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ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第75回)

by staff on 2019/6/10, 月曜日

大浦総合研究所 代表/大浦勇三

ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第75回)

遊びをせんとや生れけむ、戯れせんとや生れけん
遊ぶ子供の声きけば、我が身さえこそ動がるれ

- 梁塵秘抄 -

ゲーム・ビジネスは今や巨大産業。ゲーム開発者にもAIの存在は無視できません。基盤を強化・拡大するために欠かせないのが “哲学” 。ゲームのキャラクターも人間と同じように自律的に考え行動する主体。人間とAIの積分の最適化。時には、AIができない悪ふざけも。そのためにもプログラミングに哲学的な土台・思考が必要になるのかも。哲学といえばソフラテスやプラトン。日本でも西田幾多郎や鈴木大拙が有名。金沢には “鈴木大拙館” 、近郊の宇ノ気には “西田幾多郎館” があります。鈴木大拙は、鎌倉の円覚寺に参禅、戦後は全米各地で講演し、ユングやハイデガーとも親交。アップルのスティーブ・ジョブスも大きな影響を受けたといわれます。鈴木大拙館は建築家・谷口吉生の設計で、上野の国立博物館にある法隆寺館と同じコンセプト。人工池がある空間を回遊、 “静寂・自然・自由” を体感。梁塵秘抄では “四方の霊験所は 伊豆の走井 信濃の戸隠 駿河の富士の山 伯耆の大山 丹後の成相とか土佐の室生戸 讃岐の志度の道場とこそ聞け”とあります。すべては神仏習合。寺院にしめ縄があり、神社にも仏像が祀られる世界。 “食を考えることは命を考えること” と料理研究家・辰巳芳子。

“遊びをせんとや生れけん” 「遊」

書は 東アジアの文化の根幹 絵画や文学を含めた表現の中心
傲慢さと危険 古典の言葉 遊びをおおらかに許容してくれる
生きることの悲しみと苦しみ これを織り込むよう仕事をする
恥辱をよりどころに 克服する方向を追求、と書家・石川九楊

石川九楊は、昭和・平成を代表する書家。書は東アジアの文化の根幹であり、絵画や文学を含めた表現の中心にあると語ります。西洋の造形芸術論的な立場でなく筆蝕や書の言語表現としての側面を重視。書の中に生きることの悲しみと苦しみを織り込み、恥辱をよりどころに克服する方向を追求。美術品のように形や色を分析するのではなく、書かれた過程を再現するように書きぶりを見ること。始まり・途中・終わりの書きぶりや筆の先端と紙との間でくり広げられる力(深度・速度・角度)から、その人間がどのように書いたかを感じとること。書によってあらゆる文明や歴史が成り立っていること。 “思考を重視した生活習慣。知と生活を結びつけること” と英文学者・外山滋比古。

“仕事をせんとや生れけん” 「献」

レオナルド・ダ・ヴィンチの手稿は
着想を書き留めて 後で見直すため
完成した素描は少ない 自分の人生
粗削りOKの創意工夫、と稲盛和夫

レオナルド・ダ・ヴィンチは有名なメモ魔。着想を書き留めるのは後で見直すため。 “やることリスト” をつくり、手書きの遺構は7000枚を超えるとか。リストをもとにメモを反復しながら何にでも挑戦。完成した素描は意外と少ないのだとか。教育よりも経験を重視する知的好奇心の塊。京セラを創業した稲盛和夫さんも、何より好奇心を尊重。そのためには自分の仕事を好きになることが第一。 “稲盛経営12カ条” では、仕事に打ち込み、それを長年の間続けることで平凡が非凡に変わるとの確信。 “理念・考え方・哲学” を高め続ける日々が支え。イノベーションも突き詰めれば “修業” と “祭り” の繰返し。 “壁を破ることではなく、壁の存在を知っておくこと” と解剖学者・養老孟司。

“学びをせんとや生れけん” 「学」

米国はリスクをとる文化 日本の経営者は売却嫌い
お金はあるがアイデアのない人が お金だけないが
アイデアがある人にお金を貸すことをやるシステム
あんたも好きでんなというのが信条、と竹本住大夫

7代目竹本住大夫は、文楽・太夫(人間国宝)。最後の公演では、国立劇場小劇場で “恋女房染分手綱沓掛村の段” のキリを務め、大夫人生に幕を下ろしました。この時は国立劇場に駆け込み、浄瑠璃に近い席で住大夫が飛ばす唾シャワーをたっぷり浴びました。文楽は太夫が語り、三味線・人形と一体になって物語が進行。文楽では10代から修業を始めて60代で一人前。住大夫は、不器用で覚えが悪く節回しが下手で悪声。ただ基本に忠実に素直に勉強し続けるだけがとりえだったとか。これこそが人間の醍醐味。AIに醍醐味は味わえませんからね。 “日本の強みはrelisience(弾力性・柔軟性):成長力は弱いがレリジエンスは強み。これをブランド化する” と政治学者のイアン・ブレマー。

「遊びは仕事、仕事は遊び」
「仕事は学び、学びは仕事」
「学びは遊び、遊びは学び」

今回とりあげた「遊・献・学」それぞれの4行文は、拙書「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」(全10巻)及び「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(八)」(全10巻)から抽出したものです。次回以降も「遊・献・学」から各々4行文を一つずつ抽出してご紹介していきたいと思います。

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(第75回了)

 

大浦勇三(おおうら ゆうぞう) プロフィール

大浦勇三(おおうら ゆうぞう)  

大浦総合研究所 代表 (http://www.ne.jp/asahi/oura/ohura-research-institute/

石川県七尾市出身。
早稲田大学卒業、筑波大学大学院修了。
米国経営コンサルティング会社 アーサー・D・リトル 主席コンサルタントを経て現職。
主担当領域は、経営改革/企業再生、経営戦略/情報通信技術戦略策定、業務改革/組織改革、研究開発/商品開発マネジメント、マーケティングマネジメント、ナレッジマネジメント、イノベーションマネジメント、サプライチェーンマネジメント、人材マネジメント、コーチング/メンタリング、プロジェクト/プログラムマネジメント、ベンチャービジネス支援等のコンサルティング。

筑波大学大学院講師、城西国際大学客員教授、名城大学講師、産業能率大学講師、中小企業大学校講師などを歴任。

主な著作物:

  • 「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(八)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「イノベーション・ノート」(PHP研究所)
  • 「ITプロジェクトマネジャーのためのコーチング入門」(ソフトリサーチセンター)
  • 「図解 日本版LLP/LLCまるわかり」(PHP研究所)
  • 「IT技術者キャリアアップのためのメンタリング技法」(ソフトリサーチセンター)
  • 「よいコンサルタントの見分け方、かかり方」(清話会)
  • 「日本のモノづくり - 52の論点」<共著>(日本メンテナンス協会)
  • 「現場主導型の組織運営とスピード戦略」(日本監督士協会)
  • 「eコミュニティがビジネスを変える」<訳>(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメントが見る見るわかる」(サンマーク出版)
  • 「図解 ナレッジ・カンパニー」(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメント革命」(東洋経済新報社 )
  • 「図解 グローバル・スタンダード革命」(東洋経済新報社)
  • 「業務改革成功への情報技術活用」(東洋経済新報社)
  • 「情報化戦略と投資評価・システム運用管理の実際」<編著>(企業研究会)
  • 「会社改革実務辞典」<共著>(産業調査会)
  • 「プロジェクトマネジャー(PM)の育成・スキルアップのためのメンタリングの進め方と実践法」 (ソフトリサーチセンター:CD-ROM版)   など

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