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ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第52回)

by staff on 2017/7/10, 月曜日

大浦総合研究所 代表/大浦勇三

ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第52回)

遊びをせんとや生れけむ、戯れせんとや生れけん
遊ぶ子供の声きけば、我が身さえこそ動がるれ

- 梁塵秘抄 -

義務教育は権利であり義務でもあります。高齢社会の中で平均寿命は2065年には男性が85歳、女性は91歳という予測も。素晴らしいことですが、積みあげた知識・経験だけでは一生生き抜けない恐れ。性別・職業を問わず、一人一人に更なる想像力と独創性が求められ、人生の途上で第二・第三の義務教育期間が必要になるのかもしれません。 “何歳まで生きたいのか?” とはよく言われることですが、これは手段系(HOW)の質問。その前提として “何のために(WHY)” “何をやるのか(WHAT)” をより明確にする必要がありそうです。AI社会では、構造が分からなくともAIを運転するスキルは欠かせないものに。ただ、誰がそれを教えるか。ヒントは教師 → 生徒の一方通行でなく、教師 ⇔ 生徒のコミュニティでのマルチスキルの強化。俳聖・松尾芭蕉も水道工事請負人の顔あり。梁塵秘抄では “君が愛せし綾藺笠 落ちにけり落ちにけり 加茂川に川中に それを求むと 尋ぬとせしほどに 明けにけり明けにけり さらさら清けの 秋の夜は” とあります。笠が風に飛ばされようと、ちゃんと生きていけば大丈夫。 “得意が一つでは通用しない。幾つかの能力の組合せこそが強み” とメディアアーティスト・真鍋大度。

“遊びをせんとや生れけん” 「遊」

定年、引退 本来は自分が最終判断 拠って立つ力量から自ら身を引くのが筋
生産労働人口は年々減少する 一五歳から六四歳までの線引きが大前提にある
この線を跨いで越える 能動的・自覚的にやるべきことを一つ二つに絞り込む
それを支える知的好奇心こそが 人間のすべてだ、と喝破したのはナポレオン

“英雄” と聞くと真っ先に思い浮かべる一人がナポレオン。パリの陸軍士官学校では、通常の在籍期間が4年のところを11か月で卒業したほどの秀才。フランス革命戦争が拡大する中、ナポレオンはイタリア方面軍の司令官に抜擢され連戦連勝。トルストイの“戦争と平和”で描かれたナポレオンの40万人を率いた “モスクワ遠征” 。ロシア軍がモスクワに火をつけ、更に “冬将軍” といわれる厳しい冬の寒気も重なりパリに敗退。勝海舟が江戸の町を焼き払うと西郷隆盛に迫った “江戸城無血開城” を思い出しますね。風景画家の巨匠ターナーには珍しい人物画があり、それがセントヘレナ島に幽閉され、水辺で独り憂いに沈むナポレオンの姿。 “限界には限界がありません” とイビチャ・オシム。

“仕事をせんとや生れけん” 「献」

出来合いの知を手に入れるだけでは 長続きする成長は望めない
本番の前にあがらない芸人はダメだと 喝破したのは北野武監督
好きなことをやることへの畏怖と緊張 好奇心がそれを克服する
懐の深いものは簡単にできない 知恵で技を包み込む工夫をする

北野武(ビートたけし)は映画監督でお笑いタレント。1980年代初頭の漫才ブームで社会風刺を題材としたシニカルな笑いで人気を獲得。映画監督としても “HANA-BI(はなび)” でベネチア国際映画祭の金獅子賞を受賞しました。本番の前にあがらない芸人はダメだとの見立ては人間に対する深い洞察。好きなことをやることへの畏怖と緊張の克服には好奇心が唯一の手立て。懐の深さには蔭での地道で泥臭い努力と修練。舞台裏は絶対見せず、知恵で技を包み込む工夫。全部まとめて “エンターテインメント” 。必死にやってもうまくいくとは限らないこと。それが普通で当たり前であることを教えるのが “教育” との信念。 “自由は命がけ。群れない・慣れない・頼らない” と画家・堀文子。

