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君がため 惜しからざりし 命さえ 長くもがなと 思いけるかな

by staff on 2017/6/10, 土曜日

♪ 君がため 惜しからざりし 命さえ 長くもがなと 思いけるかな ♪


絵・千絵崇石
 

読み人:藤原 義孝(ふじわら の よしたか)

現代語訳・・・片思いの時は君と会えたなら死んでもいいと思っていたけど、今こうして両想いになったら、君と一緒にずっと長く生きていたいと思うんだ。

6月はちょうど一年の半分。今回の和歌うたは百人一首のちょうど半分の50番の歌に致しました。久しぶりの後朝(男女が愛を交わした後に送る手紙)の歌です。詠み人は藤原義孝。今までにないほどの美男子だったといわれています。18歳で結婚して、この歌は奥様と出会いの中で送られたというのが定説で、二人の間に生まれた藤原行成は書道家として三蹟のひとり、美的感覚がずば抜けていた家系だったのでしょう。
でも、美人薄命という言葉は女性だけの言葉ではなくて男性にも当てはまるのかも。

彼は21歳の若さで亡くなってしまいました。まるで自分の運命を知っていてこの歌が詠まれたような感じもするほどです。生まれはもちろん、容姿も、才能にも優れていた彼の少年時代のエピソードを紹介します。

彼が13歳の時 父親の謙徳公こと(百人一首45番作者) 藤原伊尹が当時の風流人を招いて連歌の会を催しました。その時に出されたテーマ 「秋はなほ 夕まぐれこそ ただならね」 への付句に歌人たちが苦心していたところ、息子の義孝が進み出て 「荻の上風 はぎの下露」 と続け、喝采を浴びたと言う逸話があります。
美的センスが良くて、おしゃれだったそうですが、決して絢爛豪華なものが好きというのではなくて、簡素で美しいいでたちが得意でした。彼をいろいろ調べてゆくとなんとなく天使のような透明感のある存在だったのでは、と思わずにはいられません。
その後の男性としての盛りや地位や名誉などの俗世間の評価がない事もあると思いますが、仏教を信じて亡くなる寸前まで法華経を唱えていたことや、ベジタリアンだった事など豪華絢爛な父親の美意識とは対照的な、簡素でストイックな美意識に清々しさを感じます。
亡くなった原因は当時の流行り病の天然痘。朝に彼の兄 藤原挙賢が亡くなり、その日の夕方に彼も亡くなりました。昔の貴族のことを語った大鏡には 母親の恵子女王の悲しみを

一日のうちに二人の子を失ひ給へりし母北の方のおん心地、いかなりけむ、いとこそ悲しくうけたまはりしか

現代語・・・2年前に夫伊尹を失くしこの日は二人の息子を同時に失くす。哀れの極みである。
と綴っています。

最後に 彼がある お祝いの席に招かれて、お腹に卵を持った魚が酢で〆められている料理が出てきて、それを見て
「親子で料理されるとは悲しい事だ」
と言って食べずに帰ってしまったという逸話を一度読んだのですが、今回確認のためにもう一度そのサイトを探してみたのですがどこにも見つかりませんでした。きっと事実ではなくて彼の死後に生まれた物語の中にあるストーリーなのだと思いますが、藤原義孝という若くして夭逝した貴公子の繊細な感性を垣間見るような気がして印象的でした。百人一首の中でも一番若くして亡くなった歌人ですが、死後は友人たちの夢枕に立ち天国で幸せにしていると伝えています。

(早苗ネネ♪)

 

三十六歌仙CDアルバムによせて

 

10代の頃、じゅん&ネネのネネとして歌っていた時、多くの方から「北の政所のねね様と同じ名前ですね」と言われ、歴史上に残る方と同じ名前を頂いた事で直ぐに覚えて頂き、良い事が沢山ありました。時が経ち、50歳を過ぎた頃にやっと自分のライフワークを見つけ、「和歌うた」を歌い続けて13年程に成りますが2014年の京都高台寺音楽祭に出演させて頂いた折に、三十六歌仙が高台寺様に遺されているのを知りました。その時にぜひ三十六歌仙にメロディーを付けて同じ名前のねね様に奉納したいとの思いを抱き、2015年9月6日、ねね様のご命日に発表させて頂く事に成りました。

和歌のアルバムとしては10年ぶりでやっと二枚目アルバムです。一枚目のアルバム「花のいろは」は蟠龍寺スタジオの仲間に助けられて生まれました。そして今回のアルバムも製作費は今まで私の和歌うたを聞いて応援して下さった方々のご支援で賄われています。暗中模索と無我夢中で今までよろよろと歩いてきましたが、そんな私を支えてくれる大きな愛情に気が付いて、なんて幸せ者なのかしらと思います。有難うございます。これからも自分の道を信じて歩いてゆきます。

早苗ネネ/京都・高台寺 北の政所・ねねさまに捧げる三十六歌仙 『和歌うた』CDアルバムは、 ヨコハマNOWオンラインショップ で販売しております。

 

早苗ネネさん 和歌うたLIVE

 

早苗ネネさん プロフィール

木々や鳥や魚や精霊…人間以外の存在達との交流が当り前に語れるくらい、いのちのひろがりに気づくと、共に生きている喜びや、苦しみや悲しみにもナイーブになる。

心と野生がひとつながりになると……こんな風に人は年を重ねられる。ひとりひとり、ユニークにもっと自分になれる。

早苗 Nene さんは、そういう人生の先駆者です。 感性を解放しながら、40代で高校生に仲間入り卒業後、マウイのカレッジに留学中、突然半生記が受賞しました。

そんな新たなシーズンを迎えて、今エッセンスを分かち合いたい。

<天性の歌い手>というだけでなく、その存在感、溢れる活性のバイブレーションは、光のシャワーのよう。彼女と語り歌い、魂の成長を旅している現在の、自分の位置を確かめてみませんか?

早苗ネネさんHP

 

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ヨコハマNOW 動画

新横浜公園ランニングパークの紹介動画

 

ランニングが大好きで、月に150kmほど走っているというヨコハマNOW編集長の辰巳隆昭が、お気に入りの新横浜公園のランニングコースを紹介します。
(動画をみる)

横浜中華街 市場通りの夕景

 

横浜中華街は碁盤の目のように大小の路地がある。その中でも代表的な市場通りをビデオスナップ。中華街の雰囲気を味わって下さい。
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