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元気いっぱいのシニアアスリートご夫婦 遠藤靖信・正子さん

by staff on 2019/12/10, 火曜日

横浜市磯子区の八幡橋で、明治時代から三代続いた寿司店を経営されてきた遠藤さんご夫妻。二人三脚でお店を切り盛りしてきましたが、5年前、ご主人が80歳の時に惜しまれながらお店を閉じられました。その一方で、70歳を過ぎて始めたランニングや体操は生活の一部となり、85歳を迎えた今もマラソン大会に出場する元気いっぱいのシニアアスリートご夫婦です。

遠藤靖信・正子さんご夫婦

お名前 遠藤靖信・正子(えんどうやすのぶ・まさこ)
お生まれ 靖信さん 1934年3月15日
正子さん 1933年8月5日
お住まい 横浜市磯子区
趣味 靖信さん ランニング
正子さん 体操

 

先代から寿司店を継がれるまでのことを教えていただけますか。

明治の頃、私の祖父が八幡橋の近くに「境屋」という寿司屋を開きました。「磯子のれきし(磯子小学校創立100周年記念誌)」によれば、明治30年頃にはすでにお店はあったようです。当時、この近辺は運河を使った舟運や根岸競馬場の客など栄えていたそうです。その後、第二次大戦中に閉店した時期もありましたが、父が寿司屋を八幡橋のたもとで再開しました。私は、磯子で生まれて中学校卒業後、井土ヶ谷の既製服の会社に勤めておりましたが、17歳の頃から寿司屋を手伝うようになりました。近隣でとれた新鮮な魚介類を使うのが評判で、10人足らずのカウンターだけのお店でしたが、繁盛していましたね。一時、自分で山下町(中華街のそば)にお店を出した時期もありましたが、また八幡橋に戻りまして、その後約30年間、80歳になるまでお店を続けてきました。市電が走っていた頃の写真に「境屋」といううちのお店が写っています。

電車のある風景(武相高校鉄道研究会撮影)

奥様と二人三脚で30年間お店を切り盛りされてきたのですね。

家内とは結婚して59年になります。家内は横浜市神奈川区の子安にあった飲食店の“看板娘”でした(笑)。昔から元気溌剌な人でしたよ。知人の紹介で知り合い結婚しました。子供は息子二人、娘一人を授かりました。父は99歳で亡くなりましたが、家内は店を切り盛りしながら子育てや父の面倒で大変だったと思います。父は昔気質の寿司職人で、寿司はお茶で食べるものだとお酒を店に置きませんでした。

私たちが店に戻ってきてから、お客様も増えて業績は順調でした。昔は、今と違い出前を取る家が多いこともあり、毎日忙しかったです。特にお盆や年末年始は目が回るほどの忙しさで、子どもたちにも配達を手伝ってもらいました。世間の方がお休みのときに忙しい商売ですから、子どもたちにも苦労をかけました。毎朝、南部市場に仕入れにいっていましたから、寝る時間もなかったですね。当初はお昼から夜8時頃まで店を開けていたのですが、酔っ払いのお客が増えたこともあって、夕方6時に閉めるようにしました。お客さんからは「早すぎる」と叱られたこともありました。そんなに早く閉店する寿司屋はどこにもなかったでしょうね(笑)。やがて、回転寿司が増えて寿司屋の形が変わってきたことや、納豆巻きやカリフォルニア巻きなどこれまでの寿司屋にはなかった新しいネタが増えてきたこと、そして夫婦二人で切り盛りするのが大変になったこともあって、今から5年前、80歳の時に3代続いた店に区切りをつけました。息子は継いでもいいよ・・と言ってくれたのですが、これからの寿司屋の経営を考えると、継いでもらわなくて良かったと思っています。

今は、孫やひ孫たちと一緒に過ごす時間が何より楽しく、そして趣味のランニングが生活の一部となっています。

お店の前で

85歳を過ぎた今もマラソン大会に出られているとお聞きしましたが・・・。

私がランニングを始めたのは70歳の頃からです。当時、野口みずきさんが、アテネオリンピックで金メダルを取ったのを見て、 “あんなに小さな女の子が走れるなら自分にも出来るのでは?” と思ったのがきっかけです。毎朝、近所をランニングすることから始めました。走り方などは自己流で今まで誰にも指導を受けたことはないです。

最初に走ったフルマラソンは、2006年、72歳の時のホノルルマラソンで、時間は6時間11分でした。日々の練習でも10kmくらいしか走ったことがなかったので、完走できるか心配でしたが、何とかなるものですね。

