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ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第58回)

by staff on 2018/1/10, 水曜日

大浦総合研究所 代表/大浦勇三

ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第58回)

遊びをせんとや生れけむ、戯れせんとや生れけん
遊ぶ子供の声きけば、我が身さえこそ動がるれ

- 梁塵秘抄 -

従来、イノベーションといえば米国中心の先進国主導でしたが、最近はアジアの躍進が際立っています。遅れているからこそ、それを強みに転化したイノベーションの加速。イノベーションは会議室で起きるわけではなく、人間が毎日暮らしている生活空間の中から湧き出るもの。多様な人間と人間がぶつかり触発し合って初めて、斬新で画期的なアイデアや推進エネルギーが生まれるということでしょうね。リスク・危機さらに欠乏・不満への感度と対応こそが勝負どころ。大切なのは “コントロールできないものを過大評価しないこと” と “コントロールできるものを過小評価しないこと” 。現代の創薬は薬学の専門家だけでなくコンピュータ科学の専門家など、複数の異分野の専門家が同じ空間で働いており、研究開発をビジネスに結び付けるコミュニティ力が生命線。大事なのは “知の探索” から “知の深化” への重心移動。これこそ “スマート・クリエイティブ” 。梁塵秘抄では “淡路の門渡る特牛こそ 角を並べて渡るなれ 後なる女牛の産む特牛 背斑小女牛は今ぞ行く” とあります。親牛に連れられ子牛も続く牛の川渡り。 “同じイメージを繰り返して描く。人生と同じで、繰り返すことで変わっていく” と画家・キリコ。

“遊びをせんとや生れけん” 「遊」

円安になれば国内、円高になれば海外に目が向く ドサ回りと臨機応変が強み
つながりさえあれば大抵のことは可能になる でないと可能も不可能に終わる
善の水準を維持するのは何とかなる 悪の水準を一定水準に保つことは難しい
顔の歪みは鏡には無関係 とにかくウケろ・客のせいにするな、と柳家小さん

五代目柳家小さんは昭和を代表する名人の一人。 “黒門町” が八代目桂文楽なら、 “目白” といえば小さん。1995年、落語家として初の人間国宝に認定されました。二・二六事件では反乱部隊の兵士として出動、剣道の段位は範士七段。滑稽噺を得意とし、巧みな話芸と豊富な表情、ソバやうどんをすする芸は絶品。顔だけでなく仕草そのものが落語。人情家でもあり、落語家の厳しい生活からの解放をめざし、生活がよくなるようにとの願いから、 “とにかくウケろ・客のせいにするな” はその気持ちの表れ。晩年は、同じ人間国宝の三代目桂米朝と “落語国宝二人会” を開催。孫の柳家花緑も真打として活躍中。 “怖い人物を創れない人は優しい人物も創れない” と人形作家・辻村寿三郎。

“仕事をせんとや生れけん” 「献」

言論の自由はあるが どこまで幸福が実現できているか
改革者は悲惨 触り・視て・聴いて最後にまとめていく
グローバル経済は 資本をもつ人と能力の高い人に有利
武蔵の野辺に朽ちても留め置く大和魂、吉田松陰の覚悟

吉田松陰は萩・松下村塾で有名な長州藩士で思想家・教育者。一般的に明治維新の精神的指導者・理論家・倒幕論者として知られます。松下村塾では、高杉晋作・久坂玄瑞・伊藤博文・山縣有朋など、幕末維新で重要な働きをする多くの若者に思想的影響を与えました。画家・前田青邨が描く米国密航前夜の吉田松陰像は鮮烈。人間の覚悟とはどういうものかを見事に描き切っています。まさに “武蔵の野辺に朽ちても留め置く大和魂” ということですね。 “夢なき者に理想なし・理想なき者に計画なし・計画なき者に実行なし・実行なき者に成功なし・故に夢なき者に成功なし” との不退転の意志。 “人から評価されるのは危険なことである。自分を見失わないようにしなければ” と女優・樹木希林。

