幹部として、フリーペーパーの発行や求人ポータルサイトの制作といった新規事業を立ち上げながら、法人営業、登録者へのキャリアカウンセリング、広報、採用担当と幅広い業務を兼任しながら約3年間会社の発展に貢献。
約5年間のサラリーマン生活の中で、働くことから遠ざかろうとする若者の増加、若者が採用できずに苦しむ中小企業の増加を感じ、若者と雇用の世界で根深い社会課題を認識。この課題に起業という形で対峙したいと決意しサラリーマンに終止符を打つ。様々な教育事例、子育て環境、貧困問題などを勉強していくうちに、社会的養護の子ども達・若者達の存在を知る。親からの支援が見込めない中、逆にだからこそ同世代よりは働くことに真剣に向き合い、高校卒業後18歳という若さで社会に挑戦するものの、多くがワーキングプアとなる彼等・彼女等の現実を知り、人材業界で培った経験を活かし、彼等・彼女等の就労支援を決心する。起業準備期間を経て、株式会社フェアスタートを2011年8月に起業。2013年1月には、NPO法人フェアスタートサポートも設立。

受賞歴

  • 2010年9月 第1回社会起業プランコンテスト(内閣府地域社会雇用創造事業)最優秀賞受賞
  • 2014年2月 キララ賞受賞(かながわ若者活き活き大賞)

その他役職員

  • 横浜YMCA常議員
  • 明治学院大学同窓会評議員

 

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