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しあわせの「コツ」(第5回) 敵は「素敵」の仕掛け人

by staff on 2017/5/10, 水曜日

第5回 敵は「素敵」の仕掛け人

突然ですが、問題です。
「シンデレラ」と「忠臣蔵」の共通点は何でしょう?

簡単ですね(笑)。
答えは「存在感のある敵がいること」。

気立てのよい美しい娘が、物分かりのいい継母と優しいお姉さん達に囲まれて楽しく暮らし、王子様に見初められて幸せな結婚をする、というストーリーだったら、「シンデレラ」は世界中の女の子を虜にする名作にはならなかったでしょう。継母と義理のお姉さん達がこれでもか、とばかりにシンデレラをいじめるからこそ、シンデレラは輝くのです。

「忠臣蔵」もそうです。吉良上野介が憎らしいほど浅野匠頭をいじめぬくからこそ、その後の悲劇が引き立ち、誰もが討ち入りに喝采するのです。実際の吉良上野介は領地では名君と慕われたそうですが、映画や芝居では、底意地の悪い賄賂好きの悪人として描かれています。吉良上野介を演じる俳優が芸達者で、しっかり浅野匠頭をいじめてくれないと、「忠臣蔵」は世間知らずの田舎大名の失敗談で終わってしまい、とても日本人の琴線に触れる作品にはならなかったでしょう。

この二作品に共通しているのは、「敵」が主人公(達)の「引き立て役」になっている、ということです。

敵が実はあなたの引き立て役だとすると、世の中の味方が変わってきませんか? これから「敵」と思える人に出会ったら、こう考えてみましょう。

この人は、私の何を引き立ててくれるのだろう?
この人は、私に何を学ばせてくれるのだろう?

「私」を軸に状況を見直してみると、意外な解決方法が見つかるかもしれません。

自然界では、ある物質に相反する働きを持つものを加えると、その物質の性質や働きが強められる、ということがよくあります。お汁粉に一つまみの塩を入れると、甘みが引き立つのもその一例ですね。

香水もそうです。
「香りは紳士淑女のたしなみ」と言われ、中でもフローラル系は男女を問わず根強い人気を誇っています。

とくにジャスミンを使った香水はもっとも 魅惑的な香りを持つものの一つに数えられています。人気の秘密は、最初の甘い香りの奥から妖艶で濃厚な香りが立ち昇ってくる点にあります。

ジャスミンの花

この妖しい香りは「インドール」という香り成分のなせる業ですが、実は「インドール」とは「大便臭」のことで、これを100倍~10000倍に希釈すると、妖艶で時にセクシーに感じられる香りに変わります。花の香りをさらに引き立てるために、花とは対極の香りが混ぜられているのです。しかもその香りは、希釈すると花の香りにもなるというのです!美醜一元、とでもいいましょうか。不思議な世界ですね。

「インドール」のほかに「スカトール」という香料もあります。これらを改良した合成香料が、世界の香水メーカーからお洒落なネーミングでスタイリッシュな容器に入って売られています。

いかがですか?
自分と違う性質のものを「敵」とみなしても良い事はありません。自分の良さ・魅力を引き立ててくれる「道具立て」、自分を磨いてくれる「砥石」という視点もありですね。

つまり、「敵」とは、あなたの「素敵」の仕掛け人。
そのプレッシャーはあなたを成長させるためかもしれません。

カーライル(*)も言っています。

No pressure , no diamonds
(プレッシャーがなければ、ダイアモンドにならない)

そう、すべてはあなたが輝くために!

(*)トマス・カーライル Thomas Carlyle,(1795年 – 1881年)
19世紀イギリスの歴史家・評論家。ヴィクトリア朝時代を代表する言論人。

筆者紹介

 
本 名 田尻 成美 (たじり しげみ)
略 歴 著述家・株式会社エランビタール代表取締役
著書 「しあわせのコツ」(幻冬舎)
主な訳書「都市革命」(H・ルフェーブル著 晶文社)、
「空間と政治」(H・ルフェーブル著 晶文社)、
「文体論序説」(M・リファテール著 朝日出版社)
比較文化的視点から、日常の出来事をユーモアを交えて考察していきます。
著 書 「しあわせのコツ」(幻冬舎)



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