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ゆるマナー講座(第34回) 夏の行事‐お盆

by staff on 2018/8/10, 金曜日

マナーアドバイザー/フレアLLP 岡田 承子

青く広がる空、白い雲、セミの鳴く声、麦わら帽子・・・。夏というと思い出すものの数々。ところが今年は異常な暑さに空を見上げるのも嫌になるほどです。
子どもたちは夏休みの真っ最中。朝のラジオ体操、暑さに負けずに早起きして行っているでしょうか。
大人もそろそろ夏季休暇のシーズンですね。家族そろって田舎に帰省する方、長い休暇を取り海外旅行へ行く方、今が稼ぎ時でお休みなんか取っていられない方、それぞれが思い思いにこの暑い時期を乗り切っていくでしょう。
私はこの夏、久しぶりに実家のお墓参りに行こうと思っています。

お盆とは

この時期にお墓参りと言えば、お盆の頃。

お盆は正式には「盂蘭盆会(うらぼんえ)」と言います。古代インドの言葉の一つであるサンスクリット語の「ウランバーナ」が語源だと言われます。ウランバーナの意味は、逆さにつるされた苦しみ。お盆は、その苦しみに遭わないように先祖や死者の霊を迎えて供養する仏教行事なのです。

それに関わるこんなお話があります。

昔々、お釈迦さまの弟子、目連さまが、亡くなった母がどうしているかと神通力で見てみると、餓鬼道に落ちて物も食べられず苦しんでいる姿が見えました。餓鬼道とは飢えや渇きに苦しむ世界です。悲嘆にくれた目連さまはお釈迦さまに教えを請いました。
そして教えていただいたのが、7月15日に厳しい修行を終えて帰ってくる全ての修行僧にたくさんの食べ物や飲み物などを振舞うことでした。教えられたとおりにすると母親は餓鬼の苦しみから救われたのです。同じように、7月15日に飲食を盆に盛って、仏や僧や大勢の人たちを供養すれば、多くのご先祖が苦しみから救われ、今生きている人たちも幸福にすることができるとも教えられました。
これがお盆の行事の始まりだそうです。

馬と牛

子どもの頃、お盆のお墓参りの前に、母がきゅうりと茄子で動物を作っていたことが記憶の片隅にあります。大人が食べ物で遊んでいるようで何だか面白かったというだけの記憶です。成長するうちに誰も作らなくなってしまった気がしますが・・・。

それが、きゅうりの馬だったこと、茄子の牛だったこと、そしてその意味も、大人になってわかりました。
「ご先祖様、きゅうりの馬に乗って早くお家に帰ってきてくださいね」
「あの世には、茄子の牛に乗ってのんびりゆっくり戻っていってくださいね」
そういう意味があるのだと、きっと母は説明しながら作っていたと思うのですが、小さな私の頭には大人が普段とは違うことをしているという面白さだけが残ったのでした。

お墓や仏壇に供えるお花やお菓子や果物の他に、そんなかわいいお供え物もする。
昔の人はこういうところにも遊び心を織り込んでいたのですね。

山と海

お盆の行事は地域によって7月または8月に行われ、しきたりも様々ですが、13日の夕方までに迎え火を焚いて先祖の霊を迎え、16日に送り火を焚いて現世からあの世へ送り出すのが一般です。
送り火の中でも、8月16日の「京都五山送り火」は「大文字焼き」とも言われ有名ですが、「大文字」「妙法」「船形」「左大文字」「鳥居形」がそれぞれの山に点火されていき、京都の夏の夜空を彩る風物詩となっています。

海や川では、灯篭流しや精霊流しをするところもあります。こちらも送り火の一つです。

♪去年のあなたの思い出が・・・♪と始まる、さだまさしさんの「精霊流し」。
優しいメロディと歌詞に、静かにしめやかに故人を想いながら送り出すのだろうと思っていたところ、実際には賑やかな掛け声と爆竹や鐘の音とともに精霊船が次から次へと引かれていき、まるでお祭りの山車のようで驚いたことがあります。大きな船が多い中に小さな船を見つけて、小さなお子さんを亡くされたご家族の気持ちを思うと切なくなってしまいました。
そういえば、「精霊流し」の歌には、♪精霊流しが華やかに始まるのです♪ という歌詞があります。賑やかに華やかに送りつつ、心の中で故人を偲ぶのでしょう。

伝えるということ

日本には一年を通して様々な年中行事がありますが、それぞれの行事は季節の変わり目や農耕作業の節目に行い、日々つつがなく暮らせることに、自然にも宿る神々や祖先の霊に敬意を払い感謝の気持ちを表すものです。
時代が変わり、季節感も薄れ、行事を伝える人も少なくなってきていますが、過去から受け継がれたしきたりを伝承していくことも、大人として大切なことではないでしょうか。

まずは、すぐにやってくるお盆。
私も今年はきゅうりの馬や茄子の牛を作って、お墓参りをしてみようかと思っています。

 

筆者プロフィール

岡田 承子(おかだ しょうこ)  

岡田 承子(おかだ しょうこ)
マナーアドバイザー/フレアLLP
日本航空国際線客室乗務員を経て、国際交流協会での仕事、また社会福祉法人では障がい者国際スポーツ大会事務局の運営業務やマナー研修に

携わる。現在は、自治体、企業での接遇研修や、NPO法人日本マナー・プロトコール協会認定講師として大学で指導をしている。

柳田 圭恵子(やなぎだ けえこ)  

柳田 圭恵子(やなぎだ けえこ)
マナーアドバイザー/フレアLLP
日本航空株式会社国際客室乗務員を経て、2009年よりマナー講師に。企業や自治体、大学、専門学校で接遇研修や マナー・プロトコール講

座を行っている。NPO法人日本マナー・プロトコール協会認定講師。

本の紹介です

ゆるマナー 始めましょ

 

 

 

「ゆるマナー 始めましょ」
(岡田 承子・柳田 圭恵子 著 / ほんの木)
簡単で、誰でも、いつでもできること、だけど何だか優しくて
温かい気持ちになる。そんなマナーを「ゆるマナー」と名づけました。
 

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