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風をいたみ 岩うつ波の おのれのみ くだけてものを 思ふころか

by staff on 2018/8/10, 金曜日

♪ 風をいたみ 岩うつ波の おのれのみ くだけてものを 思ふころか ♪



絵・千絵崇石
 

読み人: 源 重之(みなもと の しげゆき)

現代語訳・・・僕の恋心は激しすぎて 固い岩にぶつかって 身も心も砕けてしまう、僕は波、君は岩、片思いはどうにもならないんだ。

作者の源重之さんは西暦千年ころ平安中期に生きていました。清和天皇のひ孫さんです。若いころは生まれ育った陸奥から伯父さんの養子となって都へ出てゆき 将校としてバリバリ出世していきましたが、人生後半から地方官となって全国を転々とします。何があったのかしら。

私はきっとこの歌の相手の女性が あまりにも高貴な人で、結局片思いのまま失恋してしまい、その心の傷を埋めるために 都会を離れていったのではないかと勝手に推測しています、人生前半のにぎにぎしさとは打って変わって、後半は日本全国九州から東北まで赴任しています。たぶん本来旅が好きだったのだと思いますが、陸奥で生まれて育った素朴な感覚がご自分の基本にあったのではないでしょうか? 彼にとっての故郷は都ではなく陸奥。でも本人は自分をちょっと不遇だと感じていたようですが、彼の事を調べてみると母親が誰なのかわかりません。又 ご自分の妻も普通は正妻とかのお名前が残っているのですがはっきりわかりません。子供は5人いて母親名が全部不詳です。記録の中に女性の名前が出てこないのです。赴任した先々で女性と知り合うのはその頃の常だったとは思いますが、とても興味をそそられました。

和歌友達の平兼盛は彼が陸奥に一族郎党を引き連れて赴任していると聞き歌を送って からかっています。

♪ みちのくの 安達が原の 黒塚に 鬼こもれりと 聞くはまことか ♪

鬼と言うのは重之の妻たちの事です。その割にプレイボーイだったというような話は全くなくて、家族を大切にしていたようです。

奥さんの名前が出てないことが不思議で、深く調べてゆくうちに理由がわかりました。彼の妻たちや生母の名前が出ていないのは「尊卑文脈」という緒家系図のためでした。この系図は南北朝時代に成立した諸家の系図で、一般の貴族を卑として天皇を尊としてまとめてあります。女性は皇后等、よほどの地位の方以外は子女と言う言葉でひっくるめて書かれているそうです。百人一首の中で源名の歌人は8名ですがちょうど重之の時代がこの系図編纂の盛んな時だったようで、年代を追っていろんな変更が加えられています。現在この尊卑文脈、古代から中世の貴族の家系を調べるうえで重要不可欠な書物と言われています。源重之の残したもので一番有名なのは 冷泉天皇の時代に自分の100首の和歌を編纂して奉納しています。それが現代に残る百首和歌本の最古のもので、この重之の100首本がお手本とされてその後百首を綴って残してゆくやり方がもてはやされてゆきます。

陸奥で生まれて 幼年時代に自分の父親が陸奥で土着となって生きてゆくことになり父親の兄で、参議 源兼忠の養子となって都へ上った若き青年貴族の源重之さん。大失恋の末に砕けてしまったのでしょうか? その後地方の官人を務めて、最後には友人の藤原実方を頼って故郷の陸奥へ戻ってゆく。何故か源重之と言う歌人に心惹かれる今日この頃の私。

最後に和歌うたとしては2枚目のアルバム。「三十六歌仙」で歌われている重之の歌を紹介させて下さい。

♪ 夏苅の玉江の芦を 踏みしだき 群れ居る鳥の 立つ空ぞなき ♪

この歌は自分の住処だった芦原を突然に刈られてしまい途方に暮れている哀れな鳥たちの事を歌った歌ですが、きっと彼自身が自分の巣という安住のねぐらを探していたからこそ 鳥たちの気持ちが理解できて生まれた歌なのではないかと思います。ねぐら、自分の巣箱がいかに大切なものか、安住の地を求める旅人歌人。やはりこの方の歌、私好きです。

(早苗ネネ♪)

 

