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村雨の 露もまだひぬ 槙の葉に 霧たちのぼる 秋の夕暮れ

by staff on 2018/10/10, 水曜日

♪ 村雨の 露もまだひぬ 槙の葉に 霧たちのぼる 秋の夕暮れ ♪



絵・千絵崇石
 

読み人: 寂蓮法師(じゃくれんほうし)

現代語訳を書かなくても、情景が目に浮かんできます。この原稿を書いている今日は、ちょうど秋雨前線が活発であの夏の暑さからは想像もできないほどの涼しさ。この温度差にまだ体がついて行けてない私です。今朝も雨が降っていて、午後には上がり、今ちょうどその夕暮れ時、自宅の窓から見える山々の灰色と白の墨絵のような世界が秋の夕暮れのもの哀しさと美しさを感じさせてくれます。

この和歌は競技かるたをされる方には人気のある歌でかるたの決まり字 “むすめふさほせ” という7枚の和歌の筆頭に来る歌でもあります。競技かるたをご存知ない方のために少し説明します。

むすめふさほせ とは始めの言葉が 百人一首の中で一枚しかない札の事。たとえば始まりの言葉が“あ”だったら あさぼらけ、や あわじしま、や あさじふの 等次の言葉を待たなければ札を取ることが出来ませんが、むらさめの は一枚しかないので む、と聞いた時点で札を取ることが出来ます。そんなたった一枚しかない札を音でならべて
むすめふさほせ と。 最初に覚えるテクニックだと聞いています。

読み手の寂蓮法師は 俗名を藤原定長といい、藤原定家のいとこにあたります。子供の頃に定家のお父さんの俊成の養子になります。きっと子供時代から和歌の才能が秀でていたのでしょう。その後養父の俊成に定家が産まれて、突然出家してしまいます。どうやら藤原定家に自分に引けを取らない和歌の才能を認めて、跡取りとして争う事を避けて一番良い道を選んだのではないか、と言うのが一般的な定説のようです。彼が30代後半 定家が11歳の頃の出家でした。穏やかで思慮深い歌人なのだと推測します。後鳥羽上皇も寂蓮法師の事を好評価していたようです。そんな人格円満な寂蓮法師ですが、和歌の事に関しては人には譲れない立ち位置があったようです。六百番歌会にて、同じ僧侶で歌壇の派が違う顕昭との口論は有名で 顕昭が独鈷を振りかざし、寂蓮法師が蛇の鎌首を持ち上げたように首を長くして応戦したために「独鈷鎌首の争い」と言われて記録に残されています。

もう一つ「三夕の和歌」も有名です。新古今和歌集で、秋の夕暮れ! と言う言葉で終わっている三つの和歌の一つとして寂蓮法師の和歌

♪ 寂しさは そのいろとしも なかりけり まきたつ山の秋の夕暮れ ♪

が定家と西行法師の和歌と一緒に並んで残されています。

秋の夕暮れ、で終わる歌が好きだった寂蓮さんですが、村雨 と言う始まりの句も、子供の頃に夢中で読んだ「南総里見八犬伝」の中に出てくる幻の宝刀「村雨丸」に使われています。戦前の海軍には村雨という名の船もあったそうで、私にとって郷愁を感じる村雨という言葉です。が、最後にネットで見つけた「七度狐」と言う上方落語で取り上げられている村雨には思わず声を出して笑ってしまいました。余りにも可笑しかったのでその部分だけ・・・
お伊勢参りのついでに寄った簡易な食堂で二人組がお酒を頼みます。
「あの、お酒はあるかい? ん、なに「村さめ」と「庭さめ」と「じきさめ」?」
村さめ、は 村を出たあたりですぐ醒める。庭さめは 庭を出たとたんにすぐ醒める。
じきさめは 飲んだ傍からすぐ醒める・・・この話の続きは是非 寄席で聞きたいわ。

(早苗ネネ♪)

 

