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第76回 木を外部仕上げに使うと大変だよ

by staff on 2019/6/10, 月曜日

有限会社アーバン・ファクトリー
藤江 創

木を外部仕上げに使うと大変だよ

「外壁に木を使いたい」
自然派の自分を自邸で表現したいお施主様からご要望いただくことがあります。政策で木材利用が推進されているのが功を奏しているのか、街中でも外部仕上げに木を使った素敵なデザインの建築をちらほら見かけるようになりました。
念願のマイホームを建築家に設計してもらうことを決断いただいたお施主様。そのご要望はできるだけかなえてあげたいのですが、この要望に関しては、ひと呼吸おいてからご質問。
「5年ごとにメンテナンスできますか?」
あれこれ悩んだ挙句、だいたいメンテナンスが容易な素材に代わってしまいます。最近では、木目の凹凸まで再現されたサイディングや、再生木という木の粉を樹脂で成形した素材などがありますので、見た目だけのこだわりであれば、それで十分かもしれませんよ。

と、くぎをさしておいて、ここで、外部に木をふんだんに使った住宅を紹介しましょう。「伊豆山h邸」私が母のために設計したセカンドハウスです。昨年で完成後10年目を迎えました。外壁、デッキ、ルーバーに、防腐防蟻性能の高い米ヒバという木材を使用しています。仕上げには自然塗料で有名なドイツオスモ社製の外部用木材保護塗料を使いました。

伊豆山h邸外観 撮影:平井広行

こちらの住宅、完成後2年目に、木部すべてを再塗装しました。塗料メーカーの方から、木が新しいうちは塗料が浸透しにくいので、竣工後2年くらいの時に、再塗装しておくと、その後の持ちが全然違うというアドバイスを受けてのことでした。なるほど、木が新しいときよりも、吸い込みます。これは確かに効きそうです。これでメンテナンスの期間が延びるわけですね。では、この後は何年くらい持つのかなと確認したら、5年ごとに塗りなおすとよいですよ、、、だって。

母の家ですから、私に設計を相談してくれたお客様をお連れすることも多い住宅です。建築はメンテナンスが大事ですよとお客様に言っている手前、自分が管理する物件をちゃんとしないわけにはいかない。その後、4年くらいで、まずデッキがへたってきました。真夏の直射日光をばっちり受けるし、直接土足で歩き回りますから、劣化も早い。でも、デッキなら足場もいらないし、素人でも塗装可能。一念発起し、気のいいメーカーの担当者と一緒にDIYしました。
そのときすでに、白い外壁はグレーがかり、部分的に腐食している材料が確認されていました。外壁塗装には足場が必要ですし、素人では手がだせないかも。もちろんお金だって結構かかります。ということで、2・3年うじうじ考えていましたが屋根デッキの一部が壊れたのをきっかけに二念発起。ダメになった木材の修繕と再塗装をすることにしました。塗装に関しては、足場に上っての作業は非常に怖かったのですが、気のいいメーカーの担当者の協力をいただき、DIYでやりきりました。外構の追加工事もあったので、総額300万円くらいかかりました。

そんなこんなで、とどこおりなく工事は終わり、終了後に沢山の木材が積まれました。全面張り替えた屋根デッキに使用されていた古い板材。それに余ってしまった新規材料。どちらも、ほかの現場では使えないので、普通だったら処分されてしまします。既存板材は10年の歳月でいい風合いを醸し出しています。最近では古びた風合いを出すためにわざとエイジング加工を施すことがありますが、これはまさに天然エイジング。木は乾燥することで、含水率が低くなり、くるいのない良い材料となりますので、その点でもとっても優秀な材料に仕上がっていました。そったり、曲がったり、節が抜けたりした材料は処分し、残った材料の使い道を検討。その結果できたのが、デッキを囲うテスリ兼ベンチです。我ながらいい感じにできました。



古材で製作した手すり兼ベンチ

余った新材料で製作したベンチ

おかげさまで施主である母からも好評いただきました。また、今後お会いする未来のお施主様にお話しできるネタが一つ増えました。さらにこの工作のおかげで、丸のこの使い方をマスターし、インパクトドライバーの使い方が飛躍的に向上しました。
木を外部仕上げに使うとメンテナンスが大変です。でも、DIYが得意な方や、興味がある方でしたら、それを楽しみにつなげることができるかもしれません。建築家として、そんな方にアドバイス。「外部仕上げで木材を使うなら、自分でメンテナンスできる範囲での使用しましょう」。その判断基準は脚立で作業できる範囲がよいと思います。外壁の場合は地面から高さ3.5mくらいまで、または、ベランダから届くところ。床の場合は、テラス窓前のデッキやベランダデッキ。塀や物置なんかもおすすめですよ。メンテナンスで古い木材が出たときは、是非ご活用ください。工作に自信がなければ、焚き火用の薪に使うのもよいと思いますよ。

 

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高橋 正彦 佐賀・高橋設計室
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藤江 創 有限会社 アーバン・ファクトリー
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藤本 幸充 株式会社 鎌倉設計工房
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