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わが袖は 潮干に見えぬ沖の石の 人こそ見えね 乾く間もなし

by staff on 2017/5/10, 水曜日

♪ わが袖は 潮干に見えぬ沖の石の 人こそ見えね 乾く間もなし ♪


絵・千絵崇石
 

読み人:二条院讃岐(にじょういんのさぬき)

現代語訳・・・私の涙は、はるか海の沖に人知れず置かれている石のように、乾く間もなく、誰にも知られることもないのです。

この歌は、石に寄せる恋 というテーマで出された時に、彼女が発表したもので、当時はとても評判になりました。その後 彼女は “沖の石の讃岐” と呼ばれるようになったそうです。

この女性は他にもたくさん美しい歌を残していてその頃活躍していた女流歌人の一人です。彼女の生きた時代は平安時代の末期、動乱の時代です。天皇が兄弟で争う、 “保元の乱” の後に “平治の乱” が起こり、その後 平清盛を筆頭とする平家の栄華から壇ノ浦の末路まで。歴史が大きく揺れ動くその真っただ中で生きた女性でした。

彼女の父親は源三位頼政。清和源氏の嫡流で歴史家の間では鎌倉幕府が作られてゆく中でのキーパーソンとして有名ですが、歌人としても素晴らしい歌をたくさん残しています。
源頼政は平安末期の動乱の中で最後には平家打倒のクーデターを起こし失敗して自害しています。そのとき彼が読んだ辞世の句は 私の母が子供のころには教科書に載っていたと聞いたことがあります。今でも載っているのでしょうか?
若いころ娘は父親と共に大きな歌会に参加しています。彼女の才能は父親譲りなんです。

二条院の讃岐のことを調べてゆくとどうしても彼女の父親のことに言及したくなります。
源頼政は朝廷の中で平家の栄華が頂点にあったころ、かろうじてその中で源氏の長老として存在していました。若いころは武力胆力ともに優れていて有名なエピソード「鵺退治の頼政」として有名です。子供のころ牛若丸と弁慶のエピソードが歌にもなっていて、私も歌った記憶がありますが、源頼政の鵺退治も武勇をたたえる物語として同じように有名でした。

彼女は自分の父親が77歳にもなってクーデターを起こした時、どんな気持ちだったのかしら、それによって自分の兄や一族郎党が自害または亡くなってチリじりになってゆくのを、男性たちが戦う時、悲しみのどん底であえぐ女性たちがこの時代にはたくさんいました。
私はこの百人一首に残されている歌、恋の歌として詠まれているのですが恋の歌というだけではなくて、その時代を生きた女性たちの悲しみを表明しているような気がしてなりません。

私の友達のMさん。父親が写真家で広島長崎の被爆者をライフワークとして撮っていて、父亡き後に彼女が彼の遺志を引き継いで各地で個展を開いている平和を愛する女性ですが、最近、電話口で静かに話しながらはらはらと涙をこぼされていました。愚痴でも不満でもなく 彼女の世の中に対する絶望感が伝わってきて、忘れられないひと時でした。
今も世界的に動乱の時代。飛び込んでくるニュースに女性たちの涙は乾く間もありません。

(早苗ネネ♪)

 

三十六歌仙CDアルバムによせて

 

10代の頃、じゅん&ネネのネネとして歌っていた時、多くの方から「北の政所のねね様と同じ名前ですね」と言われ、歴史上に残る方と同じ名前を頂いた事で直ぐに覚えて頂き、良い事が沢山ありました。時が経ち、50歳を過ぎた頃にやっと自分のライフワークを見つけ、「和歌うた」を歌い続けて13年程に成りますが2014年の京都高台寺音楽祭に出演させて頂いた折に、三十六歌仙が高台寺様に遺されているのを知りました。その時にぜひ三十六歌仙にメロディーを付けて同じ名前のねね様に奉納したいとの思いを抱き、2015年9月6日、ねね様のご命日に発表させて頂く事に成りました。

和歌のアルバムとしては10年ぶりでやっと二枚目アルバムです。一枚目のアルバム「花のいろは」は蟠龍寺スタジオの仲間に助けられて生まれました。そして今回のアルバムも製作費は今まで私の和歌うたを聞いて応援して下さった方々のご支援で賄われています。暗中模索と無我夢中で今までよろよろと歩いてきましたが、そんな私を支えてくれる大きな愛情に気が付いて、なんて幸せ者なのかしらと思います。有難うございます。これからも自分の道を信じて歩いてゆきます。

早苗ネネ/京都・高台寺 北の政所・ねねさまに捧げる三十六歌仙 『和歌うた』CDアルバムは、 ヨコハマNOWオンラインショップ で販売しております。

 

早苗ネネさん 和歌うたLIVE

 

早苗ネネさん プロフィール

木々や鳥や魚や精霊…人間以外の存在達との交流が当り前に語れるくらい、いのちのひろがりに気づくと、共に生きている喜びや、苦しみや悲しみにもナイーブになる。

心と野生がひとつながりになると……こんな風に人は年を重ねられる。ひとりひとり、ユニークにもっと自分になれる。

早苗 Nene さんは、そういう人生の先駆者です。 感性を解放しながら、40代で高校生に仲間入り卒業後、マウイのカレッジに留学中、突然半生記が受賞しました。

そんな新たなシーズンを迎えて、今エッセンスを分かち合いたい。

<天性の歌い手>というだけでなく、その存在感、溢れる活性のバイブレーションは、光のシャワーのよう。彼女と語り歌い、魂の成長を旅している現在の、自分の位置を確かめてみませんか?

早苗ネネさんHP

 

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