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ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第70回)

by staff on 2019/1/10, 木曜日

大浦総合研究所 代表/大浦勇三

ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第70回)

遊びをせんとや生れけむ、戯れせんとや生れけん
遊ぶ子供の声きけば、我が身さえこそ動がるれ

- 梁塵秘抄 -

新しい年には新しい成功が求められています。成功の反対は失敗ではなく、挑戦課題から逃げること。そのためには、あまり先までストーリーやシナリオを固めない方がよさそう。どんな世界も、特に芸術の分野ではアドリブ対応が生命線。アドリブ性が大きな価値や傑作を生むことも。アドリブとは外向性。どんな組織や仕事も現実を見ないで内向きになると、視野が狭くなり発想が固定化する恐れ。下手なロジックや思考より、反射的に出る思いつきが物事の革新につながることも。これからの時代は、とんがる部分と、とんがらないで寛容な部分の両方のメリハリが必要で、 “OR” でなく “AND” 。土台をしっかり固めた上で “もうろうさ” “ままならなさ” も許容する。AI時代は、ビッグデータが最大の武器ですが、環境変化の加速化により、ビッグデータも絶えずアップグレードが不可避に。梁塵秘抄では “美女打ち見れば 一本葛へも成りなばやとぞ思う 本より末まで 縒らればや 切るとも刻むとも離れ難きはわが宿世” とあります。執念は何よりエネルギーであり原動力。宿り木・蔦葛は弱そうに見えて執拗さ・持続性という強みも。 “歌は一か所口ずさむところがあれば大成功” と作曲家・浜口庫之助。

“遊びをせんとや生れけん” 「遊」

これからの人生は直線や平面では捉えがたい 立体で認識する
論理は大切 それが発揮できるのは、今までの前提が不変の時
環境が激変の時こそ 目は美しさを見よ、口は正しさを伝えよ
いろはをも知りたまはねど吾母はかく教へ給ひき、と更科源蔵

更科源蔵は詩人でアイヌ文化研究家。高村光太郎に私淑して詩作を始めたといいます。なんの変化もない原野の片隅で生まれ、原野を遊び場とし、花や昆虫を友とした “原野の詩人” 。厳しい原野での生活を原体験に、北海道の大自然とそこに生きる人々の生活を肉声でうたいました。人々の中には原野で隣人だったアイヌ民族も含まれます。 “目は美しさを見よ 口は正しさを伝えよ いろはをも知りたまはねど 吾母はかく教へ給ひき” の詩には頭にガツンと一撃を喰いました。これこそ、人間の人間たるべきもの。人間がAIと連携する上での基盤であり、直線・平面ではなく立体。地獄の釜の蓋の上での祭り。 “ステージの上で演奏家は嘘をつけない” とヴァイオリニスト・千住真理子。

“仕事をせんとや生れけん” 「献」

技術・製品開発では世界トップの日本、事業では利益をあげられない
視点を変えて論理にセンスを加味する 自分の感覚をゼロから見直す
給料は生活できるレベルで十分 金に細かい人間の転職は成功しない
動物が微妙な仕草を理解するのは言葉を持たないから、とローレンツ

コンラッド・ローレンツはオーストリアの動物行動学者。刷り込みの研究でノーベル賞を受賞。動物行動学を解説した “ソロモンの指環” には衝撃。未知の動物の世界を開拓。この本は今も本棚にあります。最も大きな功績は、動物行動の観察という軽視されていた古典的手法を用い、科学の名に値する研究に仕立てたこと。生理学・解剖学からはわからない動物の行動を研究する分野が誕生することに。社会生物学では、動物の行動は種のためでなく、あくまで自分自身の遺伝子の生き残りのためとか。動物の微妙な仕草の理解は言葉を持たないから。この視点はAI時代を生きるヒント。論理にセンスを加味。 “鋭きも鈍きも共に捨てがたし。錐と槌とに使い分けねば” と儒学者・廣瀬淡窓。

