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しあわせの「コツ」(第23回) 親が子供に願うこと

by staff on 2018/11/10, 土曜日

第23回 親が子供に願うこと

子供たちがまだ小さい頃の話です。
一人の子供が、私の財布から50円玉を盗ったことがありました。

「どうして盗ったの? お小遣いがあるでしょ?」

「ガチャガチャをやりたかったけど、あれは100円で
 50円しか持っていなかったから・・・。」

「なら明日まで待てばよかったじゃない。明日50円貰えるでしょ。」

「・・・・・」

「もしどうしても欲しいなら、『ガチャガチャをやりたいんだけど
明日の分を先に貰える?』とか言って来ればよかったじゃないの!」

などなど、私が難詰しているうち、突然子供が切れました。

「あのさぁ、なんで50円くらいでこんなに叱られなくちゃいけないの?」

50円くらい!!

その言葉を聞いて、今度は私の方が切れました。怒涛のような勢いで子供にまくしたてたのを覚えています。

私は子供に何を言いたかったのでしょう?

我が子に、怒りをもってでも伝えたかったこと、それは「卑しい心を持つな」ということです。

私の考えでは、50円でも50万円でも、「盗みは盗み」です。それを、50円なら大目に見て大金だと叱る、という態度を親が取ると、子供は「盗みは悪い事だ」という意識を持つ代わりに、「いくらまでなら叱られないか」というすれすれのラインを探る意識を持つようになります。

そうすると一事が万事、「規則の盲点をすり抜ける」方に意識が向いて、うまくすり抜けた時には、「悪い事」ではなく、「成功体験」にすらなってしまうのです。こんな人間になってほしくない! 仮に悪いことをした時でも「悪い事をしました。ごめんなさい」と謝れる人間であってほしいと願っています。

長い人生のうちでは、心ならずも、あるいは知らずに道を外してしまう事もあるかもしれません。犯した事は変えられませんが、自分のしたことを認め、受け入れ、それを心からお詫びできると、したことの幾分かは上書き修正されように思います。
何よりも、自分の間違いを素直に認めて謝る姿勢は、とっても美しく、時には崇高でさえあります。本人にしてみれば、悪事がばれただけでもみっともないのに、さらにそれを認めてお詫びなんて、恥の上塗りみたいでやってられない、と思うかもしれません。でも、実はそうではありません。「謝る」というのは、とても勇気のいることなのです。

謝ることができる人は本当に強い人です。
その「強さ」は、自分の中に確たる芯がないと出てきません。

では、子供を「強い人」に育てるにはどうしたらよいのでしょう?
私の経験では、「確たる芯」ができるかどうかは幼少期に親がどれほど子供を受け入れたかどうかで決まるような気がします。

親も忙しいですし、いつも精神状態が良いわけではありません。でも、子供と一緒に成長するつもりで、できる限り子供を受け入れる努力は必要だと思います。

私は、わが子と接する時、いつも二つの「時間ものさし」を心のなかに持って、それを使い分けていました。

たとえば、夕食の支度で忙しい時に、深刻な表情を浮かべた子供が「お母さん、今日、学校でね・・・」と言ってきたとします。
その時、皆さんはどう対処しますか?

そういう時、「短い時間ものさし」を使うと、こうなります。

「あ、今ほうれん草をゆでているからあと10分待って」と、短い時間の行動を優先します。この場合、必ず「10分待たせる」という約束を守ることが大事です。子供はちゃんと待ってくれます。

「長い時間ものさし」を使う場合。

子供の表情からして深刻で微妙な話のような時、「あとで」というと子供はタイミングを失って言わなくなる場合があります。放っておくと「あの時ちゃんと聞いてあげればよかった」というような事態になる可能性だってあります。そう思うときは、ガスを止めてじっくり子供の話を聴きます。そのために2,30分食事の時間が遅れても、私が他の家族に謝ればいいだけのことです。

子供は、親がちゃんと自分に向きあってくれたことに、大変な充足感を覚えます。「親はきちんと自分に向き合ってくれている」-こうした体験の積み重ねが、子供の心の中にゆるぎない「芯」を形成していくようです。自分がまるごと受け入れられているという絶対の安心感が生まれ、自己重要感が高まり、素直な自己表現ができる子になっていきます。それは悪い事をした時に、素直に謝れる強さの元になるものといえましょう。

悪い事をした時に素直に謝れる強さ。それは法の目を掻いくぐってうまい汁を吸おうとする卑しい心の対極にあります。私は、我が子にはそうした素直で、強い心をもって欲しいと、願ってやみませんでした。

親はいつまでも子供とともにいるわけにはいきません。私がいなくなった後も、「素直な心」を持っていれば、物事に感謝する気持ちを失わないでしょうし、「強い心」があれば、身に降りかかる困難にも打ち勝つことができるでしょう。

でも、その元を作るのは私の「親としての子供に対する向かい方」に他ならないのです。別人格だけど、「一対」という対発生構造にある親子の関係の不思議さに改めて感じ入ります。

最近は「親業」「親学」と、親子関係の改善のための学問が盛んです。そのための書籍や講座もあります。とりわけ「親学」に関しては文部科学省も後押ししているようです。





「親学」の公開講座風景

今回書かせていただいた内容は、そうした学問とは無縁のところで、目の前にいる我が子といわば格闘する中で自分で考えだしたものに過ぎません。

初めて子供を授かった時、無心にお乳を吸う我が子を見て、誓ったことがあります。

「この子がどんな資質を持っているのか、私には分からない。でも、最低限その資質の発芽を邪魔しない親になろう。たとえどのような道でも、それが本人の選ぶ道なら勇気をもって祝福できる親になろう」

そういう思いでどの子にも接してきました。
それが成功か失敗かは、私がこの世を去った後の子供たちの行状が語ってくれることでしょう。

筆者紹介

 
本 名 田尻 成美 (たじり しげみ)
略 歴 著述家・株式会社エランビタール代表取締役
著書 「しあわせのコツ」(幻冬舎)
主な訳書「都市革命」(H・ルフェーブル著 晶文社)、
「空間と政治」(H・ルフェーブル著 晶文社)、
「文体論序説」(M・リファテール著 朝日出版社)
比較文化的視点から、日常の出来事をユーモアを交えて考察していきます。
著 書 「しあわせのコツ」(幻冬舎)



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