Skip to content

アートのひみつ(第2回) ふりむけばゲージュツ。

by staff on 2017/2/10, 金曜日

第2回 ふりむけばゲージュツ。

みなさま、こんにちは!立春も過ぎて暦の上ではもう春。いかがお過ごしでしょうか?
これから本格的な春を待つ間、今から春夏のファッションやメイクはどんなものが流行なのかチェックされる方も多いかと思います。

新しい服。お気に入りのインテリア。おいしいそうな食べ物。ふだんの生活の中のいろいろなシーンで私たちは「絵になるねえ~!」と言うことがありませんか?
着こなし方がカッコいいね、とか、かわいいね、とか、お似合いの2人ね、というほめ言葉でもよく使います。それと「まるで一幅の絵のようだ」と美しい風景などを絵に例えることもありますね。これらの表現は「なんだかしっくりくる。」と思ったとき使われるように思います。

ところで、絵画は完成したとき、それを観るときはまず眼で見ますよね。視覚を使います。他の感覚、たとえば食べておいしい絵や触って楽しい絵もあるかとは思いますが‥‥。
「おー!まるで生きているみたいな人物画だ!」「リアルだなあ。どうやって描いたんだろう?写真みたい!」本物そっくりな絵ほどそう思うのが人間です。と、同時に「なんだかしっくりくる。」と私たちは感じているのです。

さて、ここでこの数字をご覧ください。
1:1.618033988749894848204 58683436563811772030917980576286213544‥‥。
この数字はまだまだ続きますが、なんだと思いますか? これは黄金比の近似値です。一般的には1:1.618とされます。人間にとって最も安定した美しい比率とされていて、絵画だけなく美術全般には欠かせない要素で絵画を観て「なんだかしっくりくる。」のはこの比率が理由のひとつです。
その他にも絵画という平べったい世界には、この黄金比だけではなくいろんな要素が詰まっています。
心地よい感覚や刺激的な感覚、言葉ではないものは、数学・理科・歴史・心理学・言語・宗教など、たくさんの要素が関わりあって、より私たちの心を動かすようになりました。長い歴史を経て「生の芸術」から深まっていったのです。

さて、これは先日、初めてお会いした方とお話していたときのことなのですが‥‥。
「あなたはアートをご専門にされていて、絵を描かれるんですね~!ゲージュツ家でいらっしゃる!あっ、じゃあ、あれも青い色には見えないのでしょう?」と、その方は私の後ろにあった青い色の棚を指さしました。
「いえ、私は目は悪くないので青い色に見えますが‥‥。(サングラスもかけてないし)」

でも絵画の中に美しさを創るときに必要ならば青い色を黄色にしようかなと思うかもしれません。そのほうが「しっくりくる」かもしれないし、美しくなるかもしれないですから。

私はこのときフランスの画家、アングルのある絵を思い出しました。19世紀前半、ちょうど今から200年くらい前。そのころの日本はというと、江戸時代、町人文化が花開く前夜。歌川広重が「東海道五十三次」を描いたころのことです。
1814年、ヨーロッパ。フランスの画壇がざわついた問題作が発表されました。

これはフランスの画家、ドミニク・アングルの作品。この画家に影響を与えた芸術家たちは、レオナルド・ダ・ビンチ、ティツィアーノ、ラファエロ‥‥と何百年も前の巨匠たちです。巨匠たちは緻密な計画のもとに高い技術を駆使して大作を世に送り出しました。ときに神々を理想的な人間の姿として描き、物語を暗示させる風景は楽園として表現しました。それこそ、「人間の叡知全部乗せ!」です。

その巨匠たちに倣ったアングルが描いたこの美しい絵のどこにフランス画壇はざわついたのでしょう?ヨーロッパの伝統的な完璧とも思える絵描き方、高度な技法。それなのにどこが問題だとされたのでしょうか?
伝統的なスタイルにそって描く絵にテーマがそぐわないということもあったけれどアカデミックな場面はいつの時代もたいていがお堅いものです。(この絵に描かれたのは「王の愛妾」でした)

なによりもけしからん!!とされたのは「描かれた女性の背骨が2つ、3つ多いんじゃない??」ということでした。(実際は脊椎が5つ分多いです)
本物の人間の身体よりもかなりの胴長で、この絵は正しくない!美しくない!と批判されました。しかし、アングルは絵画の中での理想の美しい形は必ずしも見えたままの正確な形ではない、と考えました。
「美しさは創ることができる」それは自分の美意識を表すということ。

アングルの新しい考え方はその後の名だたるたくさんの芸術家たちに大きな影響を与えました。それほど革命的な作品でした。これは現代の私たちが目にする身近な美にもつながっています。カフェで手に取るtake freeと書かれた小さなポストカードにだって自由なゲージュツは宿っているのです。
どうぞ身近にあるゲージュツをあなたの自由な感性と美意識で探してみてくださいね。

筆者紹介

 
本 名 山田 明子 (やまだ あきこ)
略 歴 東京都生まれ
1994年 女子美術大学短期大学部卒
美術家 臨床美術士
Art Factory星組 代表
 
通信会社勤務を経て、2014年より高齢者施設などへ出張アート教室をおこないながら、横浜元町で「感性を生かし、育てる」アート教室「横浜MOTOMACHIアトリエ星組」を運営中
星組、臨床美術についての情報
  ☆横浜MOTOMACHIアトリエ星組☆
~「自由な感動」を育む「感性のレッスン」を~
http://artfactory-hoshigumi.crayonsite.com/
 
Art Factory星組Facebookページ
Art Factory星組Facebookページ
 
☆臨床美術について☆
「臨床美術」は医師と芸術家によって作られた芸術療法です。
現在では学校やオフィスでの感性教育、病院や高齢者施設でのリハビリテーションに取り入れられています。

 

Comments are closed.

ヨコハマNOW 動画

新横浜公園ランニングパークの紹介動画

 

ランニングが大好きで、月に150kmほど走っているというヨコハマNOW編集長の辰巳隆昭が、お気に入りの新横浜公園のランニングコースを紹介します。
(動画をみる)

横浜中華街 市場通りの夕景

 

横浜中華街は碁盤の目のように大小の路地がある。その中でも代表的な市場通りをビデオスナップ。中華街の雰囲気を味わって下さい。
(動画をみる)

Page Top