“学びをせんとや生れけん” 「学」

いつの時代も 人は今が一番いいと思ってしまいがち
秘めて大切にしていると そのうちに自然と成熟する
ネットワークの村八分を避ける すべて人生の通過点
学びを続けることこそ極楽 神仏は地獄の底にもいる

いつの時代も今が一番いいと思いがちですが、初めの少しの歪みが後になって大きなゆがみになることも。現代科学の落とし穴はコンピュータで一気に進めること。巨大化・スピード加速が大きな危険を孕みがちで、AI時代の裏の側面。技術的に素晴らしいことと併せて、シンプルであることが必須。苦労し、失敗し、遠回りして生まれる価値も。近道して手に入れたものはすぐ陳腐化。ポジティブ思考にネガティブ思考をまぶせた味付けを重視。環境変化には、その障害やダメージを逆手にとって活用。勝利への拘りは、極限を超えた段階では負けに転ずるもの。過剰な成功は大きな失敗の下地。学びを続けることこそ極楽。 “生物界では一強はあり得ない” と動物行動学研究家・竹内久美子。

「遊びは仕事、仕事は遊び」
「仕事は学び、学びは仕事」
「学びは遊び、遊びは学び」

今回とりあげた「遊・献・学」それぞれの4行文は、拙書「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」(全10巻)及び「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(八)」(全10巻)から抽出したものです。次回以降も「遊・献・学」から各々4行文を一つずつ抽出してご紹介していきたいと思います。

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http://www.syplus.jp/ooura/

(第70回了)

 

大浦勇三(おおうら ゆうぞう) プロフィール

大浦勇三(おおうら ゆうぞう)  

大浦総合研究所 代表 (http://www.ne.jp/asahi/oura/ohura-research-institute/

石川県七尾市出身。
早稲田大学卒業、筑波大学大学院修了。
米国経営コンサルティング会社 アーサー・D・リトル 主席コンサルタントを経て現職。
主担当領域は、経営改革/企業再生、経営戦略/情報通信技術戦略策定、業務改革/組織改革、研究開発/商品開発マネジメント、マーケティングマネジメント、ナレッジマネジメント、イノベーションマネジメント、サプライチェーンマネジメント、人材マネジメント、コーチング/メンタリング、プロジェクト/プログラムマネジメント、ベンチャービジネス支援等のコンサルティング。

筑波大学大学院講師、城西国際大学客員教授、名城大学講師、産業能率大学講師、中小企業大学校講師などを歴任。

主な著作物:

  • 「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(八)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「イノベーション・ノート」(PHP研究所)
  • 「ITプロジェクトマネジャーのためのコーチング入門」(ソフトリサーチセンター)
  • 「図解 日本版LLP/LLCまるわかり」(PHP研究所)
  • 「IT技術者キャリアアップのためのメンタリング技法」(ソフトリサーチセンター)
  • 「よいコンサルタントの見分け方、かかり方」(清話会)
  • 「日本のモノづくり - 52の論点」<共著>(日本メンテナンス協会)
  • 「現場主導型の組織運営とスピード戦略」(日本監督士協会)
  • 「eコミュニティがビジネスを変える」<訳>(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメントが見る見るわかる」(サンマーク出版)
  • 「図解 ナレッジ・カンパニー」(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメント革命」(東洋経済新報社 )
  • 「図解 グローバル・スタンダード革命」(東洋経済新報社)
  • 「業務改革成功への情報技術活用」(東洋経済新報社)
  • 「情報化戦略と投資評価・システム運用管理の実際」<編著>(企業研究会)
  • 「会社改革実務辞典」<共著>(産業調査会)
  • 「プロジェクトマネジャー(PM)の育成・スキルアップのためのメンタリングの進め方と実践法」 (ソフトリサーチセンター:CD-ROM版)   など

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