“学びをせんとや生れけん” 「学」

破綻したリーマンブラザーズ 取締役は男性だけ
金を貸すにあたり、クレームをつける銀行は順調
画家 肝心なところでは技法ではなく心根を再現
修復と破壊は背中合わせ 音楽とは生命力の勝負

“リーマン・ショック” は近年におけるバブル崩壊の象徴的事件。リーマンブラザーズは、NYに本社を置いた投資銀行グループ。 “金融ビッグバン” 渦中の1980年代後半、米国を代表する証券会社メリルリンチとリーマンのディーリングルームを見学した記憶が鮮明です。マンハッタンのど真ん中の体育館に近い広さのワンフロアには驚き。フロアを分散すると情報遮断が起きるとの判断。 “瞬時” を競うディーリングの真剣勝負の主戦場ならでは。人間に対する見事な洞察。現在も高層ビルのフロア間の情報遮断は大きな課題。ICTでカバーされつつも、顔色や身振り手振りの価値は今も不変。 “米国のゴルフ大会で勝つには、理論で構築された練習をやるしかない” とゴルファー・中島常幸。

「遊びは仕事、仕事は遊び」
「仕事は学び、学びは仕事」
「学びは遊び、遊びは学び」

今回とりあげた「遊・献・学」それぞれの4行文は、拙書「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」(全10巻)及び「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(六)」(全10巻)から抽出したものです。次回以降も「遊・献・学」から各々4行文を一つずつ抽出してご紹介していきたいと思います。

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http://www.syplus.jp/ooura/

(第58回了)

 

大浦勇三(おおうら ゆうぞう) プロフィール

大浦勇三(おおうら ゆうぞう)  

大浦総合研究所 代表 (http://www.ne.jp/asahi/oura/ohura-research-institute/

石川県七尾市出身。
早稲田大学卒業、筑波大学大学院修了。
米国経営コンサルティング会社 アーサー・D・リトル 主席コンサルタントを経て現職。
主担当領域は、経営改革/企業再生、経営戦略/情報通信技術戦略策定、業務改革/組織改革、研究開発/商品開発マネジメント、マーケティングマネジメント、ナレッジマネジメント、イノベーションマネジメント、サプライチェーンマネジメント、人材マネジメント、コーチング/メンタリング、プロジェクト/プログラムマネジメント、ベンチャービジネス支援等のコンサルティング。

筑波大学大学院講師、城西国際大学客員教授、名城大学講師、産業能率大学講師、中小企業大学校講師などを歴任。

主な著作物:

  • 「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(六)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「イノベーション・ノート」(PHP研究所)
  • 「ITプロジェクトマネジャーのためのコーチング入門」(ソフトリサーチセンター)
  • 「図解 日本版LLP/LLCまるわかり」(PHP研究所)
  • 「IT技術者キャリアアップのためのメンタリング技法」(ソフトリサーチセンター)
  • 「よいコンサルタントの見分け方、かかり方」(清話会)
  • 「日本のモノづくり - 52の論点」<共著>(日本メンテナンス協会)
  • 「現場主導型の組織運営とスピード戦略」(日本監督士協会)
  • 「eコミュニティがビジネスを変える」<訳>(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメントが見る見るわかる」(サンマーク出版)
  • 「図解 ナレッジ・カンパニー」(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメント革命」(東洋経済新報社 )
  • 「図解 グローバル・スタンダード革命」(東洋経済新報社)
  • 「業務改革成功への情報技術活用」(東洋経済新報社)
  • 「情報化戦略と投資評価・システム運用管理の実際」<編著>(企業研究会)
  • 「会社改革実務辞典」<共著>(産業調査会)
  • 「プロジェクトマネジャー(PM)の育成・スキルアップのためのメンタリングの進め方と実践法」 (ソフトリサーチセンター:CD-ROM版)   など

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