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わたのはら こぎ出でてみれば 久方の 雲ゐにまがふ 沖つ白波

by staff on 2017/2/10, 金曜日

♪ わたのはら こぎ出でてみれば 久方の 雲ゐにまがふ 沖つ白波 ♪


絵・千絵崇石
 

読み人:法性寺入道前関白太政大臣(ほっしょうじにゅうどうさきのかんぱくだいじょうだいじん)

現代語訳・・・広々とした大海原にこぎ出してみれば沖の方では白い雲かと思う様な白い波が立っていて、なんとまあ雄大な眺めなんだろう。

夏目漱石の「吾輩は猫である」の中で主人公の苦沙弥先生が奥様に世界で一番長い名前を知っているかと聞くと、奥さんが“前の関白太政大臣”でしょ? と答える下りが在ります。
この歌が好きで、いつも取り上げようと思うのですが、お名前があまりにも長くてつい他のもっと読みやすいお名前の歌を取り上げてしまう私でした。でも今回はこの歌のフィーリングが真冬の寒さから来る閉塞感を打破してくれるような気がして。

この歌は私に ビッグ・ウェイブのサーフィンに挑むサーファーの気分にさせてくれます。小さなボードに腹ばいになって沖の白波を見上げる体験をされた方は、ヨコハマNOWの読者にも沢山いらっしゃると思います。私は2~3度ボードの上から沖を見詰めた経験が在りますが、もうそれだけでギブアップ。果敢に沖に乗り出してゆくサーファーには絶対なれないと思いました。ボードの上から見る “沖つ白波” はことさらに大きく迫って見えます。それが白い雲と交差するほどの高さです。サーファーにとっては心躍る波でしょうね。
波乗りする方には是非おススメしたい和歌です。

この歌は崇徳天皇(後の崇徳院)の内裏歌合わせで海上遠望というテーマで詠まれました。作者は38歳の摂津関白 藤原忠道。その時の崇徳天皇は17歳。このおめでたい席の雄大な歌は、正にその時の朝廷を称えた歌として若き天皇にも心地よく響いたと思います。20年後に二人が敵味方となって、相戦う様な事になるとはだれが想像できたでしょう。若き天皇と若き関白、その人生には大きな波乱が待ち受けていますが共通点が在ります。

二人とも、自分の親から厭われてドロドロの骨肉争う肉親同士の権力争いに巻き込まれていった事です。そして方や天皇としての名誉もはく奪され島に流され 恨みの中で憤死して行った崇徳院。方や皮肉にも勝利を収めた方に付き明治維新までの藤原家の始祖となった忠道。職位をいったりきたりした末に法性寺で出家して今の名前に収まりました。

私事ですが、小倉百人一首のアルバム制作中のある日。崇徳院の和歌を歌詞として打ち込んでいる時に突然深い悲しみに襲われて涙が止まりませんでした。
心によぎったのは彼の幼年時代。愛する父親に自分がなぜ受け入れてもらえないのか、一生懸命父親の喜ぶ様な事を苦心して見つけ努力しても、それでも愛情をもらえなかった悲しみ。不条理な悲しみが子供時代の彼の心に染み込んでいる事に気が付いて、泣けたのだと思います。親に愛されなかった子供ほど悲しい物はありません。その幼年時代の悲しみが未だ癒されていないのでは、と思いました。今年はお墓参りに行くつもりです。

若き天皇と若き摂津関白。崇徳院と忠道の共通点として、もう一つ見つかりました。
藤原忠道は1116年 春に68歳で亡くなります。
同年の夏、崇徳院は46歳。京都に戻ることなく流刑先の讃岐で亡くなりました。

さてお知らせです。

3月1日 『和歌うた 小倉百人一首 百首メロディ達成記念感謝祭』 コンサート。
東横線 大倉山駅から徒歩6分の 大倉山記念館にて
16時30分開場 17時開演
ゲストにプロデュースを手掛けてくれたホッピー神山さんをお迎えしてのコンサートです。
無料ですが予約が必要です。限定80名様まで。
お申し込みは 和歌うた実行委員会 まで 080-2345-0615【担当村中】

チラシ(PDF)をご覧ください

(早苗ネネ♪)

 

三十六歌仙CDアルバムによせて

 

10代の頃、じゅん&ネネのネネとして歌っていた時、多くの方から「北の政所のねね様と同じ名前ですね」と言われ、歴史上に残る方と同じ名前を頂いた事で直ぐに覚えて頂き、良い事が沢山ありました。時が経ち、50歳を過ぎた頃にやっと自分のライフワークを見つけ、「和歌うた」を歌い続けて13年程に成りますが2014年の京都高台寺音楽祭に出演させて頂いた折に、三十六歌仙が高台寺様に遺されているのを知りました。その時にぜひ三十六歌仙にメロディーを付けて同じ名前のねね様に奉納したいとの思いを抱き、2015年9月6日、ねね様のご命日に発表させて頂く事に成りました。

和歌のアルバムとしては10年ぶりでやっと二枚目アルバムです。一枚目のアルバム「花のいろは」は蟠龍寺スタジオの仲間に助けられて生まれました。そして今回のアルバムも製作費は今まで私の和歌うたを聞いて応援して下さった方々のご支援で賄われています。暗中模索と無我夢中で今までよろよろと歩いてきましたが、そんな私を支えてくれる大きな愛情に気が付いて、なんて幸せ者なのかしらと思います。有難うございます。これからも自分の道を信じて歩いてゆきます。

早苗ネネ/京都・高台寺 北の政所・ねねさまに捧げる三十六歌仙 『和歌うた』CDアルバムは、 ヨコハマNOWオンラインショップ で販売しております。

 

早苗ネネさん 和歌うたLIVE

 

早苗ネネさん プロフィール

木々や鳥や魚や精霊…人間以外の存在達との交流が当り前に語れるくらい、いのちのひろがりに気づくと、共に生きている喜びや、苦しみや悲しみにもナイーブになる。

心と野生がひとつながりになると……こんな風に人は年を重ねられる。ひとりひとり、ユニークにもっと自分になれる。

早苗 Nene さんは、そういう人生の先駆者です。 感性を解放しながら、40代で高校生に仲間入り卒業後、マウイのカレッジに留学中、突然半生記が受賞しました。

そんな新たなシーズンを迎えて、今エッセンスを分かち合いたい。

<天性の歌い手>というだけでなく、その存在感、溢れる活性のバイブレーションは、光のシャワーのよう。彼女と語り歌い、魂の成長を旅している現在の、自分の位置を確かめてみませんか?

早苗ネネさんHP

 

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