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ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第63回)

by staff on 2018/6/10, 日曜日

大浦総合研究所 代表/大浦勇三

ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第63回)

遊びをせんとや生れけむ、戯れせんとや生れけん
遊ぶ子供の声きけば、我が身さえこそ動がるれ

- 梁塵秘抄 -

最近はビジネスの世界でも美術への関心が高くなってきました。グローバル化で世界との接触が増え、美術への造詣の深さが求められているから。ゴルフやワインの話題は時代遅れとも。更に、教養レベルに留まらず、ビジネスそのものにも直結する刺激や効果。数値やロジックだけでは差別化が困難になり、分析的思考だけでなくアナログ的な直観や感性が不可欠に。まさに “ビジュアル・シンキング” 。昨年、上野の森美術館で開催の “怖い絵展” は若い層が殺到し、ピーク時には入場に4時間待ち。近くの国立博物館では同時期 “興福寺特別展:運慶” が開催されましたが、そこまで及びませんでした。 “怖い絵展” の目玉は16歳の初代イングランド女王ジェーン・グレイのロンドン塔での処刑。ギロチンが発明される前で、首を置く台と首をはねる巨大なマサカリを持つ大男。他に若き日の巨匠セザンヌが描いた殺戮絵画も。人間の野望・本能が剥き出し。梁塵秘抄では “吹田の御湯の次第は 一官二丁三安楽寺 四には四王子五侍 六膳夫 七九八丈九けむ丈 十には国分の武蔵寺 夜は過去の諸衆生” とあります。昔は温泉に入るにも序列。でも夜は死者も加えて何でもあり。 “遊び呆ける” と詩人・谷川俊太郎

“遊びをせんとや生れけん” 「遊」

成功の儀式ではなく 失敗の儀式の導入を考える
三振したり ダブルプレーのミスで戻ってきたら
失敗を水に流す 手のひら上のトイレで水に流す
うまくいかぬは風が吹かなかった故、と五木寛之

作家・五木寛之は85歳で、現役高齢者のトップ・ランナー。若きデビュー時期から今日まで走り続けてきた印象。ただ、40歳と50歳の前後に2度執筆活動を一時休止し “休筆宣言” をしています。2回目には大学の聴講生となり仏教史を学ぶ強い知的好奇心も。人生100年時代といわれるようになっていますが、もしかしたら五木寛之から学ぶべき最大の教訓は、人生の半ば頃に “休止” 期間を組み込むこと。大学などでは “サバティカル” という制度があり、長期勤続者に対して使途に制限のない職務を離れた長期休暇があります。ワークライフバランスの理念などを踏まえ、欧州を中心に企業の中でこの制度を取り入れるところも登場。 “花・面白き・珍しきの三つは同じ心なり” と世阿弥。

“仕事をせんとや生れけん” 「献」

前提条件としての複雑性 法律・産業規制・NGO活動 企業レベルでは制御不可
本源的な複雑性 ビジネスにとり不可避なもの 一部を切り離すことでのみ対応可
予定通り上手くいかないことも多い 大事なのは肩の力を抜いて自然体で対応する
この時のためにこそ猛稽古をして経験を蓄積しているのだから、と元関脇・舞の海

私が育った当時の石川県は、野球よりは相撲が圧倒的な人気スポーツ。その後、星陵高校を中心に野球が甲子園で大活躍、松井秀喜というスーパースターまで産みました。それまでは圧倒的な相撲王国で、横綱輪島・大関出島、最近では小結遠藤を輩出。小学校から高校まで、学校ごとに土俵があり、毎年相撲大会が行われ、高校・大学の全国大会も開催されました。相撲の醍醐味は何といっても小が大を制するところ。舞の海はその代表格の一人。時には、ビッグデータよりスモールデータ。体格は身長171cmで体重101kg。得意手は内無双・切り返し。関取時代は “平成の牛若丸・技のデパート” とも。 “敗北後、次に何をすべきかに集中する” とラグビー・コーチのエディ・ジョーンズ。

