浅茅生の 小野のしのはら しのぶれど あまりてなどか 人の恋しき
♪ 浅茅生の 小野のしのはら しのぶれど あまりてなどか 人の恋しき ♪
絵・千絵崇石 |
読み人:参議等 (さんぎひとし) 現代語訳・・・茅(チガヤ)の原っぱには 篠竹が隠れるように生えている。私の恋は今まで、茂る浅茅生に隠してきたが、今はもう! あなたへの恋心が思い余ってしまって恋しくて忍ぶことができないのです。 先月の30日 全国の神社では夏越の祓の行事が行われました。夏越の祓いとはチガヤで編まれた輪の中を八の字に人々が通り抜ける一年の上半期のお祓いです。現代人には浅茅生(あさじふ)と言われてもピンときませんが、神社の境内にしつらえた夏越の祓で編まれた茅の輪くぐりというと、ああ! あの植物かと理解されるのではないかしら。 |
チガヤはススキに似ています。日当たりのよい空き地や、河原などに多く見られますが、とても強い雑草でそれが無病息災の行事に使われるようになったのでしょう またチマキは笹の葉にくるんでいますが、昔はチガヤで包んでいたのでチマキと言われているそうです。
そのチガヤがまばらに生えている場所を浅茅生と言います。そしてそんなチガヤの原っぱに同じような背丈の低い篠竹が混ざっているのですが、チガヤよりもちょっと背が低くてほとんど目立ちません。忍ぶ篠竹ですね。
注・・篠竹とはイネ科タケササ類の小形の竹の総称。ササの別称
作者の参議等さんは、その浅茅生の小野の篠原に人知れず生える小型の竹のように自分の恋心をひたすらに隠してきたのですが、その篠竹が、思い余ってチガヤよりも伸びてしまった。恋しくて、もう隠せないんだ! と歌われました。
いろいろと文献を調べてみると、この歌は、かなり古くからある詠み人しらずの歌で
「浅茅生の小野の篠原 しのぶとも 人しるらめや 言ふ人なしに」 が本歌と言われています。
現代語訳・・あの人は 私の恋心を知ってるかしら きっと知らないでしょうね 言う人もいないのだから。
「浅茅生の小野の篠原 しのぶ・・」までは参議さんの歌も全く同じです。一般的には、「浅茅生の小野の しのはら」 までの語句は 忍ぶ という言葉を導き出す枕詞だといわれています。序の言葉とは、下の句に対しては、意味を持たず、ただ次の語句 この場合では しのはらに続くしのぶを導き出すためにあると考えられているのですが、私にとって、この序文とされる 「浅茅生の 小野の篠はら 」という枕詞が しのぶれど、の後に続く あまりてなどか 人の恋しき という言葉にピタッと符合して とてもただの序文とは思えないのです。チガヤの原っぱに隠れていた篠竹=忍ぶ思いが、どうしようもできずに伸びてしまった。もう人目を隠せない。という切羽詰まった気持ちをこんなにうまく序文と絡み合わせて歌った参議等さん。歌人としては他の百人一首歌人のように大活躍されていたとは思えませんが、この一首が藤原定家に選ばれ現在まで歌い継がれました。
「余りてなどか 人の恋しき」
思い余って制御不能な程貴女が恋しいなんて、何の作為もなく本歌を見て下の句がぱっと生まれた様なリアリティが感じられて大好きな歌の一つです。
(早苗ネネ♪)
三十六歌仙CDアルバムによせて
10代の頃、じゅん&ネネのネネとして歌っていた時、多くの方から「北の政所のねね様と同じ名前ですね」と言われ、歴史上に残る方と同じ名前を頂いた事で直ぐに覚えて頂き、良い事が沢山ありました。時が経ち、50歳を過ぎた頃にやっと自分のライフワークを見つけ、「和歌うた」を歌い続けて13年程に成りますが2014年の京都高台寺音楽祭に出演させて頂いた折に、三十六歌仙が高台寺様に遺されているのを知りました。その時にぜひ三十六歌仙にメロディーを付けて同じ名前のねね様に奉納したいとの思いを抱き、2015年9月6日、ねね様のご命日に発表させて頂く事に成りました。 |
和歌のアルバムとしては10年ぶりでやっと二枚目アルバムです。一枚目のアルバム「花のいろは」は蟠龍寺スタジオの仲間に助けられて生まれました。そして今回のアルバムも製作費は今まで私の和歌うたを聞いて応援して下さった方々のご支援で賄われています。暗中模索と無我夢中で今までよろよろと歩いてきましたが、そんな私を支えてくれる大きな愛情に気が付いて、なんて幸せ者なのかしらと思います。有難うございます。これからも自分の道を信じて歩いてゆきます。
早苗ネネ/京都・高台寺 北の政所・ねねさまに捧げる三十六歌仙 『和歌うた』CDアルバムは、 ヨコハマNOWオンラインショップ で販売しております。
早苗ネネさん 和歌うたLIVE
早苗ネネさん プロフィール
木々や鳥や魚や精霊…人間以外の存在達との交流が当り前に語れるくらい、いのちのひろがりに気づくと、共に生きている喜びや、苦しみや悲しみにもナイーブになる。
心と野生がひとつながりになると……こんな風に人は年を重ねられる。ひとりひとり、ユニークにもっと自分になれる。
早苗 Nene さんは、そういう人生の先駆者です。 感性を解放しながら、40代で高校生に仲間入り卒業後、マウイのカレッジに留学中、突然半生記が受賞しました。
そんな新たなシーズンを迎えて、今エッセンスを分かち合いたい。
<天性の歌い手>というだけでなく、その存在感、溢れる活性のバイブレーションは、光のシャワーのよう。彼女と語り歌い、魂の成長を旅している現在の、自分の位置を確かめてみませんか?
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