ネネグースプロジェクト(Nene Goose Project)を立ち上げました

日本古来の大和ことばで綴られた和歌を現代の調べにのせて歌う「和歌うた」。私 早苗ネネはもう20年近くこの「和歌うた」を歌い続けています。お蔭様で、じゅん&ネネと共に「和歌うた」は私のアーティスト活動の中心軸となり、多くの方々からご支援を賜り各地で和歌うたライブを開かせて頂いております。

この度立ち上げたネネグースプロジェクト(Nene Goose Project)は、「和歌うた」とHULAや太極拳などの異文化や全国に受け継がれている伝統文化とのコラボレーションをはかります。世界の民族が持つ固有の文化とその文化の根底にある言霊が「和歌うた」と融合することで生まれる新しい表現をみんなで共有する取り組みです。

「和歌うた」のライブは歌い手と聴き手という構図です。ライブ会場はみんなで一体になって盛り上がりますが、歌い手と聴き手という構図は否めないものがありました。ネネグースプロジェクト(Nene Goose Project)ではワークショップ形式で参加して下さったみなさんと一緒に作品を作り上げていきたいと考えております。みんなで作った作品にはみんなの愛情が込められています。出来上がった作品はみなさんの元気の源の一助になることでしょう。

ネネグースプロジェクト(Nene Goose Project)Official Website:
nenegoose.love

 

三十六歌仙CDアルバムによせて

 

10代の頃、じゅん&ネネのネネとして歌っていた時、多くの方から「北の政所のねね様と同じ名前ですね」と言われ、歴史上に残る方と同じ名前を頂いた事で直ぐに覚えて頂き、良い事が沢山ありました。時が経ち、50歳を過ぎた頃にやっと自分のライフワークを見つけ、「和歌うた」を歌い続けて13年程に成りますが2014年の京都高台寺音楽祭に出演させて頂いた折に、三十六歌仙が高台寺様に遺されているのを知りました。その時にぜひ三十六歌仙にメロディーを付けて同じ名前のねね様に奉納したいとの思いを抱き、2015年9月6日、ねね様のご命日に発表させて頂く事に成りました。

和歌のアルバムとしては10年ぶりでやっと二枚目アルバムです。一枚目のアルバム「花のいろは」は蟠龍寺スタジオの仲間に助けられて生まれました。そして今回のアルバムも製作費は今まで私の和歌うたを聞いて応援して下さった方々のご支援で賄われています。暗中模索と無我夢中で今までよろよろと歩いてきましたが、そんな私を支えてくれる大きな愛情に気が付いて、なんて幸せ者なのかしらと思います。有難うございます。これからも自分の道を信じて歩いてゆきます。

早苗ネネ/京都・高台寺 北の政所・ねねさまに捧げる三十六歌仙 『和歌うた』CDアルバムは、 ヨコハマNOWオンラインショップ で販売しております。

 

早苗ネネさん 和歌うたLIVE

 

早苗ネネさん プロフィール

木々や鳥や魚や精霊…人間以外の存在達との交流が当り前に語れるくらい、いのちのひろがりに気づくと、共に生きている喜びや、苦しみや悲しみにもナイーブになる。

心と野生がひとつながりになると……こんな風に人は年を重ねられる。ひとりひとり、ユニークにもっと自分になれる。

早苗 Nene さんは、そういう人生の先駆者です。 感性を解放しながら、40代で高校生に仲間入り卒業後、マウイのカレッジに留学中、突然半生記が受賞しました。

そんな新たなシーズンを迎えて、今エッセンスを分かち合いたい。

<天性の歌い手>というだけでなく、その存在感、溢れる活性のバイブレーションは、光のシャワーのよう。彼女と語り歌い、魂の成長を旅している現在の、自分の位置を確かめてみませんか?

早苗ネネさんHP

 

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ヨコハマNOW 動画

新横浜公園ランニングパークの紹介動画

 

ランニングが大好きで、月に150kmほど走っているというヨコハマNOW編集長の辰巳隆昭が、お気に入りの新横浜公園のランニングコースを紹介します。
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横浜中華街 市場通りの夕景

 

横浜中華街は碁盤の目のように大小の路地がある。その中でも代表的な市場通りをビデオスナップ。中華街の雰囲気を味わって下さい。
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