“学びをせんとや生れけん” 「学」

VHSコンセプトの背後には顧客・メーカー・サービス会社のニーズが反映
最大の分岐点が録画時間 ソニーは技術に絶対の自信 録画時間に拘りなし
日本ビクターは二時間の録画時間に拘泥 映画の録画には二時間が絶対必要
最終的には勝つこと 間違えてはいけない局面で勝ち切る強さ、と谷川浩司

藤井聡太棋士の驚異的なスピード昇進に将棋人気は大爆発。谷川浩司棋士もかっては若き天才と評価されました。藤井棋士と同じく負けず嫌いだった谷川棋士は、負けると駒を投げつけたり・噛んだりしたエピソードも。負けて泣きじゃくったのが藤井聡太棋士。 “中盤から終盤への感覚が優れている” のは共通の勝負スタイル。21歳で史上最年少名人になった頃は中原誠十六世名人の後継者と目され、その後に四冠王。続いて “羽生世代” の棋士達との対決の時代へ。谷川棋士が色紙などに揮毫する時に好んで書く言葉の一つが “危所遊(名人危所に遊ぶ:芭蕉)” 。これが谷川棋士の将棋観・闘魂。 “精神の本質とは、結果でなくプロセスに命をかけること” と作曲家&ピアニスト・一柳慧。

「遊びは仕事、仕事は遊び」
「仕事は学び、学びは仕事」
「学びは遊び、遊びは学び」

今回とりあげた「遊・献・学」それぞれの4行文は、拙書「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」(全10巻)及び「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(六)」(全10巻)から抽出したものです。次回以降も「遊・献・学」から各々4行文を一つずつ抽出してご紹介していきたいと思います。

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http://www.syplus.jp/ooura/

(第63回了)

 

大浦勇三(おおうら ゆうぞう) プロフィール

大浦勇三(おおうら ゆうぞう)  

大浦総合研究所 代表 (http://www.ne.jp/asahi/oura/ohura-research-institute/

石川県七尾市出身。
早稲田大学卒業、筑波大学大学院修了。
米国経営コンサルティング会社 アーサー・D・リトル 主席コンサルタントを経て現職。
主担当領域は、経営改革/企業再生、経営戦略/情報通信技術戦略策定、業務改革/組織改革、研究開発/商品開発マネジメント、マーケティングマネジメント、ナレッジマネジメント、イノベーションマネジメント、サプライチェーンマネジメント、人材マネジメント、コーチング/メンタリング、プロジェクト/プログラムマネジメント、ベンチャービジネス支援等のコンサルティング。

筑波大学大学院講師、城西国際大学客員教授、名城大学講師、産業能率大学講師、中小企業大学校講師などを歴任。

主な著作物:

  • 「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(六)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「イノベーション・ノート」(PHP研究所)
  • 「ITプロジェクトマネジャーのためのコーチング入門」(ソフトリサーチセンター)
  • 「図解 日本版LLP/LLCまるわかり」(PHP研究所)
  • 「IT技術者キャリアアップのためのメンタリング技法」(ソフトリサーチセンター)
  • 「よいコンサルタントの見分け方、かかり方」(清話会)
  • 「日本のモノづくり - 52の論点」<共著>(日本メンテナンス協会)
  • 「現場主導型の組織運営とスピード戦略」(日本監督士協会)
  • 「eコミュニティがビジネスを変える」<訳>(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメントが見る見るわかる」(サンマーク出版)
  • 「図解 ナレッジ・カンパニー」(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメント革命」(東洋経済新報社 )
  • 「図解 グローバル・スタンダード革命」(東洋経済新報社)
  • 「業務改革成功への情報技術活用」(東洋経済新報社)
  • 「情報化戦略と投資評価・システム運用管理の実際」<編著>(企業研究会)
  • 「会社改革実務辞典」<共著>(産業調査会)
  • 「プロジェクトマネジャー(PM)の育成・スキルアップのためのメンタリングの進め方と実践法」 (ソフトリサーチセンター:CD-ROM版)   など

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