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アートのひみつ(第4回) 新しいゲージュツ、いかがですか?

by staff on 2017/4/10, 月曜日

第4回 新しいゲージュツ、いかがですか?

みなさま、こんにちは! 4月はいろいろと新しいサイクルが始まるときでもありますね。私は先日、新しい手帳を使い始めて新しい季節がやってきたなあと感じています。
ではゲージュツの「新しい」は、今どうなってるのでしょうか?

今回は最先端の技術、2000年代に入ってからのムーブメントという、短いスパンではなく、もう少しゆったりめのお話。現在、日本の美術館では所蔵作品以外に企画展も数多く開催されていますから国内外のアート作品に出会うことができます。首都圏では常設展を含めたら毎日観に行っても回りきれないほどです。

そして、新しいゲージュツといえば横浜美術館は近代・現代の作品を中心に所蔵していますね。その中には抽象画の最初期の画家のワシリー・カンディンスキーの作品も含まれています。
ゲージュツは人間と共にずっとありました。絵画の歴史を古代からだとしてもざっと3万年。その中で「抽象画」という表現方法のひとつが生まれたのは近代、100余年前のことです。長い歴史から見たらそれはもう新しいわけです。ピッカピカなんです。

主な「抽象画」の系譜を見るとヨーロッパから、当時のソ連、アメリカと世界の動向と関係していることがよくわかります。現代に近いので歴史としても身近に感じられると思います。
ところでその抽象画のスタイルってどういうものでしょう? そこで巷で持たれているイメージ、または説明を拾ってみると‥‥。

  • 具象画ではないもの。(抽象画の反対だから)
  • 具体的に観察されるモデルが存在しないか、極端に抽象化されている。
  • 喜怒哀楽、感情が直接描かれていたりする。
  • 意味を持たない何か、線や形が描いてある。
  • 理解できないもの。

あれ? 歴史は私たちの近いところにあるのにずいぶんと遠くなっちゃいました??
たしかに超高額な値がつく作品もあり、もはや理解できないという向きもあるようで‥‥。

ちなみに2015年にはジャクソン・ポロックの「ナンバー17A」はオークションで約2億ドル(約220億円)の値がつきました。この場合はお金というモノサシで計る別の価値観でのお話なのですが、衝撃的ではありますね。
「絵を観ることは好きだけど、近代・現代のアートはなんだかむずかしいからわからない」と思われる方も多いです。途方もない超高値がついたり、作者のメッセージが見えにくい、そもそも何が描かかれてるかわからない、など観る側の「基準」が定まりにくいことが大きな理由かもしれません。
逆に抽象画についての情報の幅が広く、多い。これがまたいかにも現代的な気がしてきます。

これまでこのコラムで取り上げてきた絵はどちらかといえば、エモーショナルな、感覚的な視点からお話してきました。ですが、ゲージュツは論理的思考からなる部分も多いのです。
では「抽象画」を観るときのヒントのひとつとしてこの作品を見てください。抽象画の代表的な画家、ピエト・モンドリアンの作品です。

ピカソなどが始めた抽象表現の原点、「キュビスム」は最初に具体的な観察できるモデルがあって、それを解体していくことから始まりました。その影響を受けたモンドリアンはさらに「抽象表現」模索していきます。
「本当に純粋なリアルってなんだろう? 純粋な形って? どうやったら表せるのだろう?」と。
この作品のような「コンポジション」シリーズを年代を追って見ていくとその姿勢は目標というよりは真実は何か?と追求する科学者のように思えます。
形あるもの、それらを作る要素を極限までそぎ、単純化する。‥‥いや、もっとちがうアプローチがあるにちがいない!
結果、モンドリアンの「抽象画」の論理は「キュビズム」とは別のところに行き着いたのでした。

彼の思考は探している目標に向かって「創ること」をやめなかったのです。そこにゲージュツが宿っている、と私は思うのです。わくわくする気持ち、好奇心を持ち、探求から生まれるもの。
「抽象画」の概念や解釈の幅は現代も広がりを続けています。それは探求し続ける人たちがいるから。音楽、ダンス、あるいは文学、絵画の他にもただ記号化したものではない表現があります。「抽象」のゲージュツはこうして今も生まれ続けています。

「抽象画」を観たときに感覚的な視点と一緒に「描いた人はどうやって向きあって追いかけているのだろう?」と、一歩近寄ると見え方も変わってそこにあるゲージュツを体感できるのではないでしょうか。
さらに変化を続けていく現在進行形のゲージュツを前にして「わからない‥‥」と遠巻きに見ているのはもったいない!と私は思うのです。
さあ、新しいゲージュツ、いかがですか?

筆者紹介

 
本 名 山田 明子 (やまだ あきこ)
略 歴 東京都生まれ
1994年 女子美術大学短期大学部卒
美術家 臨床美術士
Art Factory星組 代表
 
通信会社勤務を経て、2014年より高齢者施設などへ出張アート教室をおこないながら、横浜元町で「感性を生かし、育てる」アート教室「横浜MOTOMACHIアトリエ星組」を運営中
星組、臨床美術についての情報
  ☆横浜MOTOMACHIアトリエ星組☆
~「自由な感動」を育む「感性のレッスン」を~
http://artfactory-hoshigumi.crayonsite.com/
 
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☆臨床美術について☆
「臨床美術」は医師と芸術家によって作られた芸術療法です。
現在では学校やオフィスでの感性教育、病院や高齢者施設でのリハビリテーションに取り入れられています。

 

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