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ゆるマナー講座(第31回) 『てつがくカード』~哲学を子どもたちに~

by staff on 2018/5/10, 木曜日

マナーアドバイザー/フレアLLP 岡田 承子

「哲学」、皆さまにとっては身近なものでしょうか?
私にとっては、難しい学問以外の何物でもありません。つい最近まで哲学とは何かと考えたこともありませんでしたし、「愛とは」「死とは」などという問いに、どのように考え、答えればよいかも実はまだよくわかっていないのではないかと思います。
そんな私ですが、今回は大人も子どもも楽しめる『てつがくカード』のご紹介をいたします。

道徳と哲学

本年度から小学校で、2019年度からは中学校でも道徳が教科化されるということで、授業の様子がテレビで取り上げられているのをご覧になった方もいらっしゃるでしょう。
現代の日本は、家族の形も昔とは違い、宗教や習慣の違う外国人が身近に住んでいるのも珍しくない時代です。そのような中、道徳での授業では先生は一つの価値観に生徒を導かなければなりません。先生方が頭を悩ませているという話も頷けます。

ところが、哲学には正しい答えも間違った答えもありません。賛成や反対などという意見を聞くものでもありませんし、どこかに答えが載っているようなものでもありません。自分の頭で考えたことを言葉にすれば良いのです。

『てつがくカード』との出会い

それは、オランダに住む知人が持ってきたカードでした。いかにも日本のものとは違うイラストが描かれているトランプのようなもの。そのカードにはそれぞれに問いが書かれていて、それを使って幼稚園や小学校の子どもたちが会話をしていると言うのです。

どんなことが書かれているかと見てみると、
-なぜ人には名前がなければならないの?
-だれかといっしょの方がいい考えが出てくる?

「・・・ふむふむ・・・」

-何が普通かを決めているのはだれ?
-夢もお金に代えられる?
-天国はだれのもの?

「えっ? こんな問いに子どもたちが答えられるの? 本当に?」

これが『てつがくカード』との出会いでした。

 

日本語版『てつがくカード』

オランダで、そしてヨーロッパで広がる哲学授業。日本でも子どもたちに同じような機会を与えられないかと願っていた知人の助言や協力のもと、2種類の日本語翻訳版てつがくカードができました。

対象年齢4歳以上の『てつがく絵カード』と
対象年齢6歳以上の『てつがくおしゃべりカード』です。

『てつがくカード』をする時には、ルールがあります。

*指導者は問いかけるだけで自らの意見を言わないこと。
子どもは先生や大人が言うことが正しいと思いがちですから、子どもたちが指導者の意見に惑わされず、自分の考えを言えるようにするためです。

*子どもたちの言ったことについて、「どうして?」 「いつもそう?」 「例えば?」などと問いを重ねること。
それにより、子どもたちは自分の考えをより深く掘り下げて考えられるようになるのです。
もちろん、価値観の押し付けなど一切してはいけません。

*発言を強要しないこと。
順番に尋ねたり、名指しして意見を求めたりせず、自発的に意見を言うのを待ちましょう。
発言をしないからといって子どもたちが何も考えていない訳ではないのです。

本来子どもは感受性豊かに物事を考えたり感じたりすることができますが、哲学をするうちに自分とは異なった見方や考え方をする周りの意見にも耳を傾けるようになります。そして、自分の考えを深め、整理し、言葉にして伝えるというコミュニケーション能力が育つのです。

コミュニケーションが苦手な若者が増えている日本。
物事を深く考え、自分の意見をまとめて言葉にできる力を子どもの頃から養うことは、国際社会の中で生きていく術を身につけることなのではないかと、私は思っています。

『てつがく絵カード』と『てつがくおしゃべりカード』


「子どものためのてつがくカード」(ほんの木)
http://www.honnoki.jp/tetsugakucards/

実はこのカードは、大人だけでやってもとても楽しいカードです。
もちろん、大人も子どもも一緒になってやるのも良いでしょう。
幼稚園、保育園、学校、家族で、友達と、車座になってみんなの顔を見ながら、週に一回「哲学の時間」。なんていうのも良いかもしれません。
「人の発想ってこんなにも違うんだ」と驚き刺激されること間違いなしです。

 

筆者プロフィール

岡田 承子(おかだ しょうこ)  

岡田 承子(おかだ しょうこ)
マナーアドバイザー/フレアLLP
日本航空国際線客室乗務員を経て、国際交流協会での仕事、また社会福祉法人では障がい者国際スポーツ大会事務局の運営業務やマナー研修に

携わる。現在は、自治体、企業での接遇研修や、NPO法人日本マナー・プロトコール協会認定講師として大学で指導をしている。

柳田 圭恵子(やなぎだ けえこ)  

柳田 圭恵子(やなぎだ けえこ)
マナーアドバイザー/フレアLLP
日本航空株式会社国際客室乗務員を経て、2009年よりマナー講師に。企業や自治体、大学、専門学校で接遇研修や マナー・プロトコール講

座を行っている。NPO法人日本マナー・プロトコール協会認定講師。

本の紹介です

ゆるマナー 始めましょ

 

 

 

「ゆるマナー 始めましょ」
(岡田 承子・柳田 圭恵子 著 / ほんの木)
簡単で、誰でも、いつでもできること、だけど何だか優しくて
温かい気持ちになる。そんなマナーを「ゆるマナー」と名づけました。
 

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