ネネグースプロジェクト(Nene Goose Project)を立ち上げました

日本古来の大和ことばで綴られた和歌を現代の調べにのせて歌う「和歌うた」。私 早苗ネネはもう20年近くこの「和歌うた」を歌い続けています。お蔭様で、じゅん&ネネと共に「和歌うた」は私のアーティスト活動の中心軸となり、多くの方々からご支援を賜り各地で和歌うたライブを開かせて頂いております。

この度立ち上げたネネグースプロジェクト(Nene Goose Project)は、「和歌うた」とHULAや太極拳などの異文化や全国に受け継がれている伝統文化とのコラボレーションをはかります。世界の民族が持つ固有の文化とその文化の根底にある言霊が「和歌うた」と融合することで生まれる新しい表現をみんなで共有する取り組みです。

「和歌うた」のライブは歌い手と聴き手という構図です。ライブ会場はみんなで一体になって盛り上がりますが、歌い手と聴き手という構図は否めないものがありました。ネネグースプロジェクト(Nene Goose Project)ではワークショップ形式で参加して下さったみなさんと一緒に作品を作り上げていきたいと考えております。みんなで作った作品にはみんなの愛情が込められています。出来上がった作品はみなさんの元気の源の一助になることでしょう。

ネネグースプロジェクト(Nene Goose Project)の第一弾イベントを来る9月24日(月・振替休日)に横浜で開催致します。HULAとのコラボです。オフィシャルウェブサイトをアップしましたので詳しくはそちらをご覧下さい。

ネネグースプロジェクト(Nene Goose Project)Official Website:
nenegoose.love

 

三十六歌仙CDアルバムによせて

 

10代の頃、じゅん&ネネのネネとして歌っていた時、多くの方から「北の政所のねね様と同じ名前ですね」と言われ、歴史上に残る方と同じ名前を頂いた事で直ぐに覚えて頂き、良い事が沢山ありました。時が経ち、50歳を過ぎた頃にやっと自分のライフワークを見つけ、「和歌うた」を歌い続けて13年程に成りますが2014年の京都高台寺音楽祭に出演させて頂いた折に、三十六歌仙が高台寺様に遺されているのを知りました。その時にぜひ三十六歌仙にメロディーを付けて同じ名前のねね様に奉納したいとの思いを抱き、2015年9月6日、ねね様のご命日に発表させて頂く事に成りました。

和歌のアルバムとしては10年ぶりでやっと二枚目アルバムです。一枚目のアルバム「花のいろは」は蟠龍寺スタジオの仲間に助けられて生まれました。そして今回のアルバムも製作費は今まで私の和歌うたを聞いて応援して下さった方々のご支援で賄われています。暗中模索と無我夢中で今までよろよろと歩いてきましたが、そんな私を支えてくれる大きな愛情に気が付いて、なんて幸せ者なのかしらと思います。有難うございます。これからも自分の道を信じて歩いてゆきます。

早苗ネネ/京都・高台寺 北の政所・ねねさまに捧げる三十六歌仙 『和歌うた』CDアルバムは、 ヨコハマNOWオンラインショップ で販売しております。

 

早苗ネネさん 和歌うたLIVE

 

早苗ネネさん プロフィール

木々や鳥や魚や精霊…人間以外の存在達との交流が当り前に語れるくらい、いのちのひろがりに気づくと、共に生きている喜びや、苦しみや悲しみにもナイーブになる。

心と野生がひとつながりになると……こんな風に人は年を重ねられる。ひとりひとり、ユニークにもっと自分になれる。

早苗 Nene さんは、そういう人生の先駆者です。 感性を解放しながら、40代で高校生に仲間入り卒業後、マウイのカレッジに留学中、突然半生記が受賞しました。

そんな新たなシーズンを迎えて、今エッセンスを分かち合いたい。

<天性の歌い手>というだけでなく、その存在感、溢れる活性のバイブレーションは、光のシャワーのよう。彼女と語り歌い、魂の成長を旅している現在の、自分の位置を確かめてみませんか?

早苗ネネさんHP

 

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ヨコハマNOW 動画

新横浜公園ランニングパークの紹介動画

 

ランニングが大好きで、月に150kmほど走っているというヨコハマNOW編集長の辰巳隆昭が、お気に入りの新横浜公園のランニングコースを紹介します。
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横浜中華街 市場通りの夕景

 

横浜中華街は碁盤の目のように大小の路地がある。その中でも代表的な市場通りをビデオスナップ。中華街の雰囲気を味わって下さい。
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