ホノルルマラソンは3回ほど走っています。2010年には家内もフルマラソンに挑戦しました。私は5時間44分で、家内は8時間33分で完走しました。ホノルルマラソンは制限時間がないので休みながら走れます。家内は沿道で応援してくれる人たちと一緒に踊ったりして、楽しみながら完走したようです。

他に・・・かすみがうらマラソンは毎年のように参加していますし、沖縄やニュージーランドなどに遠征してフルマラソンに参加しています。フル以外にも湯河原マラソンの10kmやハーフマラソンなど・・これまで出場した大会は数えきれないですね。

私のベスト記録は、2014年4月のかすみがうらマラソンで出した4時間50分23秒です。これは2014年度の全日本マラソンランキング、男子80歳の部で全国7位の記録だそうです。陸上競技の経験もなく、それどころか小学校時代は足が遅くて運動会が嫌いだった自分が、全くの自己流でここまでこれたのは、毎日、黙々と一人で走ってきたことへのご褒美だと思っています。

靖信さんの初マラソンの記録

全日本ランキング

ニュージーランドマラソンでの正子さんの雄姿

私が出場する大会には、家内はいつも応援に来てくれますし、子どもたちも家族総出で応援に来てくれます。いい家族に恵まれたと感謝しています。

2019年4月に開催された横浜市民マスターズスポーツ大会の5000m85歳以上の部で1位になりました。そもそも80歳以上で走ったのは私だけでしたけれど(笑)。会場中から祝福されて嬉しかったです。あと5年はこの記録は破られないですものね。90歳になったら90歳の部として出場しようかなと考えています(笑)。

今も毎日1時間くらい走っています。健康を維持していくため、これからも走り続けたいと思っています。私は「走っている限りは健康なんだ。」という信念を持っています。昨年、ロードバイクを手に入れたので、足のトレーニングのために三浦半島にも一人で出かけています。来年(2020年)も湯河原マラソンの10kmに出場予定です。まだまだ頑張りますよ!!

横浜市の記録

来年で結婚60周年ということですが、夫婦円満の秘訣は何でしょうか?

 靖信さんからは・・・

夫婦円満の秘訣は、やはり「お互い健康であること」でしょうかね。二人とも元気なのが一番です。夫婦喧嘩はしないですね。私が先に謝っちゃいますから(笑)。家内の良いところは、いつも元気で、さっぱりしているところです。
子どもたちも市内に住んでいて、私が握る寿司が目当てに(?)何かというと集まりますので、その時は張り切って作ります。これも夫婦二人で楽しく暮らしてこれた一因だと思います。

 正子さんからは・・・

夫婦円満の秘訣は、同じく「健康」ですね。私は、根岸森林公園の朝のラジオ体操にはもう20年以上通っています。大きな声を出すので、周りから「とても元気なおばさん」と思われているようです。最近は、毎週保育園で子供たちとラジオ体操をやったり、グランドゴルフも週3回程度やっています。友達とおしゃべりするのも元気の源になっていますね。
主人の良いところは、いつも落ち着いていて、私をかばってくれることですね。私が大声で何を言っても、物静かに受け止めてくれます。
世間のご夫婦よりもこれまで一緒の時間が多かったと思いますが、主人が優しいのて仲良くやってこれたのでしょうね。

お二人にとって横浜とは・・・

 靖信さんにとっては・・・

私にとって横浜は「私を育ててくれた町」です。小さい頃は、目の前の海や近くの山で遊び、この歳になるまでずっと横浜で暮らしてきました。横浜の町が今の自分を作ったと言ってもいいと思います。特に好きなのは、やはり生まれ育った磯子ですね。

 正子さんにとっては・・・

私にとって横浜は「私を元気にしてくれる町」です。ご近所さんをはじめ、いい友達がたくさんいます。0歳の赤ちゃんから80代の人まで、いろんな年代の人たちに囲まれていると、自分が元気になってきます。

お二人にとっての横浜

<取材を終えて>

お二人合わせて170歳を超えるご夫婦ですが、本当にお元気で笑顔が素敵です。正子さんとは根岸森林公園のラジオ体操でご一緒しますが、彼女の一声でその場がパーッと明るくなります。靖信さんは小柄で物静かな方で、一見アスリートっぽくないのですが、凄い能力をお持ちの方なのです。横浜の元気なシニアとしてこれからもお二人そろって益々お元気でいていただきたいと思います。

(インタビューと文:渡邊圭祐・桃伯子)

 

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