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来ぬ人を まつほの浦の 夕凪に 焼くや藻塩の 身も焦がれつつ

by staff on 2017/8/10, 木曜日

♪ 来ぬ人を まつほの浦の 夕凪に 焼くや藻塩の 身も焦がれつつ ♪


絵・千絵崇石
 

読み人:権中納言定家(ごんちゅうなごんていか)

現代語訳・・・恋人が 来ない。夕凪の海岸で誰かが塩を焼いているけど、待ち焦がれた私の心も、塩焼きだわ。

この和歌。藤原定家さんが女性の気持ちを歌ったものだと知ったのは、実は先程です。まさか女心を歌っていたなんて、まったく知りませんでした。

この歌を8月の一番熱い時期にコラムで書く事はだいぶ前から決めていましたが、私は最初から男性の歌だとばかり思っていたので、アルバム「和歌うた 小倉百人一首」でも男性歌人の恋の歌を集めた「Passion Night 情熱の夜」という組曲の一番最後に歌っています。

歌の意味が理解しやすい内容だったので、現代語訳をちゃんと調べなかったからだと思います。でも若い女性の気持ちを歌った歌だと知ったら、突然ビジョンが浮かびました。

場所は日本の海ではなくてマウイ島のホワイトサンドビーチなのですが、恋人の心変わりにハートブレークな若い女性が一人、ビーチに寝そべっているシーンを想像してください。水着はもちろんビキニです。彼女は彼が来てくれることを願っていますが、たぶん来ないだろうとあきらめが自分の心を満たしています。やるせない思いを持て余して彼女は海に入り心身を冷たい水に浸して冷まして、海から上がってまたビーチタオルの上に腹ばいに寝そべって甲羅干しをします。こうやって何度も同じことを繰り返して、だいぶ時間もたってしまいました。遅い午後の日差しが彼女の肌を焼いて体が乾けば彼女の肌には海の塩が白く浮き出てきます。日に焼けた肌もひりひりし始めました。もうこれ以上待っても時間の無駄だと思いながらも、ふん切りがつかないで立ち去ることができません。寝そべって伏せていた瞳から涙が一筋乾いた砂浜に消えてゆきます。

夕暮れ時に、一人甲羅干しをしている若い女性は ハワイの海岸ではよく見かけます。湘南にもいそうですね。一人ぽっちで砂浜で過ごす女性を見ていると、何か悩みを抱えているのかしらと想像しがちですが、マウイ島の留学生時代の私も良くアルバイトの帰りに ひと風呂浴びるような気分で ざぶーん と海に飛び込んでエネルギーチェンジをして冷えた体を最後の暖かな夕日で温めてから 家に帰ることが良くありました。

30代後半から住んでいた八丈島では 家の近くの岩場でよく泳いでいましたが、溶岩の海岸には 満潮時に打ち寄せる波の飛沫がごつごつした岩のくぼみにたまって、その海水が乾いて真っ白い塩が残ります。その塩は舐めるととてもおいしくて甘くて、よく集めて料理に使ったのを覚えています。天然ミネラルの藻塩でした。なつかしい思い出です。

約20年海に囲まれた生活をして泳ぐことが日常の中に入っていた人生でしたが、自分にとって一番好きな事は 海岸に寝そべっての甲羅干しでした。冷えた体を太陽で温めてゆくときのじわっとした心地よさ。頭の中が真っ白になって雑念がすっかり取れてよい気分転換でした。でも、帰国して人前で歌う仕事をしてみると、日本女性の肌の美しさに囲まれて、自分のあまりの肌の劣化に、もう甲羅干しはあきらめました、それだけはちょっと残念です。

(早苗ネネ♪)

 

三十六歌仙CDアルバムによせて

 

10代の頃、じゅん&ネネのネネとして歌っていた時、多くの方から「北の政所のねね様と同じ名前ですね」と言われ、歴史上に残る方と同じ名前を頂いた事で直ぐに覚えて頂き、良い事が沢山ありました。時が経ち、50歳を過ぎた頃にやっと自分のライフワークを見つけ、「和歌うた」を歌い続けて13年程に成りますが2014年の京都高台寺音楽祭に出演させて頂いた折に、三十六歌仙が高台寺様に遺されているのを知りました。その時にぜひ三十六歌仙にメロディーを付けて同じ名前のねね様に奉納したいとの思いを抱き、2015年9月6日、ねね様のご命日に発表させて頂く事に成りました。

和歌のアルバムとしては10年ぶりでやっと二枚目アルバムです。一枚目のアルバム「花のいろは」は蟠龍寺スタジオの仲間に助けられて生まれました。そして今回のアルバムも製作費は今まで私の和歌うたを聞いて応援して下さった方々のご支援で賄われています。暗中模索と無我夢中で今までよろよろと歩いてきましたが、そんな私を支えてくれる大きな愛情に気が付いて、なんて幸せ者なのかしらと思います。有難うございます。これからも自分の道を信じて歩いてゆきます。

早苗ネネ/京都・高台寺 北の政所・ねねさまに捧げる三十六歌仙 『和歌うた』CDアルバムは、 ヨコハマNOWオンラインショップ で販売しております。

 

早苗ネネさん 和歌うたLIVE

 

早苗ネネさん プロフィール

木々や鳥や魚や精霊…人間以外の存在達との交流が当り前に語れるくらい、いのちのひろがりに気づくと、共に生きている喜びや、苦しみや悲しみにもナイーブになる。

心と野生がひとつながりになると……こんな風に人は年を重ねられる。ひとりひとり、ユニークにもっと自分になれる。

早苗 Nene さんは、そういう人生の先駆者です。 感性を解放しながら、40代で高校生に仲間入り卒業後、マウイのカレッジに留学中、突然半生記が受賞しました。

そんな新たなシーズンを迎えて、今エッセンスを分かち合いたい。

<天性の歌い手>というだけでなく、その存在感、溢れる活性のバイブレーションは、光のシャワーのよう。彼女と語り歌い、魂の成長を旅している現在の、自分の位置を確かめてみませんか?

早苗ネネさんHP

 

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