“学びをせんとや生れけん” 「学」

人間を鍛えることがすべての基本、教育を重視 多様性尊重の価値観を認める社会
真面目だけが美徳というのでは食べていけない時代 均等な配分でなく公平な機会
生き残る生物 時代が要請したものか、環境の変化に適応したもの、とダーウィン
あとは勤勉 日本人で世界に活躍する人は皆ものすごく勤勉だ、と指揮者小澤征爾

小澤征爾はウィーン国立歌劇場音楽監督を務めた世界的指揮者。幼少時から音楽の才能を発揮、家族は本格的にピアノを学ばせようと決意し、戦後の混乱の中、横浜の親類から譲ってもらったピアノをリアカーに縛り、父と兄で3日かけて立川の自宅まで運搬したとか。指揮には米国流と欧州流。米国流はいちいち団員に指図するやり方。逆に、欧州流は黙って全体を把握するやり方。音楽観の違いで時には紛糾も。三島由紀夫は “小澤征爾は若いから偉いのではなく良い音楽家だから偉いのだ” と激励、更なる成熟を期待しました。建築や音楽は生活と結びついており、だからこそ外国で暮らさないと本当の音はわからないとの考え方を実践。 “苦難の位置を変えてみる” とアンネ・フランク。

「遊びは仕事、仕事は遊び」
「仕事は学び、学びは仕事」
「学びは遊び、遊びは学び」

今回とりあげた「遊・献・学」それぞれの4行文は、拙書「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」(全10巻)及び「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(五)」(全10巻)から抽出したものです。次回以降も「遊・献・学」から各々4行文を一つずつ抽出してご紹介していきたいと思います。

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http://www.syplus.jp/ooura/

(第52回了)

 

大浦勇三(おおうら ゆうぞう) プロフィール

大浦勇三(おおうら ゆうぞう)  

大浦総合研究所 代表 (http://www.ne.jp/asahi/oura/ohura-research-institute/

石川県七尾市出身。
早稲田大学卒業、筑波大学大学院修了。
米国経営コンサルティング会社 アーサー・D・リトル 主席コンサルタントを経て現職。
主担当領域は、経営改革/企業再生、経営戦略/情報通信技術戦略策定、業務改革/組織改革、研究開発/商品開発マネジメント、マーケティングマネジメント、ナレッジマネジメント、イノベーションマネジメント、サプライチェーンマネジメント、人材マネジメント、コーチング/メンタリング、プロジェクト/プログラムマネジメント、ベンチャービジネス支援等のコンサルティング。

筑波大学大学院講師、城西国際大学客員教授、名城大学講師、産業能率大学講師、中小企業大学校講師などを歴任。

主な著作物:

  • 「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(五)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「イノベーション・ノート」(PHP研究所)
  • 「ITプロジェクトマネジャーのためのコーチング入門」(ソフトリサーチセンター)
  • 「図解 日本版LLP/LLCまるわかり」(PHP研究所)
  • 「IT技術者キャリアアップのためのメンタリング技法」(ソフトリサーチセンター)
  • 「よいコンサルタントの見分け方、かかり方」(清話会)
  • 「日本のモノづくり - 52の論点」<共著>(日本メンテナンス協会)
  • 「現場主導型の組織運営とスピード戦略」(日本監督士協会)
  • 「eコミュニティがビジネスを変える」<訳>(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメントが見る見るわかる」(サンマーク出版)
  • 「図解 ナレッジ・カンパニー」(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメント革命」(東洋経済新報社 )
  • 「図解 グローバル・スタンダード革命」(東洋経済新報社)
  • 「業務改革成功への情報技術活用」(東洋経済新報社)
  • 「情報化戦略と投資評価・システム運用管理の実際」<編著>(企業研究会)
  • 「会社改革実務辞典」<共著>(産業調査会)
  • 「プロジェクトマネジャー(PM)の育成・スキルアップのためのメンタリングの進め方と実践法」 (ソフトリサーチセンター:CD-ROM版)   など

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